大河ドラマの第62作として今年放送されて来た「どうする家康」【動画】が、昨夜最終回を迎えた。其処で今日は、此の番組の総評を記したい。
結論を先に書くと、「近年の大河ドラマの中では、『いだてん ~東京オリムピック噺~』【動画】と同じ位に駄目な作品だった。」というのが自分の感想。
第62作が「どうする家康」に決まった際の記事でも書いたけれど、「大河ドラマでは何度も何度も登場し、『もう御腹一杯!』という感じの徳川家康が主人公なのに加え、個人的に“苦手”な松本潤氏が主役。」という事で、「当初から、作品への期待は低かった。」というのが在る。
で、実際に初回放送を見たら、「まあまあだな。」という感じだった。其れは「“徳川家康の情けない部分”が主に描かれて行くという“新鮮さ”が在ったから。」で在り、又、「周りを固める俳優達の演技力に期待したから。」というのが在る。
でも、見続けて行くと、どんどん“粗”が気になって来た。ファンの方には申し訳無いけれど、松本氏の演技が下手過ぎ。“現代物”では誤魔化しが効いたかも知れないが、“時代物”では演技力の拙さが出てしまう。「現代物で演じていたのと同じスタンスで時代物を演じており、どうにも役が板に付いていない。」のだ。「周りを固める俳優達は、概して演技力が在る。」だけに、松本氏の浮き具合は気の毒な程だった。
そして、最も駄目さを感じたのは“ストーリー”。「時代物で在っても、ドラマで在る以上は、或る程度のフィクションは在っても良い。」とは思っているけれど、「どうする家康」はフィクションの度合いが“限度”を超えていた。最たる例は「徳川家康と正室・築山殿との関係性(描かれ方)」。歴史に少しでも興味が在る方ならば御存知の事と思うが、「様々な文献によれば、『此の2人の関係は良く無かった。』。」というのが“定説”なのに、「どうする家康」の中では、此の2人は最期迄“純愛”を貫いたという、実に“安っぽい悲恋物”となっていた。こうなってしまうと、“許されるフィクションの範囲”を超えてしまっている。
大昔、ドラマ「赤い運命」【動画】の中で、時のトップ・アイドルにして主役の山口百恵さんを徹底的に虐め抜く役所だった秋野暢子さんに対し、「百恵ちゃんを虐めるな!!」という抗議が殺到したのは有名な話。中には「剃刀入りの封筒が送り付けられて来た事も在った。」とか。
今も昔も「演じている役所の性格が、其の役者本人の其れと同一と思い込んでしまう人。」は一定数存在するだろうし、「そういう事を恐れたジャニーズ事務所が、『内の松本を主役で出して“上げます”が、其の代わり、絶対に“嫌な役”にはしないで下さいよ!!』と念押ししたか、同事務所に“忖度”したNHK(乃至は脚本家)が配慮し過ぎたのでは?」と思ってしまう位、「史実からすると『おかしいだろ!』と疑問を感じてしまう程に、家康が良く描かれていた。」と思う。なので、歴史が好きな人で在れば在る程、「どうする家康」への興味は失せて行ったのではないか?自分は何とか最後迄見続けたけれど、周りでは「余りにも内容が酷いので、途中で見るのを止めた。」という人が多かったし。
で、来年、大河ドラマの第63作として放送されるのが、紫式部の生涯を描いた「光る君へ」。去年の記事「2年連続で詰まらなさそう」でも記した様に、「女性が主人公の大河ドラマは、概して“家庭内部”を描く様な作品が多く、魅力に欠ける。」という思いが在り、正直期待していない。「良い意味で期待を裏切ってくれる内容。」で在る事を望むが・・・。