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「米国民の約7割が『給料限り限りの生活』=調査」(9月20日、ロイター)
米給与計算業協会は19日、米国民の約7割が、給料限り限りの生活を送っているとの調査結果を明らかにした。
給与所得者約3万人を対象に実施した同調査によると、給与の支払いが1週間遅れた場合、生活が「若干難しくなる。」若しくは「非常に難しくなる。」との回答は68%に上った。同協会は此の結果に付いて、米国民は未だリセッション(景気後退)の後遺症に悩まされている事が示されたとしている。
給料限り限りの生活をしている人の割合は2006年には65%だったが、リセッションを受けて2010年には72%に上昇していた。
同協会が拠点を置くサンアントニオでファイナンシャル・プランナー業を営むウェンディ・コワリク氏は、貯金が困難な労働者が増えており、今回の調査結果も「憂慮すべきだが、驚きでは無い。」と語っている。
折しも米大統領選では、共和党のロムニー候補が、「国民の47%は所得税を払っておらず、政府に依存している。」と発言した事が明るみに出て物議を醸した許り。
ロイターとイプソスが19日発表した世論調査によると、同発言を受け、登録有権者の43%がロムニー氏の印象が悪化したと回答している。
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石川啄木の歌集「一握の砂」に「はたらけど はたらけど 猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」という超有名な歌が収録されているけれど、此の歌を思い浮かべてしまうニュースだ。自堕落な生活を送っている者が貧困に喘ぐというのは自業自得と思うが、そうでは無い人達が限り限りの生活を送らざるを得ない“としたら”、「社会の仕組みが、何処かおかしい。」と言わざるを得ない。
我が国も「経済格差の拡大」が指摘されて久しいが、アメリカも相当なレヴェルの様だ。歴史を振り返ると、「少なからずの国民が経済的に困窮した時、“仮想敵”を作り上げ、其れを激しく攻撃し、愛国心を声高に叫ぶ指導者が現れる。」ケースが、良く見受けられる。「大きな不満を抱えた国民が、熱に浮かされた様に、其の指導者を熱狂的に支持し、軈ては独裁者を生み出してしまう。」というのも、珍しいケースでは無い。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。」という有名な警句が在るけれど、「己が経験だけを信じ、過去の歴史から何も学ばない人間。」は愚かだと自分も思う。人類の長い歴史を見渡せば、同じ様な過ちを繰り返している現実が在るのだから。