2003年、セ・リーグはタイガースがリーグ優勝を決めた。優勝インタヴューを受けた星野仙一監督が最初に口にした言葉は、「あー、しんどかった。」(動画)。最終的には2位のドラゴンズに「14.5ゲーム」を付けるという、打っ千切りでの優勝だっただけに、「何が『あー、しんどかった。』だよ。楽々の優勝じゃないか。」という嫌みな思いが頭を過るも、闘っている当事者達からすれば、何れだけ勝ち進んでいても、不安は付き纏う物なのだろう。何はともあれ、星野監督の「あー、しんどかった。」という言葉は、今も強く印象に残っている。
昨日、「第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が開幕。「A組」に属する“侍ジャパン”(日本代表チーム)は、ブラジル代表チームと闘った。侍ジャパンの指揮を執る山本浩二監督が試合終了直後に思ったのは、盟友関係に在る星野監督が10年前に口にしたのと同じ、「あー、しんどかった。」ではなかったろうか。其れ程、侍ジャパンにとっては非常に苦しい試合で在り、「何とか勝てた。」という辛勝だったから。
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「日本、ブラジルに逆転勝ち5‐3・・・WBC初戦」(3月2日、読売新聞)
野球の世界一を争う第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が2日開幕した。日本は1次ラウンドの初戦でブラジルと対戦、5‐3で逆転勝ちし、白星スタートを切った。
【経過】
3連覇を目指す日本は田中(楽天)、ブラジルはフェルナンデス(ヤクルト)が先発。
日本は3回、1死1、2塁から糸井(オリックス)の右前打で同点に追い付いた。更に4回、1死1、3塁から坂本(巨人)の犠飛で1点を勝ち越した。
ブラジルは4回、日本の2番手・杉内(巨人)を攻め、1死2塁から中前打で同点に追い付いた。
日本は5回から杉内に代わり、攝津(ソフトバンク)*1がマウンドへ上がった。
ブラジルは5回、2死2塁から左中間を破る2塁打で勝ち越した。
日本は8回、代打・井端(中日)が1死2塁から右前打を放ち、同点。更に1死満塁となって代打・阿部(巨人)の内野ゴロの間に勝ち越し。松田(ソフトバンク)の中前打で更に1点を加えた。
日本は8回、摂津に代わり、能見(阪神)が登板。9回に牧田(西武)へと継投し、無失点に抑えた。
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侍ジャパンは、負けていてもおかしくない試合展開だった。「侍ジャパンの投打の調子が良くなかったと言うよりも、ブラジル代表チームの投打が予想以上に良かった。」という感じだ。思えば第1回大会も第2回大会も、日本代表チームが世界一を達成したものの、内容を見れば「辛勝に辛勝を重ねた上での世界一」だった。「侍ジャパンの3連覇は、絶対に阻止する!」と他の参加国代表チームは燃えているだろうから、今大会は侍ジャパンにとって、過去の2大会以上に苦しい試合が続くのは確実だろう。
村長様が「トーリ氏、ジャパンは献身的」という記事の中で書いておられる様に、山本監督は「火中の栗を拾う形で侍ジャパンの監督を引き受けた。」と自分も思っている。3連覇への国民の期待の高さを考えれば、監督就任要請を断る“野球人”が続出したのは判らないでも無いが、だからこそ「火中の栗を拾う形で引き受けた山本監督に、世界一を達成させて上げたい。」と強く思う。
とは言え、此れも村長様が書かれているが、「変な使命感や国民からの義務付けみたいな過要求が、悲壮感とかプレッシャーにならなければ良いが。」という考えには全く同感。選手達には全力を出し切り、そして大会を十二分に楽しんで貰いたい。
*1 「ソフトバンク」と言えば、最近流れている「白戸家」の新CM(ゴールデンボンバー等が出演しているヴァージョン。)で、銀髪の鬘に水色のセーラー服姿で登場している“老女”を見て、「草間彌生さん迄引っ張り出すとは、ソフトバンクも遣るなあ。」と感心していたのだが、昨日、実は其の老女が草間さんでは無く、樹木奇林さんで在る事を知った。
プロ野球OBかな
嫌いなジャイアンツの阿部が美味しいところを持っていったけど地元チームの井端や吉見が活躍して勝ったから良かったです
貧乏クジを引かされた様な山本監督には優勝して欲しいですね
説明不足で済みません。「村長」様とはリンク先のブログを運営され、当ブログを良く覗いて下さっている方です。自分と同じで野球を深く愛されており、今回の御意見も共感出来る物でしたので、記事で紹介させて貰いました。
WBCに関してドラゴンズは此れ迄、中傷される事が多かっただけに、井端選手の活躍には「良かったなあ。」と感じました。
今回主力の88年生まれ世代の熟成がまだ、という考えから(2005、2009の主力は1973~1980生まれでした。)4年後期待と考えていました。彼らの成長を眺めながら、見られるWBCではないでしょうか。決めたのはベテランでしたけど。
昨日の試合、侍ジャパン&韓国代表チームの選手達の心の中に、「今日の対戦相手は与し易し。」といった油断が在ったのかもしれません。侍ジャパンの場合は紙一重で勝てたけれど、韓国代表チームの場合は敗戦を喫してしまった。そんな感じがしました。
と同時に、此れ迄野球に関してはアメリカやキューバ、日本、韓国といった強豪国の後塵を拝していた様な国々の、レヴェルアップというのも在りそう。昨日のブラジル代表チームの試合運びなんぞは、日本の御株を奪う様な「小技を使った攻め」が随所に見られましたし。
過去2回のWBCに比べると、今回は開幕前の国内の熱気が今1つに感じていましたが、始まってみると燃えますね。
イチローでも普段のプレーが出来ないほどプレッシャーがあるのが、短期決戦のWBCです。まだ二試合だけですが、稲葉選手の状態が気がかりですネ。
それにしてもブラジルは強かった。特に俊足の一番の選手、三塁前へのバント内野安打を見た時には負けるかも?と感じたほどでした。
説明不足の件、済みませんでした。
日本シリーズもそうですが、短期決戦はレギュラー・シーズンと違う怖さが在りますね。選手個々、又はチームが不調で在っても、レギュラー・シーズンという長丁場では、幾らでも立て直す事が出来る。でも、短期決戦の場合は、不調の儘で終わってしまう事も珍しくは無い。
又、国際試合ならではの緊張感も在るでしょうね。良くも悪くも、国家を背負っての闘いという意識が強くなるだろうから。
ブラジル代表チームには日本プロ野球でプレーしている選手も結構居るし、又、日系選手も多い。だからこそ、日本プロ野球の特徴でも在る「細かい野球」&「掻き回す野球」が出来たりもする。
侍ジャパンの打撃陣を抑え込んでいた投手陣も、中々の出来だったと思うし、侮れないチームです。
今回の侍ジャパン、苦戦を予想する声が多いし、WBCに対する注目度も今一つ低い感じがしていました。でも蓋を開けてみれば、第1戦の平均視聴率が関東地区では25.4%(関西地区は23.6%)で、瞬間最高視聴率は関東地区で35.5%(関西地区は32.4%)と、高い数字を叩き出したとか。第2戦の平均視聴率も関東地区で23.2%(関西地区は24.0%)と、矢張り高かった。野球ファンとしては、非常に嬉しい結果です。
前大会で侍ジャパンとは、“因縁の相手”という図式が定まってしまった感の在る「韓国代表チーム」。今大会では大苦戦を強いられ、2次ラウンドへの進出も危ぶまれる状況。此れは、想像だにしていない展開でした。
日本の所謂“ネット右翼”同様、不毛な罵詈雑言を口にする事だけを生き甲斐にしている様な韓国の一部の似非愛国者達にはウンザリしているけれど、隣国として古くからの付き合いが在る韓国だからこそ、今大会でも“白熱した良い試合”を見せて欲しい。