2012年、第22回鮎川哲也賞を「体育館の殺人」にて、“同賞では史上初の平成生まれの小説家”として受賞した青崎有吾氏。そんな彼が4年前に上梓した小説「ノッキンオン・ロックドドア」を読了。今月、「ノッキンオン・ロックドドア2」という第2弾を“先”に読んでおり、遡って第1弾を読んだ事になる。
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密室、容疑者全員アリバイ持ち、衆人環視の毒殺等「不可能(HOW)」を推理する御殿場倒理(ごてんば とうり)と、理解出来ないダイイング・メッセージ、現場に残された不自然な物、被害者の服が無い等「不可解(WHY)」を推理する片無氷雨(かたなし ひさめ)。相棒だけどライヴァル(!?)な探偵2人が、数々の奇妙な事件に挑む!
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見た目も個性も全く異なる御殿場と片無が謎を解くというストーリーだが、御殿場は“不可能と思われる事件”、そして片無は“不可解と思われる事件”が専門。専門の分野しか推理出来ない彼等が、今回は7つの謎を解く。
元々はライトノヴェルを書いていたという事も在り、青崎氏の作品はコミカルで軽いタッチというのが基本。とは言え、本格ミステリを書く事で知られる青崎氏なので、事件は奇妙奇天烈な設定許りだが、トリック面はきちんとしている。
「スマホで通話している男性と擦れ違った際、彼が発した『十円玉が少な過ぎる。後五枚は必要だ。』という言葉。何でも無い様な此の言葉を元に推理を始めた御殿場と片無が、辿り着いた奇妙な結論。『そんな馬鹿な。』と思われる結論だったが、実は・・・。」という展開の「十円玉が少なすぎる」という作品が、個人的には一番面白かった。
でも、全体としては「うーん・・・。」という感じ。トリック面はきちんとしているのだけれど、ストーリーが今一つな内容許りだったので。
そんな訳で、総合評価は星3つとする。