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「尾野真千子、ヒロイン交代に『複雑ですね。』」(1月26日、サンケイスポーツ)
女優、尾野真千子(30歳)が25日、大阪市中央区のNHK大阪放送局で行われた連続テレビ小説「カーネーション」【動画】(月~土曜午前8時)の第18週(1月30日~)の試写会に出席した。
18週から舞台が昭和30年代に移り、成長した長女役、新山千春(31歳)、次女、川崎亜沙美(27歳)等が登場。3月3日放送分からは、70代以降の晩年を演じる夏木マリ(59歳)にバトンタッチする。
尾野は「(交代は)複雑ですね。でも、私1人では成り立たない。バトンタッチが在るから成り立ってる。私が御婆ちゃんを演じても気持ち悪い。皺も無いし、声に張りも在るし。」と笑顔。「(後任が)夏木さんと聞いて素敵やな、と。」と信頼を寄せた。
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連続テレビ小説で最初から最後迄通して見たのは、「マー姉ちゃん」と「おしん」(動画)だけ。話題になった「ちゅらさん」(動画)や「ゲゲゲの女房」(主題歌)等は、チラッと見た程度。だから「カーネーション」も「“コシノ3姉妹”(コシノヒロコさん、コシノジュンコさん、コシノミチコさん。)を育て上げた母・小篠綾子さんの生涯を描いた作品。」位の知識しか無い。
本人は勿論全く悪気が無いのは判っているけれど、交代に関して尾野さんが「(私には)皺が無いから、御婆ちゃんを演じても気持ち悪い。」と受け取られる様な発言をしたのは、70代以降を演じる夏木さんに対して「大丈夫なのかなあ?」と余計な心配をしてしまう。深読みすれば、「夏木さんは皺が在るから、御婆ちゃん役が不自然では無い。」とも受け取れるので。「素敵やな。」と、きちんとフォローを入れてはいるけれど。
舞台「女の一生」で名優・杉村春子さんが“16歳の少女役”を演じていたのは流石に違和感を覚えたけれど、大河ドラマ「篤姫」【動画】での宮崎あおいさんの様に、若かりし頃から晩年迄を1人の俳優が演じ切るケースは少なくない。逆に上記した「おしん」の如く、世代によって演じる俳優が代わるというケースも又、結構在る。何方が良いor悪いでは無く、作品の雰囲気に無理を生じさせないキャスティングで在れば、どういう形を取ろうとも、自分は構わないと思っている。
先日迄放送されていたドラマ「開拓者たち」は、非常に見応えの在る内容だった。今年が「日中国交正常化」から40周年を迎える事を記念して制作された、ドキュメンタリー・タッチの作品で、第二次世界大戦前に満蒙開拓移民として満州に渡り、敗戦後は囚われの身となったり、自決したり、又は命辛々日本に帰国して、再び開拓に汗したりした人々の苦難の日々。」を描いている。実際に開拓に従事した人達が登場し、リアルな証言をしていたのも印象的だった。
「開拓者たち」では多くの役で、1人の俳優が若かりし頃から晩年迄を演じていた。演じている役者達は概して良かったが、1つ気になったのは若手俳優達の“老け役”。老い顔のメークは悪くなかったし、老人特有の所作も上手く表現出来ていたと思うが、如何せん声に老人っぽさを感じさせなかった。若い頃よりもスローモーな話し方をする等、其れなり工夫はしているのだが、基本線が「若い声」なのだ。「篤姫」での宮崎さんにも同じ事を感じたけれど、今の若い俳優は概して演技自体悪くない人が多いものの、“老け役”となると「うーん。」と感じてしまうケースが殆ど。中堅クラスの俳優の中にも見られるが、意図的に“老け声”を作り過ぎて、此れ又違和感在り在りのケースが在ったりもする。
北林谷栄さんや菅井きんさん、初井言榮さん、笠智衆氏、加藤嘉氏、大滝秀治氏等々、「若い頃より“老け役”を、違和感無く演じ切っていた俳優。」が嘗ては少なくなかった。「昔の年寄り」と「最近の年寄り」とでは、見た目も含めて大分変ってはいるけれど、老け声というのはそんなに変わらない気がする。良い素材が少なくない若手俳優達に、一層の努力を求めたい。
童顔の役者って「何時迄も若いイメージで居られる。」というメリットが在る一方で、「役柄が固定され勝ち。」というデメリットが在る様に思います。AK様も御存知とは思いますが、TV版「家族ゲーム」等に出演していた役者の松田洋治氏(http://www.h5.dion.ne.jp/~youjimat/)。余りの童顔さから、結構な年になる迄「学ラン姿の学生」を演じていた様なイメージが在ります。今年で45歳を迎えるけれど、未だ当時の面影を残している。(現在は「もののけ姫」等、声優としても頑張っておられますが。)
松山君、上川隆也(!)は童顔なので意外と違和感なし。
壇れいのタイケン門院様(当時ローティーン?歴史上でもベスト3に入るセクシー、淫蕩なロリータ)は心なしか無理がある。しかし誰が順当な俳優かといっても思いつかない(50年前だったら嵯峨美智子を推薦かなー??)
それが見所ではないですが、気になって困る箇所です。
例えば俳優の宇津井健氏が戦後直後の日本にタイムスリップし、「俺は今80歳です。」と周りの人に言ったとします。恐らく周りの人は皆、「何を冗談言ってるの。」と一笑に付す事でしょう。此の当時の80歳といったら、想像するに“ヨボヨボ”というのが普通だったと思うから。
事程然様に、“高齢者の概念”も時代と共に変容している。「老け役=ヨボヨボ」という感じも、今では「一寸変だなあ。」という印象を与える事“も”在るだろうし。
田中邦衛氏達としては、嘗て自分達が触れて来た老人像”というのが在るのかもしれません。其れを意識してしまうが余りに、却って見ている側に違和感を覚えさせる事も。
田中邦衛さん演じる老大工と昔の仲間達のシーン。なぜか一同の演技に元気がないことを不審に思った三谷さん、突然はっと気が付いたそうです。
「この人達は『老人』を演じている!」
彼等全員が既に「老優」であったにもかかわらず(爆)。