映画「単騎、千里を走る」*1を先週末見て来た。土曜日というのに余りにも観客が少なく、心配になって数を数えた所、自分等を含めて僅か15人しか居なかった。こんなに観客数の少ない映画を観たのは、勝新太郎氏主演の「迷走地図」以来かもしれない。若干の心細さを抱える内に映画は始まった。
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或る日、漁師の高田(高倉健)*2は、長期に亘って絶縁状態だった息子・健一(中井貴一)が病に倒れたとの連絡を息子の嫁で在る理恵(寺島しのぶ)から受ける。見舞いの為に急遽上京した高田に対し、息子は面会を頑に拒絶する。遣り切れない思いを抱えて病院を後にする高田に、理恵は1本のビデオテープを渡す。民俗学を研究している健一が、中国の奥地・李村の民俗舞踊を紹介している内容だった。舞踊家・李加民(リー・ジャーミン)に「来年、李さんの舞う『単騎、千里を走る』を必ず撮りに来ます。」と語る健一の声が其処には在った。
その後、健一の余命が長くは無い事を知った高田は、息子が果たせない(で在ろう)”約束”を自らが果たそうと、健一や理恵に内緒で単身中国に旅立つ。李村に住む李加民という名前しか手掛かりの無い高田は、半端では無い程日本語の下手な通訳・邱林(チュー・リン)を伴い李村に向かう。
意思疎通が全くと言って良い程図れない異国の地で、息子の為にという一途な思いから、李加民の舞う「単騎、千里を走る」を撮ろうと奔走する高田。悪戦苦闘する彼の姿に、通訳の青年・邱林を始めとする現地の人々の心は動かされて行く・・・。
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知っている役者は高倉健氏と寺島しのぶさんだけという、申し訳無いが豪華さには欠けるキャスティング。(声だけの出演だった健一役が中井貴一氏だったというのは、観終ってから知った程。)ストーリーもハッキリ言って、起伏の無い平坦なもの。息子の為に奔走する高田に、現地の人々の心が動かされて行くという展開も、やや安直な感じも受けた。
全体的に地味で、ストーリーとしては星2つという感じの内容。唯、中国奥地の雄大な景色が堪能出来るし、李加民の息子ヤン・ヤン(ヤン・ジェンポー)のあどけない表情が何とも愛苦しい。日本では見掛けなくなった、昭和30年代の子供の顔とでも言おうか。
それにしても、息子の為とはいえ、刑務所に入っている李加民に舞って欲しいと現地人を振り回す高田の姿には、「フライト・プラン」のジョディ・フォスターの姿がオーバーラップしてしまった。あれだけ廻りを振り回して、やっとの事で李加民の舞のセッティングをして貰えたと思ったら、「撮影はしません。」と断りを入れる(結局は撮影する事になったのだが。)のも、その経緯が判ってはいても「何だかなあ。」という思いが無くはなかった。
全体としては、星3つという評価の作品。
*1 「単騎、千里を走る」とは、「三国志」の中で曹操によって捕われの身となった関羽が、最後迄義兄弟の劉備への仁義を貫き通し、劉備の妻子と共に曹操の下を脱出。単騎で千里を駆け抜け、劉備の下へと無事戻ったという逸話を舞踏仕立てものだそうだ。
*2 今回は掘っ立て小屋に住む漁師役だった高倉健氏。本当にこの人程、僻地で孤独に生きる男の役が似合う人は居ないと改めて思った。
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或る日、漁師の高田(高倉健)*2は、長期に亘って絶縁状態だった息子・健一(中井貴一)が病に倒れたとの連絡を息子の嫁で在る理恵(寺島しのぶ)から受ける。見舞いの為に急遽上京した高田に対し、息子は面会を頑に拒絶する。遣り切れない思いを抱えて病院を後にする高田に、理恵は1本のビデオテープを渡す。民俗学を研究している健一が、中国の奥地・李村の民俗舞踊を紹介している内容だった。舞踊家・李加民(リー・ジャーミン)に「来年、李さんの舞う『単騎、千里を走る』を必ず撮りに来ます。」と語る健一の声が其処には在った。
その後、健一の余命が長くは無い事を知った高田は、息子が果たせない(で在ろう)”約束”を自らが果たそうと、健一や理恵に内緒で単身中国に旅立つ。李村に住む李加民という名前しか手掛かりの無い高田は、半端では無い程日本語の下手な通訳・邱林(チュー・リン)を伴い李村に向かう。
意思疎通が全くと言って良い程図れない異国の地で、息子の為にという一途な思いから、李加民の舞う「単騎、千里を走る」を撮ろうと奔走する高田。悪戦苦闘する彼の姿に、通訳の青年・邱林を始めとする現地の人々の心は動かされて行く・・・。
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知っている役者は高倉健氏と寺島しのぶさんだけという、申し訳無いが豪華さには欠けるキャスティング。(声だけの出演だった健一役が中井貴一氏だったというのは、観終ってから知った程。)ストーリーもハッキリ言って、起伏の無い平坦なもの。息子の為に奔走する高田に、現地の人々の心が動かされて行くという展開も、やや安直な感じも受けた。
全体的に地味で、ストーリーとしては星2つという感じの内容。唯、中国奥地の雄大な景色が堪能出来るし、李加民の息子ヤン・ヤン(ヤン・ジェンポー)のあどけない表情が何とも愛苦しい。日本では見掛けなくなった、昭和30年代の子供の顔とでも言おうか。
それにしても、息子の為とはいえ、刑務所に入っている李加民に舞って欲しいと現地人を振り回す高田の姿には、「フライト・プラン」のジョディ・フォスターの姿がオーバーラップしてしまった。あれだけ廻りを振り回して、やっとの事で李加民の舞のセッティングをして貰えたと思ったら、「撮影はしません。」と断りを入れる(結局は撮影する事になったのだが。)のも、その経緯が判ってはいても「何だかなあ。」という思いが無くはなかった。
全体としては、星3つという評価の作品。
*1 「単騎、千里を走る」とは、「三国志」の中で曹操によって捕われの身となった関羽が、最後迄義兄弟の劉備への仁義を貫き通し、劉備の妻子と共に曹操の下を脱出。単騎で千里を駆け抜け、劉備の下へと無事戻ったという逸話を舞踏仕立てものだそうだ。
*2 今回は掘っ立て小屋に住む漁師役だった高倉健氏。本当にこの人程、僻地で孤独に生きる男の役が似合う人は居ないと改めて思った。
こちらからのTBが二つ入ってしまいました。
申し訳ありませんが一つ削除していただけますか?
この映画は健さんの魅力がないと途端に見る気が失せてしまうかもしれませんね~。
中井貴一はもったいない使われ方をされていてビックリでした(笑)
たしかに、観客の少なさには、少し驚きました。(笑)
中身の方も鋭い視点で観ておられますね。
参考になりました。
元々この映画高倉健さんメインでやりましたので、それはある意味他の役者が不足するのは仕方ないのかもしれません。中国ロケの役者正直誰も知りませんでしたから・・・
映画館15人ですか?
地方だとそれ位の時ありますし、過去最低は私1人という時があったので、その時は映画独占という感じで観ましたよ。
よろしくお願いします。
250人くらい入る所で5人とかあります・・・
ほんと、そういう時って心配になっちゃいますよね
と映画と全然関係ない話ですみませぬ(汗)
コレは・・健さんは良かったんですけどねぇ~
私も最後に「撮影をしない」と言ったところは少し気になりました…あれだけ周りを振り回しておいて!でも「高倉健」だからいいのかもしれないとも思いました(笑)
あと、歴史関連の記事を見て、TBとコメント入れましたのでよろしくお願いいたします。
「ケンさん」と言えば渡辺謙さんだった今日この頃ですが、改めて高倉健さんの貫禄を見せつけられました。
これは、香港(中国)映画であり、東宝は製作協力と配給ですからね。
今回は、LOVERSなどのヒットの後ですから、この映画は、それほど興行成績を求めていないと思いますね。