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3人組のコンビニ強盗が、総合病院に立て籠った。院内の人質は50人。犯人と対峙するのは、“交渉人”石田修平(いしだ しゅうへい)警視正。石田はTV番組やプロ野球の話題を織り交ぜ、犯人を思い通りに誘導、懐柔して行く。然し、解決間近と思われた時、事件は思いも寄らない方向へ転がる。真の目的は何なのか?
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五十嵐貴久氏の小説「交渉人」は、コンビニ強盗をした3人組が逃亡途中に、総合病院に立て籠もるという展開。交渉人として高い評価を受ける石田が乗り出し、事件は無事解決に向かうと思われたのだが、妙な方向へと進んでしまう。
「犯人は、何処に消えたのか?」や「人質は、何故殺されたのか?」等、様々な謎が生まれ、ストーリーの中にどんどん引き込まれて行き、最後の「章」で意外な事実が明らかとなる。想像を裏切る、非常に意外な事実では在るのだが、同時に「犯行動機としては判らないでも無いけれど、事件としては現実的じゃ無いなあ。」という思いも。
犯行動機を語る部分はやや冗長で、もう少し簡潔に出来たのではないか。ストーリー展開が良かっただけに、最後の章で失敗した感も。「石田に恋心を抱く“弟子”の遠野麻衣子(とおの まいこ)。」という設定も、余り意味が無かった様に思ったり。
総合評価は、星3つとする。