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嘗て祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して、村から追放されたのだ。彼女は何故、余命僅かだった筈の曾祖父を殺さねばならなかったのか?
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「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の7位、そして「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」では5位に選ばれた小説「許されようとは思いません」(著者:芦沢央さん)は、5つの短編小説から構成されている。冒頭の梗概は、表題作「許されようとは思いません」に付いて。
芦沢さんは5年前の2012年、「罪の余白」で文壇デビュー。此の作品は2015年に映画化されたそうだが、全く知らなかった。今回、初めて彼女の作品を読んだ。
全体を通して感じたのは、「湊かなえさんっぽい作風だな。」という事。「読むと嫌な気分になるミステリー。」を“イヤミス”と呼び、湊作品は其の代表格の様な存在だが、テーストが似ている気がする。「ありがとう、ばあば」や「絵の中の男」なんぞは、「湊かなえさんの作品です。」と言われたら、信じてしまいそうだし。そういう意味では目新しさが無いし、二番煎じ的な感が否めない。
「こういう展開になって行くんだろうな。」という察しは付いたものの、5作品の中でストーリー的に面白かったのは「目撃者はいなかった」という作品。「不都合な出来事を隠そうとすればする程、泥沼に嵌って行く。」というのは小説や映画では良く在るパターンだが、現実にも結構在ったりで、身につまされる内容。
「許されようとは思いません」は、上記の様に“ミステリー関連の年間ブック・ランキング”のベスト10に入っただけで無く、第38回吉川英治文学新人賞の候補にも選ばれる等、高い評価を得ている。でも、個人的にはぴんと来なかった。「二番煎じ感が否めない。」というのが、一番大きい理由だ。
総合評価は、星3つとする。