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「『買い物弱者』910万人 農水省推計 支援バス運行訴え」(6月4日付け東京新聞【朝刊】)
スーパー等の生鮮食品店が自宅から遠く、徒歩での買い物に不便を感じる「買い物弱者」が全国で910万人に上ると見られる事が3日、農林水産省の調べで判った。最寄りの店迄直線で500m以上離れ、自動車を持たない人が対象で、北海道と長崎県では人口の約1割に達している。
自動車の有無を問わず、店迄の距離が500m以上の人に対象を広げると4,400万人と推計する。農水省の農林水産政策研究所は、こうした人の分布を都道府県毎に示した食料品アクセス・マップを作成し、ホームページで公開。支援バスの運行等、対策の必要性を訴えると共に、自治体や出店を検討する小売り各社に活用して貰う考えだ。
同研究所は住民の意識調査の結果、店迄直線で500m以上在ると、道路の状況によって実際に歩く距離は1km以上になる事も在る為、徒歩での買い物に不便を感じ易いと分析した。国勢調査と商業統計調査を基に推計すると、店迄500m以上離れ、車も持たない人の割合は、長崎県が最も高く10.6%で、次いで北海道が10.0%。一方、東京都は4.1%、全国平均は7.1%だった。
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車社会が到来した事で、人々は必ずしも近くの商店街で商品を購入しなくても良くなった。地価の安い郊外に建設された大型店舗は豊富な品揃えで、且つ格安な商品を扱っており、其処を車で乗り付けて買い物するというライフスタイルが一般化したからだ。其の結果、錆びれる地域の商店街が目立つ様になり、人々は益々郊外の大型店舗へ行かざるを得なくなるという悪循環が。
車を所有している人は未だしも、所有していない人にとって、遠方への買い物というのは大変な事。格差社会の拡大により、車を所有したくても所有出来ない人も増えているだろうし、「体力の落ちた高齢者が徒歩で遠方に買い物に行き、重い荷物を抱えて帰宅する。」というのは、想像するだけでも、其の困難さが窺い知れる。
所謂「買い物難民」は、今後増加の一方だろう。そういう人達を対象にしたビジネス(インターネット通販等)も需要を増す一方と思われるが、企業側も慈善事業として遣る訳では無いので、幾何かの費用を商品に乗せる。乗せる費用が一定割合を超える様だと、其の手のサーヴィスを受けられない“持たざる人達”も出て来るかもしれない。