人家も疎らで、狸や雉等が普通に見掛けられたで在ろう場所を、ディベロッパーが大々的に宅地開発したのは、もう40年近く前の事らしい。我が家はそんな一角に在るのだが、初期の頃に売り出された地区では、当然の事乍ら住人の高齢化が著しい。
此処数年、そういった地区を散策していると、空き家や更地を目にする機会が格段と増えて来た。高齢化した住人が老人福祉施設等に移り住むも、所有している家が売れずに其の儘にしているのか、又は「古い家が建っているよりも、更地の方が売れる可能性が高い。」と更地にしたのだろう。
少なからずの空き家が在る中、断トツに古い空き家が在る。恐らくは、30年以上空き家の状態。飽く迄も噂だが、「購入してから間も無く、旦那さんに愛人が出来、其れで離婚する事になって、共に家を離れた。」という事だ。貧乏人の自分からすれば、「空き家の儘にしておくなんて、勿体無いなあ。固定資産税の支払いも馬鹿にならないだろうし、誰かに貸すか、又は売却すれば良いのに。」と思い続けているのだが、此れ又噂によると、旦那さんはそこそこのセレブらしいから、そんなのは些末な事なのだろう。(「別れた奥さんを殺害し、室内に隠しているから、売るに売れないのでは?」なんていうとんでもない噂を耳にした事も。)
で、其の空き家は、ずっと窓シャッターが閉められた儘。誰も住んでおらず、空気の入れ替えもされていないだろうから、室内は相当傷んでいる事だろう。周り近所からクレームが出ない様にとする為か、庭木は業者か何かに委託して定期的に手入れをしている様で、取り敢えずは“ジャングル状態”にはなっていない。
しかし、家の外観は空き家というのがハッキリ判る程、傷みが著しい。壁は全く塗り直しがされていないので、汚いというレヴェルを超えている。雨樋や軒天井等、壊れている部分も結構在る。申し訳無いけれど、もし隣にこんな空き家が在ったら、凄く嫌だ。
此の空き家の前を通る度、不思議に思う事が在る。屋根に敷かれた瓦の“表面”が、尋常では無い程汚れているのだ。両隣の家(勿論、人が住み続けている。)は同時期に建てられ、両方とも建て直しはされていないし、瓦も全く変えられていない(瓦の“掃除”をしているのも見た事が無いし。)のだが、其の家の瓦と比べても尋常では無い程に汚れている。
ずっと空き家になっているという事で、室内が傷むのは理解出来るのだが、野外の瓦の表面があんなにも汚れてしまうというのは、一体何なのだろうか?室内の換気が行われていない事が、瓦の表面(無換気により、瓦の裏面に何等かの影響が出るというのならば、未だ判らないでも無いのだが。)に影響を与えるとも思えないし、不思議でならない。