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高速バスのハイジャックが発生した。それも続け様に3件も。事件の早期解決を目指すべく、警視庁の隠密捜査専門のバイク部隊「トカゲ」に出動命令が下る。捜査一課の上野数馬は初めて「トカゲ」のチーフを任される。犯行に並行するかの様に、ネット上で犯人しか知りえない情報が流通していた。犯人グループの目的は一体何なのか?
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警察小説を多く手掛けている今野敏氏の作品「天網 TOKAGE2-特殊遊撃捜査隊」。「TOKAGE 特殊遊撃捜査隊」に続く「TOKAGEシリーズ」の第二弾で、“覆面操作部隊”で在るTOKAGEを中心にストーリーが展開して行く。目立つ事無く隠密裏に、バイクで捜査を行うTOKAGE達。この組織の中では“若造”と言って良い上野が、今回は3人で構成された“チーム”のチーフに任ぜられる。自身の経験の無さを劣等感として持つ彼が、自分よりも年上の“部下”を率いなくてはならなくなった事で、部下2人の言動についつい疑心暗鬼になってしまう。「自分が若いから、馬鹿にしているのではないか?」、「自分が経験が無いからこそ、彼等は好き勝手をしているのだ。」等と、思考はマイナス方向に行ってしまい勝ちに。「年功序列制」が崩壊した我が国の企業では、「年下の上司に年上の部下が仕える。」というのは珍しくなくなり、双方に気まずい思いが湧いたりするもの。上野と部下との遣り取りにはそういった雰囲気が漂い、「その内に対立が起こるのではないか?」という懸念が。
又、警察の捜査を取材する新聞記者の間にも、年齢の違いからの微妙な蟠りが生じる。「情報は足で稼ぐもの。」というポリシーのベテラン記者・湯浅武彦にとって、自分のアシストに付けられた若手記者・木島孝俊の言動が一々癇に触る。木島の「ネット情報にばかり頼り、足で情報を稼ごうとしない。」という姿勢に対し、記者として必要な勘所を持ち得ていない様に感じるからだ。逆に木島からすれば、湯浅の言動は合理性に欠けている様に感じる。所謂「ジェネレーション・ギャップ」とも言えるが、取材を進めて行く中で湯浅が木島を評価したり、逆に「やはり駄目だ。」と思ったりと微妙な距離感を保ちつつ、結構良いコンビになって行くのが面白い。様々な試練を経て、人は成長して行く。それは老若男女を問わずに。
3件の同時バスジャック、“犯人達”からの要求が無いままに時間だけが過ぎ去って行く。その間、ネット上にはバスの現在位置等、実に詳しい情報が次々に載る。その信憑性は別にして、一般人からの情報がネット上で、新聞やテレビ等のマスメディアよりも先んじて流れたりする事の在る現代を象徴する様な話だ。又、「犯罪とは加害者が被害者に対して、強烈な悪意を持ったが故に発生するもの。」というのが従来の一般常識とするならば、この3件のバスジャック事件は「そんなアホな事が起こるものか?」と思いつつも、現代では起こってもおかしくない感じもする新種の犯罪と言えるかもしれない。
総合評価は星3つ。
高速バスのハイジャックが発生した。それも続け様に3件も。事件の早期解決を目指すべく、警視庁の隠密捜査専門のバイク部隊「トカゲ」に出動命令が下る。捜査一課の上野数馬は初めて「トカゲ」のチーフを任される。犯行に並行するかの様に、ネット上で犯人しか知りえない情報が流通していた。犯人グループの目的は一体何なのか?
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警察小説を多く手掛けている今野敏氏の作品「天網 TOKAGE2-特殊遊撃捜査隊」。「TOKAGE 特殊遊撃捜査隊」に続く「TOKAGEシリーズ」の第二弾で、“覆面操作部隊”で在るTOKAGEを中心にストーリーが展開して行く。目立つ事無く隠密裏に、バイクで捜査を行うTOKAGE達。この組織の中では“若造”と言って良い上野が、今回は3人で構成された“チーム”のチーフに任ぜられる。自身の経験の無さを劣等感として持つ彼が、自分よりも年上の“部下”を率いなくてはならなくなった事で、部下2人の言動についつい疑心暗鬼になってしまう。「自分が若いから、馬鹿にしているのではないか?」、「自分が経験が無いからこそ、彼等は好き勝手をしているのだ。」等と、思考はマイナス方向に行ってしまい勝ちに。「年功序列制」が崩壊した我が国の企業では、「年下の上司に年上の部下が仕える。」というのは珍しくなくなり、双方に気まずい思いが湧いたりするもの。上野と部下との遣り取りにはそういった雰囲気が漂い、「その内に対立が起こるのではないか?」という懸念が。
又、警察の捜査を取材する新聞記者の間にも、年齢の違いからの微妙な蟠りが生じる。「情報は足で稼ぐもの。」というポリシーのベテラン記者・湯浅武彦にとって、自分のアシストに付けられた若手記者・木島孝俊の言動が一々癇に触る。木島の「ネット情報にばかり頼り、足で情報を稼ごうとしない。」という姿勢に対し、記者として必要な勘所を持ち得ていない様に感じるからだ。逆に木島からすれば、湯浅の言動は合理性に欠けている様に感じる。所謂「ジェネレーション・ギャップ」とも言えるが、取材を進めて行く中で湯浅が木島を評価したり、逆に「やはり駄目だ。」と思ったりと微妙な距離感を保ちつつ、結構良いコンビになって行くのが面白い。様々な試練を経て、人は成長して行く。それは老若男女を問わずに。
3件の同時バスジャック、“犯人達”からの要求が無いままに時間だけが過ぎ去って行く。その間、ネット上にはバスの現在位置等、実に詳しい情報が次々に載る。その信憑性は別にして、一般人からの情報がネット上で、新聞やテレビ等のマスメディアよりも先んじて流れたりする事の在る現代を象徴する様な話だ。又、「犯罪とは加害者が被害者に対して、強烈な悪意を持ったが故に発生するもの。」というのが従来の一般常識とするならば、この3件のバスジャック事件は「そんなアホな事が起こるものか?」と思いつつも、現代では起こってもおかしくない感じもする新種の犯罪と言えるかもしれない。
総合評価は星3つ。