東京新聞のコラム「世界の街 海外リポート」。5月16日付けの同コラムの中に「自分の影が消える!?」というタイトルで、バンコクの駐在員が4月27日に起こった或る出来事に付いて書いている。其れは、日本では絶対に経験出来ない出来事なのだとか。
「バンコクでは、今日の御昼に影が無くなりますよ。」と、駐在員は知人から教えられた。4月27日午後零時16分に太陽が垂直線上、即ち真上に来るからだと。
地球上で太陽が真上に来る現象は、赤道を挟んで、北回帰線から南回帰線迄の熱帯地方で“のみ”起きるのだとか。なので、日本では絶対に経験出来ない訳だ。
此の現象は、回帰線上に在る地点“以外”は年に2回在り、バンコクでの次回は8月16日。
で、件の駐在員は当日、貴重な瞬間だと思って、支局の外に出て、直立して待った。午後零時16分、雲の切れ目から太陽が顔を出し、確かに自身の影は真下に出来て、小さくなっていたそうだ。
喜んで写真を撮っている駐在員を、支局のタイ人助手達は不思議そうな顔で見詰めていた。「そんなに嬉しい事?太陽に最も近くなるのだから、紫外線も強いのでは。」と言って、そそくさと支局に戻って行く。大通りに出ても、誰一人、影を気にしている様子は無かったそうだ。日本人にとっては珍しい現象でも、彼の地の人達にとっては、珍しくも何でも無い現象という事なのだろう。
同じように極地に住んでいる人にとって白夜は当たり前のことでも、赤道地帯に生まれ育った人には驚異でしょうね。
私はどちらも経験したことがありませんが(笑)。
今でこそ多くの人が理由を知っていますが、太古の人達にとっては日食って不思議な現象というよりも、恐れるべき現象だったでしょうね。“既知”と“未知”、何方に属すかで、人の思考が向かう先は大きく変る。