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其の夜、街は静かだった。高台の家で、人質立て籠もり事件が起こる迄は。
SIT(特殊捜査班)に所属、宮城県警を代表する優秀な警察官も現場に急行し、交渉を始めるが・・・。
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伊坂幸太郎氏の小説「ホワイトラビット」は、一軒の家で発生した人質立て籠り事件を巡るストーリー。警察側の人間、犯人側の人間、其の他の登場人物、そして“語り手”と、様々な視点から話が進んで行くのだが、「〇〇と思い込んでいた事柄が、実はXXだった。」という意外な展開が幾つか在る。特に「何で此の人が、其処に居るの!?」という驚きは、以降の“種明かし”によって「成る程。」と得心させられるし、「相変わらず、伏線の張り方は上手いなあ。」と感心させられる。
格言やトリヴィア・ネタの多用は伊坂作品の特徴の1つだが、「ホワイトラビット」でもふんだんに用いられている。我が国では「ああ無情」という邦題としても知られる「レ・ミゼラブル」は、多くの人が“粗筋”は知っている小説だが、此の作品が大長編で、どうでも良い様な描写に物凄い頁数を割いている等、余り知られていない事実は興味深かった。
ざっくり言ってしまうと、コメディー・タッチのドタバタ劇。語り手が登場し、「~は、こういう意味です。」みたいな説明をするのも含め、苦手な人は苦手な設定だろう。個人的には、余り好きな作品では無い。
概して、伊坂作品とは余り肌合いが良く無い自分。先日読んだ「AX」には「星4つ」と珍しく高い評価を付けたが、今回の総合評価は星2.5個。