*********************************
地表から600kmも離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロックさん)とヴェテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー氏)。すると、スペース・シャトルが大破するという想定外の事故が発生し、2人は1本のロープで繋がれた儘、漆黒の無重力空間へと放り出される。
地球に戻る交通手段で在ったスペース・シャトルを失い、残された酸素も2時間分しかない絶望的な状況で、彼等は懸命に生還する方法を探って行く。
*********************************
「91分という短い時間の中に、SFだアクションだ恋愛だと、様々な要素が詰まった面白い作品。」等と、高い評価を得ている映画「ゼロ・グラビティ」を観て来た。*1
「色んな意味で驚かされた映画」というのは、此れ迄にも幾つか在った。20年前に公開された映画「ブルー」もそんな1つで、「最初から最後迄、スクリーンに映っているのは青色だけ。」というのには唖然とさせられたもの。
「ゼロ・グラビティ」も「色んな意味で驚かされた映画」として、忘れられない存在になりそうだ。何しろ91分の間に顔出しで登場する人物は2人だけと言って良く、其の内の1人で在るジョージ・クルーニー氏も“脇役”と言って良い感じ。極端な言い方をしてしまえば、「サンドラ・ブロックさんの1人芝居状態な映画」なのだ。「個人制作の映画」ならいざ知らず、所謂「ハリウッド映画」で、こんな大胆な設定は記憶に無い。
「スペース・デブリ(宇宙塵)が増加し、宇宙空間を飛び交う其れ等によって、人工衛星や有人宇宙船等の施設が破壊されたり、乗員の生命が脅かされる可能性が高まって来ている。」という話は知っていたが、高速で飛び交うスペース・デブリを映像として見ると、改めて怖さを感じた。無重力空間では、俊敏な動きが出来ないだけにだ。
「映画と言うよりも、TDLやUSJでアトラクションを体験しているみたいな感じ。」というのが、此の作品を見ての感想。91分という短さや3D、そして「ストーリー的に深みが無く、映像を楽しみ作品。」という点で。
「宇宙空間に放り出され、行方不明になったマットが、唐突に現れ、そして船内に入り込んで来た。」時には、「余りに御都合主義だなあ。」と呆れ返ったが、“ああいう展開”なら在りなのかもしれない。個人的には在り来たりな展開に感じられ、少々白けたが。
映像は楽しめたし、御金を出して観る価値は在ると思うけれど、大絶賛する程の作品とは思えなかった。総合評価は、星3つとする。
*1 「お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法」というブログを運営されているKei様が、「ゼロ・グラビティ」という記事の中で、「(此の作品には)“命の再生”のメタファーが随所に盛り込まれている。」と具体的に例示された上で、不朽の名作「2001年宇宙の旅」には「“生命の誕生”のメタファー」が仕込まれており、「『ゼロ・グラビティ』は、『2001年宇宙の旅』にオマージュを捧げているのかもしれない。」と指摘されていた。言い得て妙で在る。
宇宙滞在者が増えて行く過程で、仰る様に「スペース・デブリの回収」というのが必要となって来るでしょうね。
3D版を観た事も在り、無重力空間に放り込まれた際の“パニック度”は、我が身の様に感じられましたし、巨大な宇宙に於ける人間の小ささを思い知らされた作品でした。