1990年代中頃迄は、プライヴェートで海外旅行をする事が多かった。「長期休暇の度、海外旅行をする。」という感じで、「OLみたいな生活だなあ。」と、当時は同僚に冷やかされた物だった。流石に「貯金に励まなければ。」と思う様になり、1990年代中頃以降は、「海外行き=出張」というのがメインになったものの、2000年代に入ってから4度プライヴェートで海外旅行をした。最後は、2016年のアメリカ旅行。
海外旅行を始めた当初、何処の国に行っても感じたのは「物価が安いなあ。」という事。アジア圏では特にそうで、例えば「タイでマッサージを受けた際には、チップ込みでも日本の10分の1位の料金。」という感じだった。ハンバーガー店では「日本より馬鹿でかいハンバーガーが、こんなにも安いのか!?」と、良く驚いたっけ。
然し、海外で「滅茶苦茶安い!」という感じる事は徐々に薄れて行き、近年では「海外では、こんなにも物価が高いの!」と驚いてしまう事が、非常に多くなった。海外に行く事が無くなった事から、現地で実際に経験した訳では無いのだけれど、ニュース等で知って、そう思うのだ。
以前、TV番組で池上彰氏が「2022年10月、アメリカに取材に行った際、ニューヨークの拉麺店で豚骨拉麺と餃子を頼んだ所、チップ込みで約5,400円(当時のレート換算)もした。」という話をされており、吃驚してしまったっけ。
「世界インフレ 日本はこうなる」(著者:池上彰氏)の中でも、此の話は記されているが、他にも「2023年の夏、ニューヨーク在住の日本人の知人が日本に里帰りした際、家族連れで帰国した彼は、『日本で東京ディズニーランドに行くのが楽しみです。』と言った。アメリカにだって、カリフォルニアとフロリダに本場のディズニーランドが在るのだし、『何故、態々東京ディズニーランドに行くの?』と聞いた所、『日本のディズニーランドの入場券は、世界で一番安いからです。』との事。日本の会社から給料を貰ってアメリカで働いている身では、アメリカのディズニーランドは何れも入場料が高くて、おいそれとは遊びに行けないという訳。日本のディズニーランドだって入場料が値上げされ(1デーパスポートの大人料金:7,900円~9,400円[2024年9月末迄])、家族で行くには可成りの費用が掛かるというのに、其れでも世界で一番安いとは・・・。」という話も。
「海外の物価が、余りにも高過ぎる。」と感じるのは、円安状態が止まらない事も在るが、「1990年以降、平均年収が殆ど上がっていない日本に対し、他の先進国では殆どが右肩上がりして来た。」という違いが大きい。約30年前(1990年)、先進国の平均年収で言えば、日本は12位だったが、2020年には22位迄下がってしまったと言う。
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「主要国の平均年収」(2020年時点、当時のレートで計算)
アメリカ:約763万円
スイス:約713万円
ドイツ:約591万円
イギリス:約519万円
フランス:約501万円
韓国:約462万円
日本:約424万円
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(2020年迄の)過去20年間で平均年収が、僅か「0.4%」しか増えていない日本。日本の平均年収は2020年時点で、アメリカの「約55.6%」というのだから、凄まじい差だ。
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「低価格のレストランでのランチ代」(価格等調査サイト「NUMBEO」2022年5月7日時点。1ドル=130.5円で計算。)
1位:スイス(3,309円)
2位:ノルウェー(2,613円)
3位:アイスランド(2,491円)
4位:デンマーク(2,403円)
5位:ルクセンブルク(2,337円)
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7位:イギリス(2,099円)
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15位:アメリカ(1,958円)
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27位:ドイツ(1,388円)
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48位:日本(900円)
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アメリカと日本を比較した場合、上記した様にアメリカの平均年収は日本の「約1.8倍」となっている。単純に此の倍率を当て嵌めると、日本のランチ代「900円」は、アメリカでは「1,620円」となり、実際の「1,958円」とはそんなに差異が無い。そうなると、アメリカ人はランチ代「1,958円」を、日本人程「滅茶苦茶高い。」とは思わないのだろう。
但し、「平均年収」に関して注意しなければいけないのは、飽く迄も“平均”年収という事。日本に限らず、「経済格差」は世界中で叫ばれており、アメリカも其の例外では無い。「ニューヨーク州のマンハッタンは平均年収が約1,500万円、世界のIT企業が集まるシリコンヴァレーでは、例えばカリフォルニア州サンタクララだと平均年収が約2千万円。一方、“所得階層の下位50%”は、平均年収が約200万円というデータも在る。」と記されており、「余りにも高所得の人に引き摺られて平均年収は馬鹿高くなっているが、逆に余りの低所得の人も少なく無いという現実が在り、標準偏差に直さないと“実態”は見えて来ない。」という面は在ろう。
とは言え、昔を知っている身からすれば、「日本は、貧しくなったなあ・・・・。」と感じる事が、最近は多い。