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元禄太平の世の半ば、東北の小藩の山村が、一夜にして壊滅状態となる。「『永津野藩(ながつのはん)』と『香山藩(こうやまはん)』という隣り合う2藩の反目」、「御家騒動」、「奇異な風土病」等、様々な事情が交錯する此の土地に、其の“化け物”は現れた。
永津野藩主の側近・曽谷弾正(そや だんじょう)と妹・朱音(あかね)、朱音を慕う村人と用心棒・榊田宗栄(さかきだ そうえい)、山里の少年・蓑吉(みのきち)、小姓・小日向直弥(こびなた なおや)、謎の絵師・菊地圓秀(きくち えんしゅう)・・・。
山の麓に生きる北の人々は、突如訪れた“災い”に何を思い、如何に立ち向かうのか。そして化け物の正体は、一体何なのか?
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宮部みゆきさんの小説「荒神」。「“侍の世”に突如現れた、何ともグロテスクな姿形の化け物が、東北の山村を暴れ捲る。」という設定なのだが、読んでいて感じたのは「子供の頃、再放送で見た『仮面の忍者 赤影』【音声】と似た雰囲気の作品だなあ。」という事。(ネット上の情報によると、宮部さんは映画「大魔神」【動画】から作品のヒントを得た様だが。)
物語の舞台となっているのは、架空の2藩「永津野藩」と「香山藩」なのだが、設定上の場所等を考えると、「福島第一原子力発電所事故」を強く意識した作品の様に感じる。となると、“化け物”は“制御不能となった原発”の隠喩だろう。
「人間が齎した禍々しい存在の数々も、元を辿れば『皆、誰も悪いと思ってした事では無く、寧ろ多くの人にとって良かれと思ってした事だった。』としたら、貴方はどう考えるか?」という問題提起を、宮部さんはしているのだと思う。
そういった事を頭では理解しているのだが、ストーリー自体に面白さを感じなかった。何と無く既視感の在る内容で、新鮮さに欠ける。ネット上での評価は概して高いけれど、自分は「うーん・・・。」という感じ。
総合評価は、星2.5個とする。
なんでもラストが多少違うらしいんで
その辺がどうなんだろうか、と。
図書館で予約が入らなくなるのを今か今かと待っているところです
(小説は基本的には買わないことにしております。限がなくなるので)
ネット上での評価は結構高いので、自分の様な低評価は少数派だと思います。高く評価出来る物も在ったけれど、宮部作品は概して「うーん・・・。」と思ってしまう事が多いので、抑、自分とは肌合いが合わないのかもしれません。