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原発テロが発生した。其れを受け、著作の内容がテロに酷似しているとされた人気作家・当麻蔵人(とうま くらと)に、身柄確保を目論む良化隊の影が迫る。当麻を護る為、様々な策が講じられるが、状況は悪化。笠原郁(かさはら いく)が所属する図書隊は、一発逆転の秘策を打つ事に。
しかし、其の最中、郁の上司にして“王子様”の堂上篤(どうじょう あつし)は重傷を負ってしまう。動謡する郁。そんな彼女に、堂上は任務の遂行を託すのだった。「御前は遣れる。」。
表現の自由、そして恋の結末は!?
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「青少年に悪影響を与える有害情報や、人権を侵害したり公序良俗を乱す表現を取り締まる為の法律『メディア良化法』が施行された日本を舞台にし、表現の自由や言論の自由を守るべく、政府や良化隊と戦う図書隊員達の姿を描いた小説。」の「図書館戦争シリーズ」も、今回読了した第4弾「図書館革命」で、本編は完結という事になる。(外伝シリーズとして、他に「別冊 図書館戦争シリーズ」が2冊刊行されているが。)
「時の権力者にとって、言論統制の為の最高の武器に成り兼ねない。」という懸念が多くの国民に在る中、強行採決で成立させられた「特定秘密保護法」。「時の権力者にとって不都合な事柄は、徹底的に弾圧する。」という「図書館戦争シリーズの世界」が、「遠くない将来の日本」と重ね合わさってしまう。「自由で在る事の幸福を、失ってみて初めて判る。」というのでは、どうしようも無い。
御互いに好意を持ち乍ら、不器用な迄に其の事を表現出来ない堂上と郁。読者としてはもどかしくて仕方無い一方、其のもどかしさが何とも良かったりもしたのだが、此の第4弾で2人はハッピーエンドを迎える。図書館戦争シリーズを愛し、そして読み進めて来た人間からすると、花嫁や花婿の両親みたいな気持ちになる事だろう。良かった、良かった。
完結編という事も在り、少々評価を甘めにして、総合評価を星4つとする。