ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「戦争絶滅受合法案」

2012年09月20日 | 其の他

他国との関係が悪化すると、「戦争をして、打ち負かしてしまえ!」といった勇ましい物言いをする人が居る。戦場で人が死んだり、手足が吹き飛んだりするという「現実感」が乏しく、戦争を「ゲーム」の様に捉えている様な人が、そういう連中には多い気がするし、彼等は「自分達が戦場に行く事は、絶対に無い。」という無根拠な思いを持っている様にも思う。

 

情け無く感じてしまうのは、其の手浅はかな発言をする人の中に、政治家が居る事。一般人ならば単なる戯言で済もうが、国民の生殺与奪権を握る政治家が口にするというのは、とても恐ろしい事。「戦争が起こっても、政治家の自分は戦地に行く事は無い。」と、自身は“安全地帯”に身を置いた上での発言なのだから、「非常にが悪い。」と言える。

 

そういった質の悪い権力者達に対し、ずっと思っていた事が在るのだが、9月16日付けの東京新聞の1面コラム筆洗」を読んで、ニヤリとしてしまった。「全く同じ思いを持った人物が、20世紀初頭に居た。」事を知ったからだ。デンマーク陸軍大将で在るフリッツ・ホルム氏が、「こんな法律が在れば、戦争を無くせる。」として、「戦争絶滅受合法案(せんそうぜつめつうけあいほうあん)」なる法案起草したのだとか。

 

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「戦争絶滅受合法案」(原文ジャーナリスト長谷川如是閑氏が翻訳し、1929年に日本で発表。)

 

戦争行為の開始後、又は宣戦布告の効力の生じたる後、10時間以内に次の処置を採るべき事。即ち左の各項に該当する者を最下級の兵卒として招集し、出来るだけ早く、此れ最前線に送り、敵の砲火に実戦に従わしむべし。

1.国家元首但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たる事。
2.国家の元首の男性の親族にして、16歳に達せる者。
3.総理大臣、及び各国務大臣並びに
次官
4.国民によって選出されたる立法府の男性の代議士。但し、戦争に反対の投票を為したる者は、此れを除く。
5.キリスト教、他の寺院僧侶管長其の他の高僧にして、公然と戦争に反対せざりし者。

 

上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として招集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態を斟酌すべからず。但し、健康状態に付いては招集後、軍医官の検査を受けしむべし。

 

上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦、又は使役婦として招集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。

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「戦争の開始から10時間以内に、敵の砲火が飛ぶ最前線に一兵卒として、次の順序で人を送り込む。先ずは国家元首、次の其の親族の男性、3番目は総理、国務大臣、各の次官、そして国会議員(戦争に反対した議員を除く。)、戦争に反対しなかった宗教界の指導者達。彼等の妻や娘、姉妹達は従軍看護師として召集し、最前線の野戦病院で働く。」というのが此の法案の主たる内容で、「権力を持つ者から犠牲になるなら、自らは安全地帯に身を置いて、安直且つ御気楽にナショナリズム煽る政治家は姿を消す。」という論理正に、其の通りだろう。


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4 コメント

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>梅吉様 (giants-55)
2012-09-22 01:45:03
書き込み有り難う御座いました。

尖閣諸島の問題を含め、民主党政権の外交は駄目さ加減を曝け出している。唯、其れを声高に批判している自民党だけれど、「領土問題(北方領土や竹島も含め。)」を放置し続けて来たのは、一体何処の党だったのか?「原発問題」もそうですが、今日本を苦しめている多くの問題の“根本”を作り上げ、放置し続けて来た党が、無反省の儘に批判を繰り返すというのは、どうも納得出来ません。

一族郎党、未だに「石原裕次郎」に負んぶに抱っこの石原家。選挙になれば“ナンチャラ軍団”を引き連れ、「叔父の裕次郎が~。」と口にするさもしさ。政治と裕次郎に、何の関係が在るのか?又、そんな事だけに乗っかってしまう国民も国民。情けない限りです。
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Unknown (梅吉)
2012-09-21 13:17:18
いまだと尖閣諸島の問題で中国が激しい反日デモ
やってますが
これだから中国と、いう国は行きたくない国
困った国だとつくづく思います。 
これだって騒ぎの火種は石原慎太郎都知事ですからね。
あと、野田首相の責任は大きいでしょうが。

領土問題って旧ソ連、ロシアの北方領土にしろ
竹島の韓国日本の対立にしろなぜ、こうも
長引くのでしょう。

そんなことで中国と日本が、韓国と日本が
戦争されたらたまりません。
9条の改憲、改正、改悪は反対ですし。
日本が核兵器なんてとんでもない。 
石原都知事はつまらないことで口出しして
物議醸すことが自身の才能発揮してるとでも
思ってるんだろうか。
もし、尖閣諸島の問題が原因で戦争になれば
石原慎太郎氏が謝罪しなければ
いや、謝罪したと、しても遅いと、いうことになりかねない。今回もまた、自分の発言は正論だ
間違っていないなどと石原慎太郎氏本人は
述べるのでしょう。
こういう人が政治家、東京都知事になっちゃダメですよ。 本当に。 

石原慎太郎氏や石原のぶてる氏や橋下徹氏が首相に
なればこういう法案の重要性を知るべきでしょうが
多分、わからないだろうなあ。 
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>ぷりな様 (giants-55)
2012-09-20 20:43:04
書き込み有り難う御座いました。

「自分や自分の身内には滅法甘く、他者に対しては異常な迄に厳しい、そして勇ましい事を口にしているけれど、都合が悪くなると話を逸らして個人攻撃を得意とする某都知事。」なんぞは、是非此の法案の対象になって欲しいものです。

年代に拘わらず、其の人がどういう育ち方をして来たかで、物の味方というのは大きく変わる気がします。一概には言えないけれど、愛情に欠けた育ち方をして来た人というのは“概して”「自分に甘く、他者に厳しい。自分さえ良ければ、人の事なんか知ったこっちゃ無い。」的な思考が強い様に、経験上感じます。
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Unknown (ぷりな)
2012-09-20 15:00:53
戦争絶滅受け合い法案、良いですね。ただ、付け加えるならば、「地方自治体の首長・副首長および議員」もあればなお良いかと思います。某知事のじいさまとか。

ナショナリズムを唱える人々というのは、還暦以上の世代に多いのではないかと思います。先の大戦の時には生まれていなかったか幼少時であり、近い将来に戦争が起こったとしても、高齢者に含まれるということで徴兵されない可能性が高い人々。「それでナショナリズムを煽るのはちょっとずるいんじゃないの」と感じます。

70代以上の方々の国家・外交・戦争といったものに対する価値観は、どの時期に・どの地域で・どのような立場で戦争を体験したかによってかなり異なるという印象があります。
戦争の時は、元気な人・良く訓練された人から投入されていきます。初期のころは、主な戦場は日本に近い地域であり、制海・制空権も日本がまだ握っていたため、有利に展開できていました。戦争初期に中国大陸に派遣され、現地の人の抵抗に遭いつつもほぼ終戦まで有利な状況にあり、シベリアにも抑留されずに復員できた亡き祖父の友人は、チンタオでビールを食らっていたと自慢していました。また、かつてあまり豊かでなかった地方は公安職に志願する人が多かった地域でもあり、そのためか戦争に対して肯定的な人が他地域に比べて多いように感じられます。


「日本は特需景気で復興したのだから、朝鮮戦争が再開されればいい」という人もいますが、60年前とは軍事・通信・運輸等あらゆる分野で技術が向上し、ある国で生じたことが他の国に影響する度合いもスピードもくらべものにならないほど大きいのだから、特需だけを享受するのは難しいのではないかと思うのですが…。

長谷川如是閑氏が「戦争絶滅受け合い法案」の和訳を発表した1929年というと、「統帥権干犯問題」で軍部・立法府・行政府・右翼活動家が揉めていた時期ですね。「不敬である」と攻撃されたり、「主上が率先して兵士となってくださるというならば、臣民は喜んで動員される」というような、ホルム氏や長谷川氏の意と反するような受け取り方をされたりしたかもしれませんね。
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