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婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑が掛かる円藤冬香(えんどう ふゆか)。然し、冬香には完璧なアリバイが在り、共犯者の影も見当たらなかった。並外れた美貌を持つ冬香の人生と、犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの今林由美(いまばやし ゆみ)は、大手メディアを向こうに回して事件を追い始める。数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ。
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柚月裕子さんの小説「蟻の菜園 ~アントガーデン~」を読了。「タイトルは、どういう意味なんだろう?」と思って手に取ったが、最後の最後にタイトルの意味が明らかにされた時、「奥の深いタイトルを付けたなあ。」と感心した。最近読んだ小説の中では、トップ・クラスのセンスの良さだと思う。
「〇〇の正体は、XXなのか?でも、そうなると年齢が合わないけれど・・・。」と、色々推理しつつ読み進める。そして、或る人物“達”の正体が明らかとなった時、「そう来たか!」という衝撃が。「△△が変わるのは“上”だけと思い込んでいたが、“下”も変えられる。」という事を、すっかり忘れていたので。
又、或る人物に対して“貴方”と呼び掛ける人物に付いては、正体を“由美にとても近い人物”と推理していた。「此の人物ならば、意外性は非常に在る。でも、そうなると設定に無理は在るけれど。」と思っていたら、「意外性は在るものの、過去に似た様な設定が少なからず在る正体の設定。」だった。今回の作品で残念さを感じるとしたら、唯一此の点だろう。
キャラクター設定もストーリー展開も素晴らしい。「次回の直木賞、恐らくは話題作りの意味合いから、湊かなえさんに授賞“させる”んだろうな。」と予想しているが、彼女の作品をずっと評価出来ないでいる自分としては、「女性作家への授賞という事で在れば、柚月さんの方がずっと相応しいのに。」と思ってしまう。
総合評価は、星3.5個とする。