ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「特殊防諜班 連続誘拐」

2023年06月02日 | 書籍関連

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宗教団体教祖の奇妙な誘拐事件が、相次いで発生した。教祖達は無事解放され、一様に何も覚えていない。だが、雷光教団・東田夢妙斎(ひがしだ むみょうさい)の事件は違った。真相を追う「首相の代理人」真田武男(さなだ たけお)は、に在る巨大な陰謀と、遥か古代から受け継がれた血の伝承を捜し当てる。
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作家今野敏氏が文壇デビューを果たしたのは1978年の事なので、今年で45年が経つ事になる。上梓された作品は210冊を超えているが、凄いのは守備範囲の広さだ。此方を見れば御判りの様に、警察小説SFヴァイオレンスアクション伝奇オカルト時代小説等々と、「良くもまあ、こんな多くのジャンル手掛けられた物だ。」と感心してしまう。

今回読んだ「特殊防諜班 連続誘拐」は、元々「新人類戦線 “失われた十支族” 禁断の系譜」というタイトルで1986年、同氏のデビュー8作目として上梓された物だと言う。其の後、3度の改題&3度の文庫化がされたそうで、手元に在る文庫版でも初版は2008年。詰まり、此の文庫の初版でも15年前、最初に上梓された「新人類戦線 “失われた十支族” 禁断の系譜」に到っては、何と37年も前の事になる。

首相直属の“防諜組織”として、秘密裏に設立された“特殊防諜班”。特殊防諜班といっても、構成員は「陸幕第2部別室室長の早乙女隆一(さおとめ りゅういち)辞せ。」と「頭脳明晰にして、実戦能力も秀でているが、一匹狼協調という元自衛官・真田武男。」という2人だけ。真田に宛てがわれた部屋非常に薄汚く、とても特殊防諜班の一員という扱いでは無い。

兎に角真田という男が実に個性的。「29年前、秩父山系の谷で、獣皮襤褸包まれた赤ん坊として発見された。」という彼は、長い間放置されていたので衰弱し切っていたけれど、保護されると恐るべき生命力を発揮し、奇跡的に回復。身寄りの者は発見されなかったので、養護施設で育ったという孤児だ。生まれ乍らにして、数奇運命弄ばれていた。という感じがする。

今回の作品は、ユダヤ人渡来説」を軸に据えた、伝記的風味溢れる冒険活劇 小説。大昔、月刊オカルト雑誌「ムー」を、馬鹿にし乍らも結構読んでいた自分、こういうテーマは嫌いじゃ無い。謎の組織が連続誘拐を繰り返している理由には「何だ其れ!?」と現実味を感じないが、“宗教”とは所詮、そういう類いの物なのだろう。

元々は37年も前に上梓された作品なので、携帯電話が登場しなかったり、公衆電話が普通に存在していたりと、“古臭さを感じる部分”は正直在る。でも、扱っている内容自体は、然程古臭さは感じない

現実味は感じられない。でも、まあまあ面白い。というのが、読み終えた際の感想。「特殊防諜班シリーズ」は全7作品上梓されている様なので、続編を読んでみたいと思う。

総合評価は、星3つとする。


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