ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「希望荘」

2016年08月28日 | 書籍関連

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家族と仕事を失った杉村三郎(すぎむら さぶろう)は、東京都北区私立探偵事務所を開業する。或る日、亡き父・武藤寛二(むとう かんじ)が生前に残した「昔、人を殺した。」という告白の真偽を調査して欲しいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司(あいざわ こうじ)によれば、父は母の不倫による離婚後、息子との再会に30年の空白が在った。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べて行くと、昨年発生した女性殺害事件を解決するが隠されていた!?

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上記したのは、宮部みゆきさんの小説希望荘」の中の「希望荘」の梗概で在る。「希望荘」は「杉村三郎シリーズ」の第4弾に当たり、第3弾迄で言えば、自分は第2弾の「名もなき毒」以外の2作品は読了

 

不幸な経験を重ねても、「自分に責任が在る。」といった感じで、人に怨みを持たない様な、実に御人好し温和な性格の杉村三郎。そんな彼だからこそ、損得勘定抜きにして彼を支え様とする人達が、周りに集まって来る。一方で、何故か彼の周りには事件が多発。「自分は、事件を呼び寄せてしまう体質。」と、自身が思ってしまう所以だ。

 

「希望荘」は「聖域」、「希望荘」、「砂男」、そして「二重身(ドッペルゲンガー)」と、中編小説で構成されているが、全てを通して感じるのは“人という物の複雑さ”。他人からは窺い知れない部分というのが人には大なり小なり在るものだけれど、中には見た目から全く窺い知れなかった“深い”を抱えた人がたりする。そういう人が表面的には幸せそうだったりすると、事実を知った人は其のギャップに驚かされ、“人という物の複雑さ”を痛感させられる事だろう。

 

4作品の中で一番心に残ったのは「砂男」で、“人という物の複雑さ”を最も強く感じさせられた作品だからだ。意外性が在ったし、遣り切れなさを感じる結末も悪く無い。

 

第1弾の「誰か Somebody」は星2つ、そして第3弾の「ペテロの葬列」は星4つと、総合評価の振れ幅が大きい「杉村三郎シリーズ」。「今回の第4弾は、どんな感じなのだろうか?」と思って読み進めたが、良い出来だった。

 

総合評価は、星4つとする。


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