ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「カッコウの卵は誰のもの」

2010年03月14日 | 書籍関連
バンクーバー・オリンピックで行われたウインター・スポーツの数々には、世界中で多くの人が魅了された。1月に刊行された東野圭吾氏の小説「カッコウの卵は誰のもの」は、そのウインター・スポーツで並外れた能力を発揮する2人の若者を中心にして描かれている。

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スキーの元日本代表・緋田宏昌には、同じくスキーヤーの娘・風美が居る。妻・智代は風美が2歳になる前に自殺し、それ以降男手一つで彼女を育てて来た。

或る日、智代の遺品を整理していた宏昌は、“風美が生まれた時期に”智代が流産していた事実を知る。「風美は智代から生まれたのではない?では、母親は誰なのか?」。風美にその事を隠し、懊悩の日々を送り続ける宏昌。

風美がスキーヤーとして高く評価され始めた頃、「緋田父娘の遺伝子」に付いてスポーツ医学的研究の要請が在り、更には風美の競技出場を妨害する脅迫状が届く。複雑に縺れた殺意は・・・。
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以前の記事「闇雲に金銭を投入すれば良いというものでも無い」にspa supernova様が書き込んで下さった様に、競技には人種による向き&不向きが在ると良く言われる。「人種の違いによる“平均的な”体格や能力等の差」が反映している訳だが、この小説では「競技に適した遺伝子の組み合わせ」というのが題材。競技別に最適な遺伝子の組み合わせを持つ人材を捜し出し、そして彼等を徹底的に鍛え上げれば、効率良く超一流選手を育成出来る。それが出来る者は、“大金脈”の掘り当てをも意味していた。

様々な思惑を有し、競技に取り組む選手達。中には家庭の事情から、不承不承練習している者“も”居る。そして、競技者を「単なる広告塔」と見做しているスポンサー企業“も”。そういった裏側が描かれていたりと、興味深い内容だった。

タイトルの「カッコウの卵」という部分で、この小説のプロットを読み取れてしまう人も結構居るのではないだろうか。雑誌連載時のタイトルは「フェイク」だったそうだが、タイトル変えしなかった方が(一部とは言え)ネタバレの可能性は低かった様に思う。

とは言え、“真犯人”に関しては完全に外してしまったし、ストーリーが面白いので一気に読み終えてしまった。「血は水よりも濃い。」が、必ずしも正で無い事も在るのだ。

総合評価は星3.5個

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4 コメント

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NHK (spa supernova)
2010-03-14 11:34:50
ごく最近ですが、NHKで遺伝子とスポーツエリートの関係を特集していましたね。
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>spa supernova様 (giants-55)
2010-03-14 12:35:17
書き込み有難う御座いました。

NHKでそんな番組をやっていたんですね。この手の研究は嘗てのソ連や東欧諸国等、社会主義国家で顕著だったイメージが在ります。

以前の記事でも書いた様に、「運動能力よりも知能の方が遺伝し易い。」という説も在りますが、実際の所はどうなんでしょうね。
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Unknown (マヌケ)
2010-03-14 13:42:46
子供のころ、鳥類図鑑で知りました。 他の鳥の卵を育てる習性があるという不思議な鳥。 種の保存の役割を与えられたのでしょうね。 もし間違えて蛇の卵を返したらどうなるのだろうと、それはそれで別のストーリーができそうですが。 カッコウで思い出したのは昔見たジャック・ニコルソンの映画です。 ストーリーからしてどうしてカッコウの巣の上でというタイトルなのかがわかりませんでした。
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>マヌケ様 (giants-55)
2010-03-14 22:06:27
書き込み有難う御座いました。

カッコウは他の鳥(モズ等)の巣に托卵(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%98%E5%8D%B5)する習性が在り、托卵された側の親鳥は自身の子供と信じつつ一生懸命“他人の子供”を育てるんですよね。そればかりかカッコウの雛は“本当の子供達”を巣から突き落とし、餌を独占するという身勝手さ。恐るべき習性です。

「カッコウの巣の上で」、本当に不思議なタイトルです。社会人になってプライベートで英語学校に通った際、其処の教師に「あのタイトルはどういう意味なのか?」と質問した所、「cuckoo's nest」はスラングで「精神病院」を意味しており、あの作品はその精神病院から抜け出す男を描いているので、ああいうタイトルになった。」と言っておりました。その真偽を改めてネット上で確認した所、どうやら正しい様です。因に元々はマザーグースの詩から由来しているとか。
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