大学の卒業が決まると、海外へ記念旅行をする。そういう習慣は、何時頃から始まっただろうか?自分が大学を卒業する際、同級生は競う様に、海外への旅立っていたが、母子家庭の身としては、そんな贅沢をする気が起きなかった。
社会人になって3年目、稼いだ金で初めて海外に。訪問先はエジプトとギリシャで、全くの異文化や風光明媚さに触れた事で、海外を旅する楽しさに魅了されてしまった。以降、長期休暇の度、海外を旅行し、同僚から「(そんな頻繁に海外旅行するって)OLみたいな生活だなあ。」と言われた程。
仕事を含め、此れ迄に多くの国を訪れた。スペインの様に「行ってみたい。」とずっと思ってい乍ら、未だに叶わない国が在る一方、「一生、行く事は無いだろうな。」と思っていたのに、行く事になった国が在ったりもする。史跡巡りが好きなので、国としての歴史が浅いアメリカは「太陽が西から昇らない限り、行く事は無いだろう。」と思っていたのだが、今回行く事になった。
アメリカに行く事になったのは、懸賞で当たったから。30年近く前のタイ旅行に続き、今回のニューヨーク(紐育)旅行は2度目の当選となる。自腹では絶対に泊まらないで在ろう高級ホテルに4泊し、ニューヨークの街を彷徨って来た。
「341万㎡という広大な敷地に、多くの栗鼠や鳥が集うセントラル・パーク。」、「大晦日の夜、大勢の人が集まり、巨大スクリーンに映し出された数字をカウントダウンする光景で有名なタイムズ・スクエア。」、「『アメリカ横断ウルトラクイズ』【動画】で何度も目にした自由の女神像。」、「『キングコングが上っていたビルだ!』と口にした所、現地の人から『古い事を良く知ってますねえ。』と笑われてしまったエンパイア・ステート・ビル。」、「ジョン・レノン氏が住んでいて、其の入り口前で銃殺されたダコタ・ハウス。」、「マンハッタンとブルックリンを結び、徒歩でも渡れるブルックリン橋。」、「2001年9月11日に発生した『アメリカ同時多発テロ事件』で崩壊し、3千人を超える死者を出したワールド・トレード・センターの跡地“グラウンド・ゼロ”。」、「妙な髪型のドナルド・トランプ氏が所有するトランプ・タワー。」等々、実際に目の前にすると興奮してしまったスポットの数々。
【セントラル・パーク内】
【セントラル・パーク内】
【セントラル・パーク内】
【セントラル・パーク内】
【タイムズ・スクエア】
【自由の女神像】
【自由の女神像(足元から上に向けて撮影)】
【エンパイア・ステート・ビル内】
【ダコタ・ハウス(改修中)】
【ブルックリン橋】
【“グラウンド・ゼロ”】
【トランプ・タワー】
【アメリカ自然史博物館内】
【警察官】
【ニューヨークの夜景】
【ニューヨークの夜景】
ニューヨークの夜景を見ていたら、フランク・シナトラ氏の名曲「ニューヨーク・ニューヨーク」【動画】が頭の中でリフレーン。非常に美しい光景だ。
滞在中に感じた事を、最後に列挙する。人(特にニューヨークという街が大好きな方々)によっては、「そんな事無いでしょ。」と不快に思われるかもしれないが、4日間という極めて短期間に、其れも自分が見聞した範囲内での私見で在る事を、どうか御理解戴きたい。
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・ アメリカ同時多発テロ事件以降、世界各国でセキュリティー・チェックが厳しくなっているのは判っていたが、実際には想像以上の厳しさだった。昨年からテロ事件が多発している影響も在るのだろうけれど、ベルトや歩数計の取り外し、そして靴迄脱ぐ様に命じられるとは思ってもいなかった。
・ 「エスカレーターでは“歩行者”が左側、立ち止まる人は右側。(関東圏では逆。)」や「せっかちで、赤信号でも道路を横断する人が少なく無い。」、「街中が、パワーで溢れている。」等、ニューヨークは大阪に似ている部分が在ったりする。(ニューヨークの場合、赤信号で車が近付いていても、多くの人が平然と横断していたのは驚き。其の割合は、大阪の比では無いだろう。)唯、大阪程の陽気さや人情味は感じられず、「ニューヨーク=陽気さや人情味を薄くした大阪。」といった感じか。
・ 誰もが知る超有名な高級ホテルに宿泊したのだが、日本ではビジネス・ホテルのレヴェルでも普通に置かれている備品(歯ブラシ・セット、スリッパ、ブラシ、使い捨て剃刀、バス・ローブ、湯沸かしポット等。)が置いてなかったり、浴室内の洗濯ロープが巻き取れない状態になっていたり、空調機が壊れていて暖かい風が出なかったりと、ガッカリさせられる面が幾つか在った。(40階を超える部屋だったので、景色は非常に良かったのだけれど。)
・ 「地下鉄に乗っていたら、行き成り拳銃を突き付けられ、金品を奪い取られた。」、「薄暗い電車内は、落書きで溢れ返っている。」、「街中を歩く際は、歩道の真ん中を歩かないといけない。道路側を歩いていたら車道に突き飛ばされる危険性が、又、建物側を歩いていたら路地に引っ張り込まれる危険性が在るから。」等、昔の映画に映し出されたニューヨークには、そんな怖さが在った。でも、今はそんな感じじゃ無い。地下鉄内は綺麗で安全だし、街中も(危ない地域が無い訳では無いけれど)普通に用心していたら怖さは無い。ルドルフ・ジュリアーニ氏がニューヨーク市長を務めていた1994年から2001年の間、凶悪犯罪撲滅及び市の治安改善に注力していた事が大きいと言う。
・ 自由の女神像が在るリバティ島へは、マンハッタン島南部から出るフェリーで渡る。所要時間は15分程。フェリーに乗り込む前に厳しいセキュリティー・チェックを受け、自由の女神像内に入る前には、指紋認証で開閉するロッカーにバッグ等を入れなければならない。内部をグルッと見学し、女神像の“横の出口”から退場。其の儘、帰りのフェリーに乗り込み、離岸した時点で、ロッカーからバッグ等を引き出し忘れた事に気付いた。「フェリーで取りに戻ったら、往復の乗車料金(大人:約2千円)を追加で取られるのかなあ。」と最悪の想定をしていたが、「無料で良い。」との事でホッとした。日本の場合だったら「見学を終えた際、最後にロッカーの所に出る様な順路になっていたり、ロッカーからの引き出し忘れを防止する為、何等かの目印が付けられたりしている。」ものだが、アメリカではそういう感覚が薄い様だ。「赤信号で車道を横断しても構わないけれど、事故に遭ったら自分で責任を負えよ。」というのと同様、「ロッカーから引き出し忘れたのは、本人の責任。」という感じで、全てに於て“自己責任”という意識が強いのかもしれない。地下鉄の行き先表示も判り難いし、日本のサーヴィスの良さを認識させられる機会が多かった。
・ 道を尋ねたら、ちゃんと教えてくれるのだけれど、道に迷っている人に自ら助け舟を出す“現地人”が居なかった。高齢者が目の前に立っていても、席を譲らない人が目立ったし、「自分さえ良ければ良い。」という風潮が強い気がした。そう考えると、「アメリカで成功した日本の有名人には、細かい事を考えず、ゴーイング・マイ・ウエーな人物が多い。」様に感じる。逆に細かい事を考え過ぎたり、他人の事を考え過ぎたりする人にとっては、少なくともニューヨークという街は住み辛いだろう。「少しの間滞在するのは良いけれど、住みたくはない街。」というのが、自分の印象。
・ 裕福さの象徴“5番街”を夕方歩いていた時、道端に積み重なった透明の塵袋を、ホームレスと思われる高齢女性が漁っていた。袋の中には近くの店から出されたと思われるロールパンが、綺麗な状態で200個程。其の隣の塵袋の中には、未開封のカップ麺等がどっさりと。又、「飲食店に於いて、日本では『勿体無い。』と思ってしまうレヴェルの食べ残しを当たり前の様にガンガン廃棄していたり、街中で半分も食べていないドーナツやホットドッグを、現地の子供達が平然とゴミ箱に投げ捨てていたりという光景。」を何度か目にした。(マクドナルドで珈琲を頼んだら、珈琲フレッシュと砂糖を、其れ其れ20個程渡された。大きいサイズのコーヒーを頼んだとはいえ、日本では考えられない多さ。使い切れずに捨てている人も居たし、実に御勿体無い。)「大量消費して行く事で、巨大な国を支えている。」、アメリカの現実なのかもしれない。
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エネルギッシュな街で在り、旅自体も楽しかった。でも、恐らく2度と訪れる事は無いだろう。自分にとっては、「1度訪問すれば、もう良いかな。」というのがニューヨーク。
「セントラル・パーク内」というキャプションが付いた3枚目の写真は、セントラル・パーク内でゴスペルを歌っていたグループを撮った物。所謂“路上パフォーマンス”ですが、実に聞き応えの在るレヴェルでした。
日本でも路上パフォーマンスを見る機会は多くなりましたが、NY市内の場合、“より日常生活に溶け込んだ風景”という感じがしました。一番驚いたのは地下鉄構内、其れもホームでギターを奏でているパフォーマーが居た事。日本だったら、「危ないから。」という理由で、先ず許可は下りないでしょうね。
記事では色々書きましたが、NY市には良くも悪くも“自由”が在る。と同時に、自由の代償として、“より強い自己責任”が求められているとも言えるのでしょうね。
人工国家として、アメリカ的なものが最も小奇麗にまとめられた場所だと思います。路上にて、デモやパフォーマンスを閲覧できるのは、その住民たちが住みやすいと思っているからで、最も表層の物質と、深層の心のバランスが取れた街ではないでしょうかね。