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「ヒーロー雑誌が苦境 男の子なら通る道、じゃ無くなった」(2月15日、朝日新聞)
特撮ヒーローと共に歩んで来た、子供向けのTV雑誌が苦境に直面している。今年で創刊50年を迎える老舗雑誌「テレビマガジン」(講談社)の部数は、全盛期の10分の1。世代を超えたファン層の開拓へ、取り上げるテーマの幅を広げるといった試みも始まっている。
テレビマガジンやライヴァル誌「てれびくん」(小学館)は、主に未就学の男児向けの月刊誌。特撮ヒーローのカラー・グラヴィアや特集記事が、コンテンツの中心だ。ヒーローが身に付けるベルトや武器等を作れる付録が付く事も多い。
テレビマガジンが創刊した1971年は、仮面ライダーのTV放映が始まった年。ブームに乗って部数を伸ばし、「仮面ライダーV3」が放映されていた1973年には、発行部数が66万部でピークに達した。
競合誌が林立した時代も在ったが、1984年に秋田書店の「TVアニメマガジン」が、徳間書店の「テレビランド」が1997年に休刊。残るのは、テレビマガジン以外では「秘密戦隊ゴレンジャー」ブームの1976年に創刊したてれびくんだけだ。
当初の購読層は小学生。カラー・グラヴィアは少なく、「天才バカボン」や「ムーミン」等の漫画が多くを占めた。「講談社で、一番優秀な編集者が集まるのは『テレマガ』。」と言われ、編集部には学校帰りの子供達が立ち寄り、誌面に意見を言ったり、校閲を手伝ったりしていたと言う。其の後、特撮番組の視聴者の低年齢化と共に漫画が減り、グラヴィアが多くを占める今の形になった。
唯、「運命共同体」とも言うべき特撮番組の視聴率は、少子化と共に低迷して行った。
ビデオリサーチによると、シリーズ第1作の「仮面ライダー」の最高視聴率は30.1%だったが、現在放映されている「仮面ライダーセイバー」は4.3%。「スーパー戦隊」物も同様の傾向で、1975年に放映が始まった「秘密戦隊ゴレンジャー」の最高視聴率が22.3%だったのに対し、最新作「魔進戦隊キラメイジャー」は4.4%(視聴率は、何れも関東地区。)だ。
視聴率の低下は、部数減に直結した。テレビマガジンは此処数年5万~7万部で推移し、てれびくんもピークの半分以下の20万部弱だ。
ヒーロー雑誌は、衰退する一方なのだろうか。
テレビマガジンの岡本朋子編集長は、「存在は未だ未だ大きいが、戦隊やライダーが嘗ての様に『男の子なら、必ず通る道。』では無くなっている。」と分析する。
出版不況の中でも「おしりたんてい」といった児童書は人気だが、雑誌に追い風は吹いていない。岡本編集長は「知育ドリルを過去に載せた事も在ったが、ヒーローが格好良過ぎる所為か、反応が今一だった。」。
昨年からはTV番組以外に、ユーチューブ・チャンネルを取り上げる記事を増やし始めた。特撮の過去作品も含め、紹介するキャラクターの幅も広げる。深掘りしたいテーマのニーズには、6年前に始めたムック・シリーズで応える。売り上げは好調だと言う。
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昨年6月の記事「子供向け雑誌の付録」でも触れたけれど、自分が幼かった頃は“子供向け雑誌”で溢れていた。そんなには購入して貰えなかったが、購入して貰えた際には連載されている漫画や記事を夢中になって読み、そして付録を一心不乱に組み立てた。付録と言っても、今の様なハイテクな物では無く、紙製の物が殆ど。其れでも、「紙製のちゃちなレコード・プレーヤー”を組み立て、矢張り付録のソノシートを載せて聞き、大興奮する。」等、子供心に豪勢さを感じていたっけ。
子供向け雑誌の中でも、子供向けTV雑誌は非常に人気が高く、仮面ライダー・シリーズを始めとした特撮物の特集で、今後の展開等を知り、胸を躍らせる子供達は少なく無かった。そんな子供向けTV雑誌が、今は苦境に立たされていると言う。子供向けの雑誌コーナーを覗く機会が無いので、「そうなんだ。」と意外な思いが。
と言うのも、「仮面ライダー・シリーズ」や「スーパー戦隊シリーズ」は長きに亘って放送されているコンテンツで在り、数多くのイケメン俳優を輩出し続けている(所謂「平成仮面ライダー・シリーズ」に関してパッと思い浮かぶだけでも、オダギリジョー氏、水嶋ヒロ氏、佐藤健氏、瀬戸康史氏、菅田将暉氏、福士蒼汰氏、竹内涼真氏等を生み出している。)ので、子供向けTV雑誌も、其れなりに売れていると思っていたから。
子供向けTV雑誌が苦戦しているというのも意外だったが、其れ以上に意外だったのは「最新の仮面ライダー・シリーズでは4.3%。最新のスーパー戦隊シリーズでは4.4%の視聴率しか稼げなかった。」という事実。「何事も長く続いていると、人気は落ちて行く物。」だが、“イケメン俳優の登竜門”と言っても良い特撮番組だけに、てっきり「高い視聴率を稼いでいるんだろうな。」とイメージが在ったので。