先日、伊集院光氏のラジオ番組を聞いていた所、其の日のテーマは「結婚式に纏わる話」だった。正確に言えば、「結婚式での失敗談」的な内容で、リスナーからの投稿を次々と読み上げられていた。
高校を中退し、落語家の道に進んだ伊集院氏。若手時代は落語家としてだけでは食って行けないので、司会のバイトを数多く熟していたそうだ。「人生経験も大して無いのに、『結婚とは~。』等と偉そうに“人生の機微”なんかを、結婚式の司会で語っていたんだよなあ。」と伊集院氏。そんな彼が投稿で食い付いたのは、“ファースト・バイト”に付いて。「切り分けられたウエディング・ケーキを、新郎と新婦が互いにフォークで刺し、食べさせ合うセレモニー。」の事だが、「ファースト・バイトって、日本では何時位から行われる様になったんだろうね?自分がバイトで結婚式の司会をしていた頃(40年近く前?)は、そんなの無かったもん。新郎&新婦によるウエディング・ケーキへの入刀セレモニーは在ったけれど、キャンドル・サーヴィスなんかも出始めた位じゃなかったかなあ。」と伊集院氏。自分の記憶で言えば、其の位にはキャンドル・サーヴィスは在ったと思うが、確かにファースト・バイトなんてセレモニーは無かった。
「30年位前、仲人を務めた。」という男性の投稿。結婚式で新婦(仮にAさんとする。)の上司がスピーチを行った際、新婦の優秀さを散々訴えた後、話は新婦が好きなアニメの話へと移った。其のアニメには“非常に前向きなキャラクター”(仮にBとする。)が登場し、どんなにマイナスな経験でも、全てプラス方向に捉えるのだとか。そういう説明をした上で上司は、「結婚されたらAさんも、新郎と喧嘩をする事も在るでしょう。でも、『喧嘩をしても、御互いの不満を吐き出す事で、以降は更に良い関係になる。』と前向きに考えて下さい。」と話した。其処で止めておけば良かったのに、上司は更に続けた。「仮に新郎と新婦が離婚する事になったとしても、『新しく良い相手と巡り合えるに違いない。』と前向きに考えて下さい。」と言い放った事で、場内はシーンと静まり返ったそうだ。そりゃ、そうだろう。
“忌み言葉”に付いて語った話も興味深かった。結婚式で言えば「切る」、「去る」、「帰る」、「離れる」、「戻る」等は“離婚”を想起させる忌み言葉として使う事が避けられるが、結婚式の終了を「終了」とは言わず、「御開き」とするのもそうだ。でも、余りにも忌み言葉を気にしてしまうと、ざっくばらんに話せなくなってしまうのも事実。伊集院氏によれば、「笑う時の『ニコニコ』という表現も、重なり合った言葉(再婚を想起させる。)なので使ってはならず、『ニコリ』と言わないと駄目・・・っていう人も居たりするんだよなあ。」と。そうなってしまうと、最早“言葉狩りの世界”だ。
「芸能界では結構在るんだけど、『結婚して直ぐ離婚し、そして直ぐに再婚する人。』って居るじゃない?そういう事を何度も繰り返す人も。困っちゃうのは、結婚式って結構“御祝儀”を包む訳だけど、『結婚して直ぐ離婚し、そして直ぐに再婚した人の結婚式に参列した際、改めて御祝儀を包む必要が在るのかなあって。」と伊集院氏。自分はそういうケースに出会した事は無いのだが、確かに少なく無い額の御祝儀を包むのだから、「何だかなあ・・・。」という思いになってしまうのも理解出来る。況してや、何度も繰り返されたケースだと・・・。
伊集院氏が調べた所、「招待状に『御祝儀は不要です。』等の特記が無い場合は、何度目だろうと御祝儀を包むのが一般的。」とか。でも、そんな気の利いた事を招待状に書く人って、果たして存在するのだろうか?