ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「イマジン?」

2020年04月14日 | 書籍関連

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想像力は、在るかい?

憧れの映像制作の現場に飛び込んだ、27歳の良井良助(いい りょうすけ)。聞き慣れない業界用語が飛び交う現場に戸惑う日々だが、其処は現実と物語を繋げる、魔法の世界だった。
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有川ひろさんの小説イマジン?」は、映像制作会社で働く事になった若者の成長を描いた作品。「小学校5年生の時、TVで見た映画ゴジラvsスペースゴジラ』に自分の地元・別府が映し出された事で、『物語と自分が知っている現実が繫がった。物語と現実を繋げる人って凄い。自分も、そんな人になりたい。』と思った良助だが、或る事件に巻き込まれた事で“夢”の実現を諦める。夢を失い、其の日暮らしの生活を送る良助だったが、知り合いの佐々賢治(さっさ けんじ)の紹介で、映像制作会社でバイトする事となり、そして社員に採用される事に。」というストーリー。

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製作と制作、読みはどちらも同じセイサクだが、前者はいわゆる「企画・製作」、作品を作る資本に加わり興行までの責任を持つ「製作委員会」などの製作だ。制作は作品を作る実作業全般を受け持ち、「製作から発注されて制作する。」ということになる。良井ら制作スタッフの仕事は、大きく出れば「段取りを立てて円滑に現場を回すこと」であり、身も蓋もなく言えば「雑用係」だ。

野次馬は芸能人を見るために立ち止まっている。そこを敢えて「お通りください。」と促すのがミソだ。「立ち止まらないでください。」はできるだけ禁句。「お前らに命令する権利があるのか。」と絡んでくる野次馬が必ず現れる。
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「製作」と「制作」、違いが判っている様で、実は良く判っていない人も多い事だろう。「こんな事も、制作スタッフはするのか。でも、良く考えると、こういう事をしないと、作品の質が落ちてしまうんだよな。」といった、“制作現場での知らなかった現実”も多く描かれていて、とても興味深かった。

「夢を追い掛ける中、大きな挫折を味わう。押し潰されてしまいそうな現実に苦悩藻掻き乍らも、少しづつ成長して行く若者。」というのが有川作品に多く登場するけれど、今回の作品も例外では無い。自分の若かりし頃を思い出し、ほろ苦さを感じると共に、読み終えた後には何とも言えない爽やかさを感じた。

総合評価は、星3.5個とする。


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