今月10日の記事「持ってる男」の中で、「『CSは廃止すべき。』というスタンスは全く変わらないが、“今季に限っては”、『ジャイアンツがCSで勝ち抜き、日本シリーズに進出して欲しい。』という思いになっている。』と記した。又、クライマックス・シリーズ(CS)のファースト・ステージ第2戦に勝利したジャイアンツが、ファイナル・ステージ進出を決めた翌日の15日には、「脱帽」という記事で喜びを記した。
だが、ファイナル・ステージの相手がカープという事で、心中では「ジャイアンツが1勝出来れば御の字って感じで、日本シリーズ進出は無理だろうな。」という思いが。何しろ今季、ジャイアンツはカープに対して「7勝17敗1引き分け」と、大きく負け越していたから。
で、昨夜、ファイナル・ステージの第2戦が行われ、「4対1」でカープが連勝。優勝チームのアドヴァンテージ「1勝」を加え、カープが「3勝」となり、日本シリーズ進出に王手を掛けた。明日の第3戦、ジャイアンツはエースの菅野智之投手の先発は無い様なので、1勝も出来ない儘、ファイナル・ステージを終える事になりそうだ。
シーズン途中の7月23日、「見抜かれている」という記事を書いた。其の中で具体的な数字を挙げた上、「カープの投手陣を相手にジャイアンツの打者はまあまあ打っているけれど、ジャイアンツの投手陣がカープの打者に打たれ過ぎ。」とし、「『ジャイアンツ投手陣の癖』や『ジャイアンツのキャッチャーの配球(特にカープがチャンスを迎えた際)の癖』がカープに見抜かれているのではないだろうか?」と指摘。此の傾向は、シーズン最後迄変わらなかった。
ファイナル・ステージの2戦を振り返ると、ジャイアンツの打者が打てていないのは確かだ。そして、ジャイアンツの投手陣が、此処ぞという場面で打たれているというのも在る。
*********************************
「2018年、ジャイアンツの対戦成績」
対カープ
防御率:5.24
得失点差:-18
被本塁打:28
防御率:4.31
得失点差:+15
被本塁打:31
防御率:4.05
得失点差:-26
被本塁打:25
防御率:3.12
得失点差:+47
被本塁打:25
防御率:2.71
得失点差:+25
被本塁打:23
*********************************
今季、ジャイアンツの投手陣は悪過ぎた。特に此処ぞという場面で、相手打者に打ち込まれた印象が強い。打ち込まれたのは投手の責任でも在るが、リードするキャッチャーの責任も大きい。
大きな期待を寄せているからこそ、敢えて小林誠司選手を批判する。「今季と変わらない様で在れば、来季はもっと出番が減るぞ!」と。
キャッチャーで在る選手に求められる要素は、大きく分けて3つ在ると思う。「強肩」、「リード」、そして「打撃」だ。強肩の指標で在る「盗塁阻止率」、今季の小林選手は「.341」でリーグNo.1。「無駄に塁を与えない。」という点で、充分に合格点を与えられる。
だが、リードと打撃は全く戴けない。打率「.206」は余りに低過ぎ、最低でも「.250」は欲しい所だし、何よりも送りバントが下手過ぎる。「チャンスで送りバントを失敗し、流れが変わってしまった。」という場面を、今季何度見せられた事か。
キャッチャーとして最も大事なリード、「今季は山口俊投手と菅野智之投手の2人をノーヒット・ノーランに導く等、リード面で良く頑張っているじゃないか。」と言う人も居るだろうが、好投手又は調子の良い投手をリードして結果を残すのは、並みのキャッチャーでも出来る事。問題はそうじゃ無い投手、特に調子が良く無い投手を、どうリードして勝たせるかだ。
カープのキャッチャーに見られる様な「厳しい所を突き捲る。」、「相手の弱いコースを執拗に突く。」といった所が小林選手には見られず、素人の自分でも見抜ける様な配球が目立った。コーチ陣に「もっと厳しい所を突け!」と指摘されたのか、時折厳しい所を突いたりはするけれど、「文句を言われない様に、“取り敢えず”厳しい所を突いておきましたから。」といった“責任回避的配球”、もっと厳しい言い方をすれば“御役所仕事的配球”という感じで、執拗さに欠ける。
達川光男氏や古田敦也氏等、名キャッチャーと呼ばれた選手達が「此処ぞという場面では執拗に厳しい所を突き捲ったり、相手の弱いコースを執拗に突いたりし、そして躱す。」というリードを見せたのとは大きく異なっており、こういうリードなら相手打者も、安心して踏み込んで打てる。
幾ら強肩で在っても、リードと打撃が今季の様で在れば、総合面ではマイナスの方が大きいと考える。今オフ、小林選手は死ぬ気でリードと打撃を磨いて貰いたい。そうじゃ無いと、来季は居場所を失う事になるだろう。