「残酷極まり無い事件」を此れ迄に数多見聞して来たが、中でも自分にとって「此れ以上無いと思える程残酷な事件」と言えば「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。此方に其の詳細が載っているけれど、「人間とは、こんなに迄残酷に成り得るのか・・・。」と暗澹たる思いになってしまう。鬼畜の所業を為した加害者達(事件発生当時は未成年。)が其の後も全く無反省としか感じられないのも然る事乍ら、彼等の親達の殆どが責任を全く感じ得ていない様な点にも怒りを覚える。こういうケースで在れば、加害者のみならず加害者の家族達に批判が集まるのは理解出来るのだけれど・・・。 ************************************** 平成20年の犯罪件数は253万3,351件。被害者家族はマスコミ取材による二次被害で心の傷が癒える間も無いが、実は加害者家族も凄惨な生活を強いられる。身内の犯罪を機に失職や転居を余儀無くされるだけで無く、インターネットで誹謗中傷され、写真や個人情報迄流出される。そんな過酷な現実を受け止められず、自殺する人も多い。事件への自らの非力を嘆き激しい後悔に暮れる加害者家族も多いが、抑身内の犯罪を未然に防ぐには限度が在る。正に他人事では無い実態を明らかにした、衝撃の1冊。 ************************************** 「加害者家族」(著者:鈴木伸元氏)は、「凶悪犯罪を起こした人間の家族が、事件発覚後にどの様な“社会的制裁”を受けて来たか。」に付いて明らかにしている。取り上げられている中には、「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件 」や「神戸連続児童殺傷事件」の様な世間を震撼させた事件の加害者家族も。上記した様に全く無反省な加害者や、「我関せず。」といった感じの加害者家族には怒りを覚えるけれど、被害者や其の家族に対して「強い贖罪の念」を持っている加害者家族(加害者自身は当事者という事も在り、今回は論じるのを控えるが。)が社会的制裁を受け続けなければいけないというのは気の毒以外の何物でも無い。
本の冒頭では夫が殺人の罪で逮捕された妻が登場するのだが、「夫が殺人犯だった。」という想像だにしない事実と直面させられ茫然とする彼女が、近所の人々のみならず、インターネットによって不特定多数の人々の誹謗中傷により「居場所」を無くして行く経緯には怖さを感じてしまった。「夫や自分だけでは無く、小学校低学年の息子の個人情報迄インターネット上に晒されるのではないか。」という恐怖を日夜持ち続けるのは嘸や辛い事だろうし、又、両親を亡くしている彼女を無二の親友(女性)が助けてくれる件が記されているのだが、彼女の幼子を“善意”で預かった事で其の親友が(自身の)夫と不仲になったばかりか、最終的には「親友の関係」が壊れてしまったという事に心が痛む。
心の底より「加害者や加害者家族の言動が許せない。」と感じてしまう事は、自分も在る事だ。其の事で、彼等を批判をするのも自由だろう。しかし、だからと言って「彼等に対して、何をしても構わない。」という事には成り得ない。不法行為は言う迄も無く、仮に不法行為で無いとしても「倫理的に問題在り。」と少なからずの人が感じる言動での批判は許される物では無い。「『正義の御旗』を立てれば、何でも許される。」というのでは、法治国家足り得ない。況してや「無辜で、被害者や其の家族に強い贖罪の念を持っている加害者家族」を誹謗中傷するというのは論外だし、巨大掲示板で良く見受けられる様な「面白い祭りが在るので、皆で誹謗中傷に参加しよう!」的な事を書いている輩は人間としてどうかと思う。
「御節問題」が発覚した際、当該企業に多くの批判が集まった。批判されて当然とは思うけれど、中には度を越した批判も少なくなかった。“叩く”事だけを目的とした、無関係な人間も結構参加していた様に感じる。此れに対して堀江貴文氏が「御節を購入した人は不憫。」とし、当該企業の罪を指摘した上で、度を越した批判に疑問を呈していた。「其の業者の社長は、責任を取って全額返金と辞任迄してる。充分に責任は全うしてると思う。だから此れ以上、外野がとやかく騒ぐ事ででは無い。」というのもそうだが、「自殺者が出る迄執拗に追及は続く。結局吊るし上げて、其れを見て溜飲を下げるだけ。」というのには同感。
無辜の加害者家族に“刃”を向ける人の中には、「彼等が自殺に追い込まれるのを期待しているのではないか?」とすら感じてしまう者も居るけれど、こういう人達は罪に問われるべきではないだろうか。
ただし、今迄に明らかになった「冤罪事件」の殆どが警察、検察、裁判所の共同作業であったとともに、テレビ、新聞、週刊誌などの「マスコミ」が協力して作り上げてきた、と言う事も決して忘れることはないでしょう。
御紹介の本は未読ですので、機会が在れば読んでみたいと思います。
冤罪事件は在ってはならないし、「疑わしきは罰せず」という大原則は忘れてはいけない。唯、「自身の罪を軽くしたいが為に、無実を叫ぶ人。」“も”居るで在ろう事も留意しないといけないでしょうね。
今後とも何卒宜しく御願い致します。