ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「遣る事を遣れよ!」

2023年10月30日 | スポーツ関連

先日今年のドラフト会議が行われて来たけれど、「昔のドラフト会議と比べると、大分様変わりしたなあ。」という思いを強くした。そう思う要因は幾つか在るけれど、契約交渉権獲得に纏わる“選手側の悲壮感”が、昔程では無い。というのが大きい。

昔は「事前意中の球団を明らかにし、其の球団以外が
契約交渉権を獲得した場合はプロ入りせず、“別の選択肢”を選ぶと宣言する選手。」が、毎年の様にた。そういう選手は実際に“望み”が叶わないと、悔し涙を浮かべる等、何とも言えない悲壮感が漂った物。

「意中の球団はジャイアンツ。」と言う宣言する選手が少なく無かった時代の話だが、「最早、ジャイアンツに、其れ程魅力を感じない。」という選手が増えた事に加え、「仮に意中の球団では無くても、プロ入りすればそんなに遠く無い将来、FA行使等の形で、意中の球団にも移籍出来る道が出来上がった。」というのも、選手側の悲壮感が減って来た理由なのではなかろうか。

そんなドラフト会議に関し、興味深い裏話を知った。元ジャイアンツの上原浩治氏はYouTube上で「上原浩治の雑談魂」なる番組を運営されており、先日、タイガースで約25年間スカウト務めて来られた菊地敏幸氏がゲスト。「【ドラフトの真実】元阪神スカウト菊地敏幸さんが告白!野村監督横浜高校因縁!?阪神が松井秀喜&上原浩治&松坂大輔を獲り逃した舞台裏」【動画】というタイトルで、ドラフトの裏話を語った。タイガース・ファンの間では結構知られた話の様だが、ジャイアンツ・ファンの自分としては「へー、そうだったんだ。」と。

菊地氏は、「プロ経験が全く無く、1980年代後半にタイガースにスカウトとして入団。」という変わり種。以降、約25年間に亘って“関東地区”を担当し、藪恵壹氏や川尻哲郎氏、井川慶氏、赤星憲広氏、鳥谷敬氏等の名選手をスカウトして来た人物。

そんな彼が暴露した話で最も興味深かったのは、“タイガースがドラフト会議で松坂大輔投手を指名しなかった理由”に付いて。松坂投手がドラフト会議の対象となったのは1998年の事で、「此の年のドラフト会議は、怪物・松坂1人に注目が集まっていた。」と言っても良い程だった。そんな超目玉選手を、タイガースも1位指名する気満々だったと言う。此の年の夏は・・・。

然し、ドラフト会議が開催される頃には、タイガースの松坂投手指名は消滅。「タイガースの新監督に、野村克也氏が招聘される事になったから。」だ。どういう事かと言えば、菊地氏曰く野村家、ハッキリ言ってしまうと(ノムさんの妻)“サッチー”と横浜高校とが良い関係では無かったから。と。ノムさんは少年野球を運営しており、サッチーが現場介入していた事は知られている。「少年野球の教え子達が野球強豪校に進む際、サッチーが学校側に様々な“見返り”を要求し、トラブルになった事も在る。」という報道が昔されたが、恐らくはそういった事で「野村家と横浜高校は、険悪な関係になった。」と思われる。

詰まり、此の年にノムさんがタイガースに監督として招聘されなければ、タイガースはドラフト会議の1巡目で松坂投手を指名し、契約交渉権を引き当てていたかも知れなかった訳だ。仮定の話をしても詮無い事だが、タイガースに松坂投手が入団していたら、チームは大きく変わっていただろう。

とは言え、面白いのは松坂投手の1巡目指名を断念したタイガースが、代わりに指名&契約交渉権を獲得したのが藤川球児投手だった。という事実。タイガースが1巡目で松坂投手を指名し、そして契約交渉権を獲得していたならば、タイガースの藤川投手は誕生していなかっただろう。、もっと言ってしまえば、名投手・藤川は球界に誕生しなかった可能性すら在る。「縁は異な物、味な物。」とは男女間の関係で使う言葉だが、球団と選手の関係でも同じ事は言える。

そんな藤川投手、入団した際にブル・ペンで彼の投球を見た野村監督が「此れが“ドラ1”か。」とぼやいたそうだ。「ドラ1と言っても、大した事は無いなあ。」という意味合いのぼやきだが、藤川投手を担当していたのが「現役時代、ノムさんとライヴァル関係に在ったヴェテラン・スカウト。」で、食事中にノムさんのぼやきを伝え聞いた際、「巫山戯るな!」と皿を床に叩き付け、激怒したと言う。

松坂投手と同じ1998年のドラフトで、ジャイアンツが2巡目で指名&交渉権獲得したのが二岡智宏選手。彼は近畿大学在籍していた事から、同じ関西のタイガースは1巡目での指名を考えていた時期も在った。でも、結局は二岡選手がジャイアンツを“逆指名”した事で、タイガースの指名は消滅。菊地氏は、当時のタイガースのスカウトには、野球に詳しい人は存在したけれど、スカウトの大事な業務の1つで在る『どうしたら、取りたい選手が取れるのか?』という強い営業力を持った人が少なく、実際にそういう営業力を全くと言って良い程に発揮していなかった。二岡選手を取り逃した大きな要因でも在ったと思う。という趣旨の発言をされていた。

「松井秀喜氏や上原浩治氏はプロ入り前、熱心なタイガース・ファンだった。」というのは、結構有名な話。だから、タイガースのスカウト陣が強力な営業力を発揮していたなら、彼等がタイガースを逆指名する等、展開を有利に進めさせる事は出来たろうし、結果としてタイガースへの入団という可能性も在ったろう。「松井選手に関しては1巡目で指名し、引きで外してしまった。」けれど、「上原投手に関しては、関西担当のスカウト陣から其の名前すら上がっていなかったと思う。」と菊地氏は語った上で、「『(スカウトは)遣る事を遣れよ!』と思っていた。」と嘆き節。当時の“営業力の無いスカウト達”は其の後、皆、首になったとか。

其れを聞いた上原氏が、(スカウトが)遣る事遣ってないから、“運”が逃げて行っている。と言っていたが、本当に其の通りだろう。今のタイガースのスカウト陣は営業力を発揮しているからこそ、チームは強くなったのだと思うが。


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