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「電車内で女性『寝顔』、『胸元』を無断撮影 此れで逮捕・実名報道は厳し過ぎる?」(9月6日、J-CASTニュース)
深夜の電車内で女性の寝顔や胸元を勝手に撮ったとして、千葉県警が会社員男性(46歳)を県迷惑防止条例違反の現行犯で逮捕した事に、ネット上で疑問の声が上がっている。
此れが「盗撮」とされるのなら、ビーチに寝転ぶ女性を撮っただけで駄目なのか、逮捕されてしまうのかと。「厳重注意で良かったのでは?」。
「可愛かったので撮ってしまった。」。2011年9月4日深夜に逮捕された会社員男性は、県警松戸署の調べに対し、こう供述したと言う。
「盗撮」が在ったのは、JR常磐線・北千住-松戸駅間の下り快速電車内だった。此の男性は、右隣に座って寝ていた女子専門学校生(24歳)の顔や胸元等の上半身を携帯電話のカメラを使って無断で撮った。女性がカメラのシャッター音に気付き、男性を問い詰めて警察に突き出した。
松戸署では、此の「盗撮」行為は、条例の3条2項の違反に当たるとした。其処では、「公共の場所又は公共の乗物に於て、女子を著しく羞恥させ、又は女子に不安を覚えさせる様な卑猥な言動をしてはならない。」と謳われている。男子への行為も同様に違反とされている。
男性の携帯電話内には、他にも身元が直ぐに判らない別の女性の写真が見付かっており、松戸署で余罪が無いかどうかを調べている。
男性の逮捕が新聞やテレビで報じられると、ネット上では、其の妥当性に付いて疑問の声が相次いだ。2ちゃんねるでも、スレッドが次々に立っており、「犯罪なの?????」、「此れがアウトならテレビが一般市民を映してるのもアウトだろ。」、「逮捕は遣り過ぎ。厳重注意で良かったのでは?」といった書き込みが続いている。
尤も、「ニヤニヤし乍ら勝手に撮られたりしたら男でも嫌だろ?」と無断撮影其の物に付いては、首を捻る向きも在る様だ。
「寝顔」、「胸元」を勝手に撮ると、どんな時でも違反になるのか。警察強調「女性は気持ち悪く感じた。」。取材に対し、松戸署の副署長は、男性の行為に付いて、こう説明する。「男性は、転寝をしていた女性の直ぐ脇に、態と座りに来ていました。其れで行き成り顔や胸元を写真に撮り始めたので、女性も気持ち悪く感じました。当事者としては、羞恥心を感じ、不安でしょうし、嫌らしいと思ったという事です。」。胸元を開ける様な行為はしていないが、もしそうしていれば痴漢になると言う。
其れでは、ビーチで寝転ぶビキニ姿の女性を勝手に撮る様な場合はどうか。此の点に付いては、「普通に写真を撮る時の様に、女性から同意を貰える様な行為なら、違反にはなりません。其れは、嫌らしい目的とは違うからです。」と副署長は言う。
男性を任意調べせずに逮捕した理由は、携帯電話内の写真を消す等の証拠隠滅行為や逃走の恐れが在ったからだとしている。
一方、今回の逮捕では、テレビや新聞が男性の実名や会社名迄も出して報じた。ネットでは、こうした報道の在り方にも疑問の声が出ている。
読売新聞は、サイト上の記事で当初はそうしていたが、其の日の内に匿名に切り替えた。読者の声を受けて軌道修正したのか等に付いて、東京本社広報部では、「記事掲載の経緯は従来御答えしておりません。」とコメントしている。
又、TBS系JNNニュースは、実名や一部会社名を挙げて放送していた。匿名にしなかった理由に付いて、TBS広報部では、「JNNでは、事件報道は実名を原則としております。」と説明している。
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「迷惑防止条例」は、其の名の通り「条例」で在る。「国会が制定した法規範」、即ち「法律」とは異なり、「地方自治体が制定した法規範」が「条例」で、飽く迄も制定した地方自治体内でのみ有効。又、此方に詳しく書かれている様に、「条例は法律の範囲内に於て制定しなければならず、条例は法令に反してはならない。」という大原則が在る。しかし、だからと言って「条例を軽んじて良いと言う訳では無く、条例に反する行為に関しては、法が定める範囲で罰を受けるのは当然。」の事。
今回のニュースに関し、「遣り過ぎだ。」とか「妥当だ。」という相反する声が挙がっている様だが、此の問題は「2つの観点」から其れ其れ考えなければいけないと思う。1つは「警察の対応」で在り、もう1つは「マスメディアの対応」だ。
先ずは、「警察の対応」に付いて。世の中には自分自身の姿を写真に撮られるのが好きな人も居るが、自分は写真に撮られるのが大の苦手。況してや、こっそりと自分自身の姿が隠し撮りされているなんて、考えただけでも不快。(其れ故に自分が撮った写真、勿論隠し撮りでは無いけれど、を当ブログに載せる場合も、極力他者が映り込んでいない形に加工したりしているのだが。)だから、「盗撮」という行為は許し難い。今回逮捕された人物がどうだったかは不明なれど、盗撮した写真をネット上に公開している輩も居り、中には“被害者”の顔等が明確に写っているケースも在ると聞く。一旦ネット上にアップされると、其のデータは“ネットの波”の中を長期間に亘って彷徨い続ける。大勢の人間の目に自らの恥かしい姿が晒され続けるというのは、“被害者”に更なる苦痛を与え続ける事で在り、到底看過出来る事では無い。上記した様に、今回逮捕された人物がネット上に盗撮写真を公開していたかどうかは判らないけれど、そういう可能性がゼロで無い以上、そして条例に抵触する行為をしていた以上は、逮捕は止むを得なかったと考える。盗撮の被害を減じる抑止力の意味でも、警察が逮捕に踏み切った事に対して、自分は批判出来ない。
唯、「マスメディアの対応」に関しては、疑問を覚える。「実名報道する必要が在ったのか?」もそうだが、「勤務先を公開というのは、明らかに遣り過ぎ。」という感じがする。盗撮が許される行為で無いのは当然だけれど、「盗撮によって社会から抹殺されてしまう可能性」が出て来るとなると、とても賛成出来ない。
又、常に一貫性の在る報道を心掛けているなら未だしも、“身内”が事件を起こした際には(普通は実名報道等するで在ろうに)匿名報道だったり、時には事件其の物を報じなかったりするマスメディアの姿勢も問題と思っている。
隠し撮り専用の小型カメラは別として、携帯電話が一般化する迄は、大きさ等の点から普通のカメラで隠し撮りするのは極めてリスクが高かったと言えましょうね。携帯電話にカメラ機能が付き、其れが一般化した事で、然も携帯電話を弄ってる振りをしつつ、疑われない様に盗撮が出来てしまう。盗撮等を抑止する為のシャッター音も、細工すれば消せたりするという事でですから、本当に困った物です。
容易に写真が撮れたり呟けたりする事で、我々の社会が良い方向で変わった面も在るけれど、マヌケ様が指摘されている様に、其れを使う人間が“成熟”してないと、単に「トラブルを増やしただけ」と言えなくも無い。
マスメディアは、自身の影響力の大きさを改めて知らないといけないでしょうね。彼等にとっては「たかが1事件。」なのでしょうが、報道される事で大きな影響を受ける人が居るで在ろう事実。犯罪を犯した人間が悪いのは事実だし、法に則った罰を受けるのは当然の事だけれど、今回の事件で実名報道をする迄の必要が在ったのか?
景色を撮る目的で、偶然に他者が入り込んでしまったというのなら話は別でしょうが(其れでも、個人的には嫌だけれど。)、意図して他者を撮りたい場合には、事前に断わりを入れるのは当然の事。了解を得れば撮って良いけれど、拒否されたら撮らないというのは、社会で暮らして行く上で最低限のマナーで在り、常識だと思うのですが、其れを守れない人が居るせいで、純粋な写真愛好家迄もが変な目で見られてしまうのは気の毒。
自身の主張に説得力を持たせたいのならば、少なくとも「一貫性の在る判断基準」を保たないといけない。況してや「社会の木鐸」を任じているマスメディアなら、一層そうでないと駄目。一般人ならば実名報道をするのに、“身内”の事件では匿名報道にしたり、黙りを決め込むというのは言語道断。
「内部抗争を好い加減止めて欲しい。」と言い乍ら、やれ「小沢派だ。」やれ「非小沢派だ。」と嬉々として報じているマスメディアの姿も、一貫性が無いという意味では同じかと。
子供達の姿には癒されるけれど、「可愛い。」と思って見ず知らずの子供に話し掛けたり、頭を撫でたりすると、「悪戯目的ではないか?」なんて疑われ兼ねない御時勢。趣味として写真を撮られている善意の人迄もが、不埒な人間の為に肩身の狭い思いをしなければいけないというのは、本当に残念な事です。
マスコミも権力です。マスコミで実名や顔写真が報道されると、その人の社会的な生命は断たれます。マスコミに、軽犯罪の被疑者にそこまで罰を加える権限があるのでしょうか。
ただ、断りもなく、勝手に人を被写体にして写真を撮る輩は、おしおきをする必要があるでしょう。
男の私だって、無断で写真を捕らえれるのは嫌です。人の嫌がることをする人はおしおきする、これが社会の原則でしょう。
海辺のビキニの女性を撮っただけでダメなのかという人がいますが、風景写真を撮っていて、たまたま写ってしまったのなら、いたしかたないでしょう。特定の女性を狙って撮ったのならだめですね。
高校野球のチアリーダーをローアングルで摂るなんてのは言語道断です。
盗撮・・・に関しては、写真好きの一人としては忸怩たるものがあります。
ただ、他人を撮るとき、事前に本人の了解を得てからが筋ですが、そうするとどうしても撮りたいシーンがあっても拒否されればそれまで。また、了解を得ても変に意識されると、「撮りたい」と直感した自然体の良さを引き出せない事もありえるわけで。
その点、太陽や月、星、雲や花など自然相手だと、気を使わなくて済みますが(笑)。