二昔前、シドニィ・シェルダン氏の小説が売れに売れた。アカデミー出版が“超訳シリーズ”と銘打って上梓された作品群で、アカデミー出版によると“超訳”とは「作者が何を言おうとしているのかを主眼にして、読者が読み易い様、自然に訳すスタイル。」との事だった。直訳では無く、意訳と言ったら良いのだろうが、「原文のニュアンスとは違う。」等、否定的な意見も少なく無かったと記憶している。
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「堺筋だけや無い、天下茶屋は・・・ 大阪メトロのサイト誤訳」(3月19日、朝日新聞)
堺筋線はサカイ・マッスル・ライン?大阪府内で地下鉄を運行する大阪メトロは、公式サイトの自動翻訳機能で、路線名や駅名等に複数の誤訳が見付かったとして、英語・中国語・韓国語・タイ語の翻訳機能を18日に停止した。
同社によると、16、17日に計4ヶ所の英訳の誤りの指摘が寄せられた。「堺筋線(Sakai muscle line)」の他には、天下茶屋を「ワールド・ティーハウス(World Teahouse)」、天神橋筋(6丁目)を「テンジン・ブリッジ・マッスル(Tenjin bridge muscle 6-chome)」、3両目を「アイズ・3(Eyes 3)」と誤訳していた。
同社は昨年9月、米マイクロソフト社の自動翻訳ソフトを使い、日本語の公式サイトを英・中・韓・タイの4カ国語に翻訳して閲覧出来る機能を導入した。画面上の4ヶ国語のボタンをクリックすると、頁全体が翻訳される仕組みだ。2月には、中国語で翻訳すると、駅のホームを「家庭」という意味で訳されたとの指摘も在った。
同社は駅名や路線名等の固有名詞の翻訳の改善を急いでいるが、再開の見通しは立っていないと言う。
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「堺筋線」の“筋”を“筋肉”と解釈し、「Sakai muscle line」と英訳。最早、ギャグとしか思えない。“超訳”ならぬ、“超絶訳”といった感じか。
此の自動翻訳ソフトを使用したら、「『前田“吟”』は『マエダ・シルヴァー』、『菅井“きん”』は『スガイ・ゴールド』。」と翻訳する事だろう。
自動翻訳を使うと、こういった笑える誤訳が少なからず在る。以前、「選り取り見取り」を平仮名にし、「よりどりみどり」で英訳させたら、「green color」と表示された。「よりどりみどり」の「みどり」を「緑」と解釈したのだろう。又、「村八分」と入力したら、「village eight minutes」と英訳された事も。「村→village、八分(はちふん)→eight minutes」という解釈には、思わず爆笑。
テレビニュースでも話題になっていましたね。
これは超絶訳というより悶絶訳といったほうがよさそう(笑)。
機械翻訳に任せっぱなしでチェックしなかった大阪メトロの対応にも悶絶しました。
最近、意味の分からないカタカナ語に出会ったときお世話になっているWeblio翻訳というサイトで、上記の地名を翻訳したらちゃんとまともな翻訳が出ましたよ。
「公式サイト上で“ダイレクトに”、此れ等の表示がされていた。」という事だと、「英語を少しでも学んだ事が在るなら、直ぐに気付くだろうに。」と余りの御粗末さに首を捻る所ですが、実際には「画面上の4ヶ国語のボタンをクリックすると、頁全体が翻訳される仕組み。」との事ですので、「自動翻訳機能を過信し過ぎた。」と言いますか、「全てを丸投げにした。」という感じなのでしょうね。正に、其の対応には悶絶。
昔は在り得ない様な“誤訳”が際立った自動翻訳機能ですが、近年は大分改良され、昔程の酷さは無いものの、其れでも未だ未だ翻訳や通訳を生業にしている人達には及ばない。