「“此の時代”だから発生したんだろうけど、今ならば一寸考えられないなあ。」と思う“昔の事件”が、結構在ったりする。
5年前に「大鷲に攫われた小児」という記事を書いた。「1895年(明治28年)12月中旬、広島県三次郡三次町で小児が大鷲に攫われた。」という新聞記事を紹介した内容だが、こんな事件も今では一寸考えられないだろう。
又、去年の記事「青酸コーラ無差別殺人事件」で、1977年(昭和52年)に発生した「青酸コーラ無差別殺人事件」を紹介した。此れは「1977年1月4日から2月半ば迄、東京と大阪で発生した無差別殺人事件で、シアン化ナトリウム(青酸ソーダ)入りのコカ・コーラを飲んだ会社員等が被害に遭ったという物。3人が死亡(其の内、1人は自殺。)、1人が意識不明となったが、結局犯人逮捕には到らず、1992年1月に公訴時効が成立。未解決事件となった。」というのが概要。当時は世間を震撼させたけれど、「街中(当時は公衆電話ボックスの中等。)に誰が置いたのかも判らない飲食物を、飲み食いしてしまう。」なんていうのは、現在(特に新型コロナウイルス感染症が流行中の今)では、全く考えられない事だと思う。
「子供の頃夢中になって見ていた刑事ドラマ『Gメン’75』の全作品をDVDコレクションした『Gメン’75 DVDコレクション』。」を定期購読している事は過去に何度か書いたが、先日発売された第44号に収録された3話の1つが「第131話 少女餓死」で、冒頭に所謂「コインロッカーベイビー」が発見される件が描かれている。
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コインロッカーベイビー:鉄道駅等に設置されているコインロッカーに遺棄された新生児の事。捨て子事件で在り、新生児が死亡していれば死体遺棄事件でも在る。1973年を前後にして、日本国内で同時多発的に発生し、大きな社会問題となった。
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当時、自分は幼かったが、コインロッカーベイビーの事は強烈に覚えている。新生児をコインロッカーに遺棄するという行為が信じられなかったし、「死亡した形で、新生児がコインロッカー内から発見された。」というニュースに、恐怖心を覚えた物だ。
第44号では、コインロッカーベイビーに付いて詳しく書かれている。今から50年前の1973年だけで、大都市のターミナル駅を中心に、46件のコインロッカーベイビーが見付かったそうだ。既に死亡していたというケースが何れだけ在ったのかは不明なれど、普通に考えて「コインロッカー内に新生児を遺棄すれば、亡くなる可能性が大。」なのだから、相当数だったと思われる。
1973年に46件ものコインロッカーベビーが見付かった事から、国鉄(現在のJR)は此の年の7月より、其れ迄は最大5日間としていたコインロッカーの使用期限を、3日以内に変更した程。
コインロッカーベイビーが増大した理由は幾つか在ろうが、「当時、海外の若者文化等に影響を受けた日本の若いカップル(所謂“団塊の世代”以降の層。)が、子育てに対応出来る経済的基盤を持たない儘、多くは未婚の状態で出産。其の結果、生まれた子供が『邪魔になった。』として、遺棄するという最悪の判断を招いた。」という分析がされている。「仮に遺棄迄はされなかったとしても、そういったカップル、若しくは夫婦の間に生まれた子供達は、状況が改善されなければ、何等かの虐待を受けていた可能性は低く無いのだろう。」とも記されていたが、其の通りだと思う。
「コインロッカー内に新生児を遺棄する。」という形での事件、今では発生しないだろうけれど、其の代わりと言っては何だが、所謂“赤ちゃんポスト”というのが存在する。「死亡する可能性大なのを判ってい乍ら、新生児をコインロッカー内に遺棄する。」よりは、「『自分の代わりに面倒を看て貰える。』から、赤ちゃんポストに遺棄する。」方が、ずっと増しなのだろうけれど・・・。