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大学生の久能整(菅田将暉氏)は、独自の価値観と持論にて、淡々と会話で謎を解き明かしていた。美術展を見に広島を訪れた整は、或る事件で知り合った青年・犬堂我路(永山瑛太氏)を通して、高校生の狩集汐路(原菜乃華さん)に出会う。整は、代々死者迄出る狩集家の遺産問題を巡るアルバイトを持ち掛けられ・・・。
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田村由美さんによる日本のミステリー漫画「ミステリと言う勿れ」は、昨年TVドラマ化された。主人公・久能整(くのう ととのう)は大学生で在り、そして探偵役でも在る。「ヴォリューミーな天然パーマの髪に仏頂面。非常に神経質で、空気が読めない言動を平然と行う。」という癖の強いキャラクターなのだが、「シャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ、金田一耕助、湯川学等々、古今東西の名探偵達の多くが変人的な部分を有している。」ので、そういう意味では久能も名探偵の素質が在ると言える。
で、映画「ミステリと言う勿れ」を観て来た。今回、久能が巻き込まれるのは、“莫大な遺産の相続人1人を決める謎解き”。相続人候補は狩集汐路を始めとした4人で、被相続人から見ると全員が孫に当たる。狩集家では代々、遺産相続を巡って死者が何人も出ており、今回も其の可能性が高いと言う。久能が口にしていた様に、「犬神家の一族」を思わせる設定だ。
久能の空気を読めない言動の数々は相変わらずで、其の事で周りが微妙な雰囲気になるのが、観ていて笑える。菅田氏にとって、塡まり役と言えるだろう。
で、肝心な謎解きの部分だが、はっきり言って物足りなかった。と言うのも、「真犯人を含めて、凡読めてしまった。」からだ。「或る人物が漏らした一言に違和感を覚え、其処から其の人物が真犯人で在ろう事は予想が付いた。そして、色々推理を働かせたら、凡の謎が解けててしまった。」という感じ。
唯、犯行動機が判らなかった。そして、犯行動機が明らかになった際、「何だ、其れ!?」という思いが。ネタバレになってしまうので詳しくは書かないが、「動機=或る事を成し遂げなければならないという使命感」で在り、此れが全く理解出来ない代物なので。「“現在”、存在するのかどうなのか自体が把握出来ていない“其れ”に対し、強い恐怖心を感じ続けており、何とか排除し様とする思いが犯行動機。」というのは、個人的に「そんな事で!?」と理解不能。納得出来ない動機により、作品の評価が大きく下がってしまった。
2つの点で久能は、「足りない。」と口にする。具体的に何が足りないのかが明らかになった際、「成る程!」と感心してしまった。特に“蔵の名前に関して足りない物”は、実に面白い設定だ。
総合評価は、星3つとする。