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夏休み。金子琴美(かねこ ことみ)の家に、子供達の謎を解決してくれる青年・佐野隆(さの たかし)が遣って来た。永瀬祥子(ながせ しょうこ)は想い人から、思いも寄らぬ相談を持ち掛けられる。呉沙也香(くれ さやか)は、其れとは知らず、大人達の“不都合な真実”を掘り起こす。其れ其れの謎を追い掛けた、其れ其れの夏休み。悪意が自分に向けられるとは、想像もしていなかった。意外な繋がり、意外な真相。
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元書店員という経歴を生かし、書店を舞台にした作品を多く著して来た大崎梢さん。小説家としてデビューしてから今年で14年が経ち、気付いてみれば書店を舞台としない作品も増えている。そんな彼女の作品「さよなら願いごと」を読んだ。
「さよなら願いごと」は4つの章から構成されているが、最後の章を読む迄は“其れ其れ全く無関係の4つの短編小説”なのかと思っていた。「最初から3つの章では、其れ其れ重なる事の無い人物が登場した。」からだ。最後の章で彼等の繋がりが明らかとなる。
そんな構成という事も在り、兎に角、登場人物が多い。登場人物が多い上、最後の4章にならないと、其れ其れの章の“時間軸”が良く判らないので、頭の中が混乱してしまう。
内容的にも「良く在るパターンだな。」という感じだし、「第2章の最後で祥子の母親に、『何か危険が迫るのか?』と読者に思わせて、結局は何も起こらなかった。」様に、良く判らない展開が在ったりもする。色んな面でモヤモヤ感が残り、すっきりしない作品だ。大崎作品の中では、一番の駄作ではなかろうか。兎に角、がっかりさせられた。
総合評価は、星1.5個とする。