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元刑事・藤島秋弘の元に、「失踪した娘の加奈子を捜して欲しい。」と別れた妻・桐子から連絡が在った。家族と縒りを戻したいと願う藤島は単身で捜査に乗り出す。
一方、3年前。中学生で在る瀬岡尚人は手酷い苛めに遇っていた。自殺さえも考えていた所を藤島加奈子に救われる。彼は彼女に恋をした。そして以前に彼女が付き合っていて、自殺してしまった緒形の様になりたいと願う様に。
2つの物語が交錯し、探る程に深くなる加奈子の謎、次第に浮き彫りになる藤島の心の闇。用意された驚愕の結末とは?
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深町秋生氏の小説「果てしなき渇き」は、2004年に「『このミステリーがすごい!』大賞」の第3回大賞を受賞した作品の一つだ。(水原秀策氏の「サウスポー・キラー」と同時受賞。)巻末に選者達の選評が載っており、小説そのものを読む前に目を通した。「個人的には好きなタイプの作品では無いにも拘わらず(こんな小説読みたくないと何度思った事か。)、これに最高得点を付けた。」(大森望氏・翻訳家&評論家)、「ジェイムズ・エルロイや馳星周の影響下に在る鬼畜系暗黒活劇で、女子供を甚振る様な描写もてんこ盛り。内容に反感を抱く女性読者も多いでしょうが、(中略)流石に万人向けと主張する勇気は無い。」(香山二三郎・コラムニスト)といった評価が並ぶ。個人的には極度なヴァイオレンス物というのが得意では無いので、一旦は読むのを躊躇するも、『好きなタイプの作品では無いという選者に、最高得点を付けさせた作品』というのに興味が在り、結局読む事に。
確かに悍ましい描写に溢れた小説では在る。過激な暴力シーンのみならず、背徳的な内容も含まれている。唯、自身の肉体に痛みを感じさせる様などぎつい暴力シーンというのは、「自分は間違い無く生きているのだ。」と再認識させる効果も有しているし、「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを読んでいる自分にとっては、想像していた程の嫌悪感は無かった。
人間の心の中に潜む天使性と悪魔性。それを感じさせる小説だが、読破した後に強く残るのは悪魔性の方だろう。後味の悪い内容では在るが、一気に読ませる筆力は認める。
総合評価は星3つ。
元刑事・藤島秋弘の元に、「失踪した娘の加奈子を捜して欲しい。」と別れた妻・桐子から連絡が在った。家族と縒りを戻したいと願う藤島は単身で捜査に乗り出す。
一方、3年前。中学生で在る瀬岡尚人は手酷い苛めに遇っていた。自殺さえも考えていた所を藤島加奈子に救われる。彼は彼女に恋をした。そして以前に彼女が付き合っていて、自殺してしまった緒形の様になりたいと願う様に。
2つの物語が交錯し、探る程に深くなる加奈子の謎、次第に浮き彫りになる藤島の心の闇。用意された驚愕の結末とは?
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深町秋生氏の小説「果てしなき渇き」は、2004年に「『このミステリーがすごい!』大賞」の第3回大賞を受賞した作品の一つだ。(水原秀策氏の「サウスポー・キラー」と同時受賞。)巻末に選者達の選評が載っており、小説そのものを読む前に目を通した。「個人的には好きなタイプの作品では無いにも拘わらず(こんな小説読みたくないと何度思った事か。)、これに最高得点を付けた。」(大森望氏・翻訳家&評論家)、「ジェイムズ・エルロイや馳星周の影響下に在る鬼畜系暗黒活劇で、女子供を甚振る様な描写もてんこ盛り。内容に反感を抱く女性読者も多いでしょうが、(中略)流石に万人向けと主張する勇気は無い。」(香山二三郎・コラムニスト)といった評価が並ぶ。個人的には極度なヴァイオレンス物というのが得意では無いので、一旦は読むのを躊躇するも、『好きなタイプの作品では無いという選者に、最高得点を付けさせた作品』というのに興味が在り、結局読む事に。
確かに悍ましい描写に溢れた小説では在る。過激な暴力シーンのみならず、背徳的な内容も含まれている。唯、自身の肉体に痛みを感じさせる様などぎつい暴力シーンというのは、「自分は間違い無く生きているのだ。」と再認識させる効果も有しているし、「池袋ウエストゲートパーク」シリーズを読んでいる自分にとっては、想像していた程の嫌悪感は無かった。
人間の心の中に潜む天使性と悪魔性。それを感じさせる小説だが、読破した後に強く残るのは悪魔性の方だろう。後味の悪い内容では在るが、一気に読ませる筆力は認める。
総合評価は星3つ。
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貫井氏の作品には読み応えの在る物が多いのですが、「愚行録」に関しては物足りなさを感じました。(http://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/f885a71d7d01dae978e8f11454c064c3)マヌケ様が書かれておられる様に、比較的早い段階から結末が読めたというのも在りますが、一番大きいのは登場人物達に共感出来ないという点。正に「嫌な気分」しかなかったので。