ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「白日」

2021年02月17日 | 書籍関連

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千日出版の教育部門で課長を務める秋吉孝輔(あきよし こうすけ)に、衝撃的な情報が入った。事業を率いる梶原(かじわら)局長の3の息子・幹夫(みきお)が、謎の転落死遂げたと言うのだ。部署が一大プロジェクト「大手進学塾と合併して社を独立、IT企業との提携、最新技術を駆使した『引き籠もり不登校対策』を打ち出す新時代の高校を開校。」に臨んでいた時だった。

プロジェクトは一時中止になり、「幹夫の死は事故で無く、自殺だった。」という噂が、社内では急速に広まる。秋吉は部下の前島亜寿香(まえじま あすか)と調査を開始するが、人事課の飴屋三津稔(あめや みつとし)から警告される。以前から、社長派と専務派が対立する社内。会社の上層部は、秋吉に隠蔽働き掛ける。少年の死という状況の下、彼等が気にするのは、自社の利益追求保身だった。

信頼出来ない上司、暴走する部下、情報戦の様相呈す社内派閥抗争最早、社内に信用出来る者はない。

「子供達
の未来のに、新しい学校を作る。」というを持って、教育事業を推進して来た秋吉の運命は?そして、少年の死の真相は?
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ミステリー・ランキングの常連となった月村了衛氏の小説白日」を読了。「引き籠もり&不登校の生徒達の為の高校を作る。」という目標の下、千日出版の教育部門が幾つかの企業と打ち合わせを続け、何とか形になりそうな状況になった時、先頭に立って一大プロジェクトを率いて来た梶原局長の息子・幹夫が急死する。ビルからの転落死という事だったが、次第に「幹夫は、自殺したのではないか?」等の噂が、社内外で飛び交う様に。

秋吉の娘は以前、虐め遭い、引き籠もり&不登校となった。其の事で苦しんだ秋吉一家を救ったのは、優秀で優しい幹夫。そんな彼の事を知っているからこそ、飛び交う彼に関する噂をどうしても信じられず、秋吉は
真実追及の為に調査に乗り出す。一方、「噂が事実ならば、一大プロジェクトに関わった企業は大きなダメージを受けてしまう。」という事で、社内外に大きな動揺が広がり、秋吉は「隠蔽か?又は真実追及か?」という相反する決断を迫られる。

そんな感じのストーリーなのだが、「月村氏は、何を書きたかったのだろうか?」という疑問が、読み終わった後に残った。「幹夫の死の真相、社内抗争、引き籠もり&不登校問題等々、様々な要素が詰め込まれているのだけれど、結局は全て中途半端に終わってしまっている。」という感じがするので。

社会人として組織に属していれば誰しも、人間のな面は少なからず見させられる。(“イヤミス”で無ければ)「そういう不快な経験を何度も味わわされて来た主人公が、最後の最後で救われる。」という展開の小説も在り、多くの人は爽快な思いになったりする訳だが、「白日」の場合は、そういう点でも中途半端。様々な点で、モヤモヤ感が残る作品だ。

総合評価は、星3つとする。


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