去る人

ジャイアンツＯＢ会の副会長に就任した柴田勲氏。（張本勲氏がジャイアンツの選手だった頃、試合で乱闘騒ぎが起こると敵チームの選手では無く、自チームの柴田氏をドサクサに紛れて殴ろうとしたという“犬猿の仲伝説”がＷｉｋｉｐｅｄｉａの情報に載っていたのは笑ったが。）彼が新人時代、二軍での苦しい日々を「練監ブルース」の替え歌「多摩川ブルース」として作ったのは有名な話。こちらの情報によると、その歌詞は下記の様になっている。

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人里はなれた多摩川に　

野球の地獄が在ろうとは

夢にも知らない娑婆の人

知らなきゃおいらが教えましょう

マイクロバスに乗せられて　

揺られて行く先は　

その名も高き多摩川の　

東京巨人の練習場　

一年二年は夢の内

段々消え行く同期生　

今年は俺も危ないと　

夜も眠れぬオフシーズン
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ポーカー賭博事件で現行犯逮捕され、その謝罪会見にトランプ柄のセーターを着用して登場するという“素晴らしいギャグ・センス”を持った柴田氏だが、「多摩川ブルース」の詩は只管シリアスな内容。レギュラー選手に成り得ておらず、明日の見えない不安な日々を過ごす野球選手の姿が如実に表れている。

ドラフト会議で指名を受け、憧れのプロの世界に飛び込んで来る選手達が居る一方で、それとほぼ同数の選手達が戦力外通告を受けたり、引退したりしている。その数は、毎年１００人前後とも。今年も多くの選手達が戦力外＆引退の身となっており、１１月から１２月にかけての球界は、そんな「光と陰」が交錯する時期なのだ。（元ファイターズ選手で、現在は楽天イーグルス・ＢＡＳＥＢＡＬＬ　ＳＣＨＯＯＬのジュニアヘッドコーチ補佐を務めている今関勝氏が以前、御自身のブログに「プロ野球解雇後」という記事を書いておられる。解雇される迄の経緯が詳しく記されていて、非常に参考になった。）

華やかな引退セレモニーをして貰える選手なぞ、ほんの一握り。又、引退後も野球関連の仕事に就ける者は、その一握りに或る程度のプラスした人数だろう。その他大勢は、野球と無関係な世界に放り出されるのが現実。実に厳しい世界で在る。