「エンバーミング」という言葉を御存知だろうか?薬品等を用いて、主に遺体に対して防腐・保存処置を施す事を指し、「遺体衛生保全」とも訳される。この言葉から思い浮かぶのが、毛沢東やレーニン等が、この処置を受け、今もその姿を展示公開されている事。TVでその姿を何度か見た事が有るが、蝋人形の様であった。自分の中では、「時の権力者が、死した後もその権力を誇示する為に行なうものがエンバーミング」というマイナス・イメージをずっと持っていた。
ところが、新聞に載っていた特集を見ると、最近は大分状況が違う様なのだ。
エンバーミングは、保存液を使用して遺体の防腐処理をするのだが、通常2週間程度は安全且つ清潔に保全出来る。技術的には1年以上保存させる事も可能らしいが、IFSA(日本遺体衛生保全協会)の自主基準に沿って、保全処理は49日迄となっているのだそうだ。日本国内でエンバーミングを行なえる施設は10社22ヶ所と、米国等に比べると格段と数が少ないという。米国では、南北戦争の頃、兵士の遺体を故郷に搬送する為にエンバーミングが行なわれる様になり、元々土葬が一般的な事もあって、亡くなった人の95%以上がエンバーミングを施しているという。逆に日本では、殆どの地域で火葬が義務付けられている事や、遺体を傷付ける事がタブー視されている為、普及しなかったとか。
エンバーミングのメリットとして、次の5つが挙げられていた。
*****************************
① 腐敗を止める事により、ゆとりのある葬儀が出来る。
・ 遠方からの近親者の到着を待てる。
・ 心の整理がつく迄故人と対面出来る。
・ 棺ではなく、布団に寝かせた状態で、ゆっくり御別れが出来る。
② 殺菌消毒により、感染症の広がりを防ぐ。
③ 海外からの遺体移送も出来る。
④ 生前の顔に復元し、心に残る御別れが出来る。
⑤ 災害時の対応(身元が確定する迄保全。)。
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④に関しては、こんなエピソードが載っていた。
・長い闘病生活の末、38歳の女性が亡くなった。顔がやつれ、実年齢には見えない程老け込んでしまった姿を見た幼子が、「これは御母さんじゃない!」と泣き出してしまったと。その様子を見た夫が、生前の写真を元に顔を修復して貰った。「元気だった頃の顔に戻った妻を見て、ゆっくりと心の整理をしながら、最後の御別れが出来た。」と夫はその効用を語ったという。
又、⑤に関しては、阪神・淡路大震災の際、多くの遺体がエンバーミングを施されたのだそうだ。
時の権力者が己の権力を後世に誇示したり、絶対的な権力者の跡を継いだ者が、その正当性をアピールする目的で利用するのは反対だが、上記の様なメリットから行なわれるエンバーミングであれば、良い事なのかもしれない。
因みに、エンバーミング料金は標準で1人15万7,500円、復元等の特殊作業は1時間5万2,500円かかるのだそうだ。*1
*1 標準の措置にかかる時間は3時間程度。
ところが、新聞に載っていた特集を見ると、最近は大分状況が違う様なのだ。
エンバーミングは、保存液を使用して遺体の防腐処理をするのだが、通常2週間程度は安全且つ清潔に保全出来る。技術的には1年以上保存させる事も可能らしいが、IFSA(日本遺体衛生保全協会)の自主基準に沿って、保全処理は49日迄となっているのだそうだ。日本国内でエンバーミングを行なえる施設は10社22ヶ所と、米国等に比べると格段と数が少ないという。米国では、南北戦争の頃、兵士の遺体を故郷に搬送する為にエンバーミングが行なわれる様になり、元々土葬が一般的な事もあって、亡くなった人の95%以上がエンバーミングを施しているという。逆に日本では、殆どの地域で火葬が義務付けられている事や、遺体を傷付ける事がタブー視されている為、普及しなかったとか。
エンバーミングのメリットとして、次の5つが挙げられていた。
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① 腐敗を止める事により、ゆとりのある葬儀が出来る。
・ 遠方からの近親者の到着を待てる。
・ 心の整理がつく迄故人と対面出来る。
・ 棺ではなく、布団に寝かせた状態で、ゆっくり御別れが出来る。
② 殺菌消毒により、感染症の広がりを防ぐ。
③ 海外からの遺体移送も出来る。
④ 生前の顔に復元し、心に残る御別れが出来る。
⑤ 災害時の対応(身元が確定する迄保全。)。
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④に関しては、こんなエピソードが載っていた。
・長い闘病生活の末、38歳の女性が亡くなった。顔がやつれ、実年齢には見えない程老け込んでしまった姿を見た幼子が、「これは御母さんじゃない!」と泣き出してしまったと。その様子を見た夫が、生前の写真を元に顔を修復して貰った。「元気だった頃の顔に戻った妻を見て、ゆっくりと心の整理をしながら、最後の御別れが出来た。」と夫はその効用を語ったという。
又、⑤に関しては、阪神・淡路大震災の際、多くの遺体がエンバーミングを施されたのだそうだ。
時の権力者が己の権力を後世に誇示したり、絶対的な権力者の跡を継いだ者が、その正当性をアピールする目的で利用するのは反対だが、上記の様なメリットから行なわれるエンバーミングであれば、良い事なのかもしれない。
因みに、エンバーミング料金は標準で1人15万7,500円、復元等の特殊作業は1時間5万2,500円かかるのだそうだ。*1
*1 標準の措置にかかる時間は3時間程度。
毎回興味深い題材を取り上げられますねえ。アンテナの鋭さにはびっくりです。
さてさて、このエントリを拝読して、あれ?ええっと、どこかでエンバーミングについて読んだよなあ、なんてしばらく唸ってまして。
思い出しました。山口雅也氏のミステリ長編第1作「生ける屍の死」。これにエンバーミングについて結構丁寧に書かれています。
ふうん、外国じゃこんなご商売があたりまえなのか、なんてすごい吃驚した記憶があります。
多分giants-55さんもこれを読んだ時の私と同じ感慨を今回持ったのでしょうね。
ミステリとしてもなかなかおもしろいですよ。ちょっとほろりせつないですけれど。
よろしかったらエンバーミングに興味を持ったついでにいかがですか?
ぁたし、文章を読み手に明確に伝えることのできる方を尊敬します。
人として、生まれ速さは違えど、死にむかって歩き続ける。
死は、必ず、訪れる。
エンバーミングを商売だとは思いたくないです。
ぁたしは、昔「お前が死んだら、一番綺麗な服を着せて、化粧もしてやって、業務用の冷凍庫におれが死ぬまで保存しとくからな」と言われて、泣きました。
文化、宗教的な事で死に関しても、大きく捕らえ方は違いますね。
もちろん、同じ日本国民すら、通じ合えない事のほうが多いのに…。
先ずはエンバーミングの資格を取られたとの事、本当におめでとうございます。看護士の知人から、勤務内容の大変さ及びその対価の安さをしばしば聞いておりましたので、看護に従事されている方の御苦労はそれなりに理解しているつもりです。自分の様な好い加減な人間にはとても務まらない、厳しい御仕事ですよね。高い志を維持していないと挫折してしまいそうな環境で、頑張っておられるkei様を始めとした方々に心から敬意を表したいです。
御友人が6月に御亡くなりになられたとの事、御気持ちを御察し致します。自分も学生時代に父親を病気で亡くしました。大きな病気一つしなかった父が、或る日急死してしまった事で、「死」というものを非常に身近に感じる様になったのですが、やはり近しい人物が亡くなると、色々考える事が在りますよね。
遺族にとっては精神的な救いを与えてくれるエンバーミングという御仕事、色んな意味で大変でしょうが、2年後のデビューに向けて頑張って下さい。
これからも何卒宜しく御願い致します。
認識しています。遺体にさらに傷をつけるというのは残酷なような気がしますが又、おおよそ長くても5日以内には火葬される日本で約15万円もの費用をかけ
エンバーミングは必要なのでしょうか?・・・
もちろん事故や災害で亡くなり遺体の損傷が激しい時は、必要でしょうが?・・・・
自分はどちらかと言えば考えが古い人間ですので、「親から貰った大事な身体には、(意図的には)傷一つ付けたくない。」といった思いが在ります。ですので、自分自身が整形をするなんて事は到底考えられない程。(他者が、自分の考えでするのは全く構わないと思っています。それで人生が前向きなものになればハッピーな事ですしね^^。)
故に、愛する者の屍に手を加えるというのは最初抵抗が無かった訳では在りません。でも愛する者だからこそ、万が一傷付いた形で在るならば”綺麗にして”送り出して上げたいというのも凄く判るんですよね。
送り出す側の人間が、その事で心の充足感を得られるならば、エンバーミングというのは非常に重要なものだと思うし、それに従事されている方には頑張って貰いたいという気持が在ります。
これからも何卒宜しく御願い致します。
御尊父様が御逝去されたとの事、先ずは心より御悔み申し上げます。自分も学生時代に父親を病気で亡くしましたので、御辛い気持ちを御察し申し上げます。
或る人間にとっては無価値に思える商品でも、別の人間にとっては非常に価値の在る物というのはまま在る事ですよね。エンバーミングを商品と喩えては非礼に過ぎるのでしょうが、でもこれも残された者達がそれによって心の救済を図れる、充足感を求められるもので在れば、それで良いと思うんです。仰る様に個人の価値観の違いで、「エンバーミング等必要無い!」と思われる方も居られれば、「これで亡くなった人間が心安らかに成仏出来る。」と思われる方も居る訳ですし。
少なくとも喜ばれる方が居る以上、エンバーミングに従事される方には頑張って貰いたいです。
これからも何卒宜しく御願い致します。
永遠の命を得る事が必ずしも幸せには直結しないとううのを、手塚治虫氏が「火の鳥」の中で描かれていました。地球上の生命体が全て滅びても、自身だけは生き続けなければならない、滅びる事の許されない寂寥感と哀しみ。
又、ヒットラーやムッソリーニといった独裁者が不死の肉体を得たら・・・と考えると空恐ろしさも感じます。
そういう観点で言えば、生まれながらにしてDNA上に組み込まれたプログラムに沿って、死を迎えるというのは自然の摂理で在り、地球という生命体にとっては好ましい事なのでしょが、でも愛する肉親には少しでも長く生きていて欲しいと願うのも当然の事なんですよね。