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「【受精卵『無断』移植訴訟】進化する不妊治療 置き去りにされる子供達 法規制無くトラブル表面化」(12月15日、産経ニュース)
晩婚化等を背景に、不妊治療に臨む夫婦は年々増加し、今や赤ちゃんの20人に1人が体外受精で誕生している。だが、こうした生殖補助医療が身近な物になる一方で、其の進化に法整備が追い付いていないのが現状だ。明確な指針を欠いた儘、様々なトラブルが表面化して来ている。
国内で平成27年に行われた体外受精は42万4,151件で、過去最多の5万1,001人が生まれた。今後も増加が見込まれるが、生殖補助医療に付いて、其のルールや生まれた子供の親子関係を定めた法律は無い。トラブルを防ぐ為、受精卵の移植に付いては日本産科婦人科学会が「移植毎に、夫婦の同意を得る。」事を倫理規定で示しているが、運用は医療現場の自主規制に委ねられている。
夫婦間の同意を巡るトラブルが訴訟に発展したケースは、過去にも在る。夫の同意を得ずに第三者の精子を使った方法で生まれた子供に付いて、大阪地裁は平成10年、「自分の子供では無い。」と訴えた夫の主張を認めた。夫の死後に凍結保存していた精子を使い出産する「死後生殖」でも、最高裁は平成18年、夫の意思が確認出来ない事を理由に、親子関係を認めない判断を示した。又、昨年12月には、別居中の妻が移植の同意書を偽造し、無断で受精卵を使って出産したとして、夫が長女との親子関係が無い事の確認を求め、大阪家裁に提訴した。
不妊治療で知られる医療法人「オーク会」(大阪市)では、大阪や東京で運営する全4病院で移植毎に夫婦の同意書を取っている。唯、夫は仕事で来院出来ないケースが大半と言い、同会の田口早桐医師(52歳)は「夫婦の署名に付いても、本当に本人が書いたか病院が確認する方法は無い。」と、トラブル防止面での限界を指摘する。「うめだファティリティークリニック」(同市)の山下能毅院長(52歳)も、「同意を徹底するなら、医師が夫婦と対面で確認するしか無いが、現状では強制は出来ないし、医師にとっても負担になる。」と話した。
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「子供が欲しいのに、どうしても授からない。」という夫婦にとって、体外受精は嬉しいシステムだろう。体外受精が増加しているのは知っていたけれど、「赤ちゃんの20人に1人が、体外受精で誕生している。」というのは驚き。「そんなにも多いのか。」と。
「夫婦間に“本当の同意”が在った上で、体外受精にて子供を授かった。」場合は良いのだが、「何方かの同意が“事実”では無い上で、体外受精にて子供が生まれてしまった。」場合は、同意しなかった側は“親”と認定される事に抵抗が在るだろうし、拒否する気持ちも判る。
そして、何よりもそういうケースでは、生まれて来た子供が可哀想。仮に片方が親となった事を喜んでも、片方が親になる事を拒否したならば、子供は生まれ乍らにして不幸だと思うから。「“子供”は“親”を選べない。」のだから、体外受精に関してはきちんとした法整備が急務で在る。