ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「民王」

2013年09月22日 | 書籍関連

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御前等、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか。目を覚ましやがれ!」。漢字の読めない政治家、酔っ払い大臣揚げ足取りマスコミ、馬鹿大学生が入り乱れ、巨大な陰謀を巡る痛快劇の幕が切って落とされた。総理の父・武藤泰山(むとう たいざん)とどら息子・翔(しょう)が見付けた真実の欠片とは!?

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池井戸潤氏の「民王」は、政治の世界を描いた小説。と言っても、決して堅苦しい内容では無い。一部ネタバレになってしまうが、総理大臣と其の息子の中身が入れ替わってしまう(正確に言えば、脳波が入れ替わってしまう。)という、大林宣彦監督の映画「転校生」を思い浮かばせる突飛な設定で、ユーモラスな内容。*1でも、ユーモラスなだけでは無い。半沢直樹シリーズ」と同様、痛烈に様々な問題提起もされているのだ。政治とは、何なのか?報道とは、何なのか?政治家の存在意義とは?国民は、政治家を責めているだけで良いのか?等々。

 

ひょっとこ顔で、秋葉系からの人気が高く、漢字の誤読を繰り返す総理大臣。」、「へべれけ会見を行った大臣。」、「パイプ咥え、嫌味な関西弁で話す政治評論家。」等、其のモデルとなった人物が直ぐに思い浮かび、ついつい笑ってしまったが、「凄いなあ。」と思ったのは、漢字の誤読やらへべれけ会見やらを見聞し、こんなにも突飛な設定を考え出した池井戸氏の能力。普通の人なら「何だかなあ・・・。」と苦笑して終わりになろうが、其れだけで終わらないのが、人気作家になれた所以だろう。

 

非現実的な設定だけれど、妙に現実的な問題を横たわらせている。ユーモラスな記述が多いだけに、其の現実的な問題の数々が、読後に強く残るのかもしれない。

 

総合評価は、星3.5個

 

*1 脳波を読み取られない様にする電波妨害装置として「蕎麦屋の出前被る様なヘルメットに、状のセンサーが付いたグッズ。」を被らされた泰山親子。其れを見た泰山の妻が「何か、マグマ大使の一家みたいですわね。」と言い放つシーンが在るのだが、自分の様に「マグマ大使」【動画】を知っている世代は、其の喩え上手さに爆笑するに違い無い。


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4 コメント

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Unknown (マヌケ)
2013-09-22 23:52:01
伊坂幸太郎の「魔王」と似ていますね。 今日は100倍返しでしたね。 私の読書歴の中では、池井戸潤さんの作品では「下町ロケット」が一番です。 あと、池井戸潤さんの銀行系の作品や横山秀夫さんの警察ものを今の若者が読むと、銀行員や警察官や新聞記者にはなりたくないと思う学生が増えてしまうのではないかと思うことがあります。 銀行員も警察官も出世や人事や社宅や官舎住まいの狭い世界の中でボロボロに擦り切れながら、家族や大切なもののために必死に働いている様が小説的にデフォルメされているとは言え、過酷なものがひしひしと伝わってきます。 打たれ弱い今の若者が嫌う道なんじゃないかなと、ふと、ページをめくりながら思ったことです。
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>マヌケ様 (giants-55)
2013-09-23 01:47:59
書き込み有難う御座いました。

「弱者に焦点を当て、最後には其の弱者が困難を打ち破り、“勝利”する。」というのが池井戸作品の定番ですが、そういった結果が判っていても、爽快さが心に残る。元気を失っていた日本に在って、「下町ロケット」の世界は、「頑張ろう!」と思わせる物が在って、自分も大好きな小説です。

度を越した警察官や教師、官僚へのバッシング。そういったのを見て、「此の世界に入るのは止めよう。」と思う若者も居るでしょうね。でも、見方を変えると、そういう中で敢えて警察官等を志す若者というのは、「自分が悪い所を変えてやる!」といった心意気が感じられ、期待したいです。
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Unknown (マヌケ)
2013-09-25 12:41:21
幼稚園で教育実習中の下の娘から、子供たちが「倍返しだ!倍返しだ!」と意味も分からずにあちこちで叫んでいたと聞きまして、笑ってしまいました。 おそらく、親たちも家庭で口にしているのでしょうね。 今年は流行語大賞が期待できますね。
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>マヌケ様 (giants-55)
2013-09-25 13:22:21
書き込み有難う御座いました。

此処数年、「新語・流行語大賞」の候補用語を目にすると、「こんな用語、流行したの?」と思ってしまう、無理無理に押し込んだ用語が何と多い事か。「新語・流行語大賞」に選ばれた用語ですら、「此れって、『新語』とか『流行語』でも何でも無いじゃん。」と思ってしまうケースも在りましたが、今年は久々に「新語」や「流行語」というのがピッタリの用語が多いですね。「(中身は全く無いけれど)アベノミクス」や「今でしょ!」、「倍返し」、「じぇじぇじぇ」等、百花繚乱といった感じ。

「流行語らしい流行語が、TV番組から生み出された。」というのも、久々の事ではないでしょうか。捻くれ者故、「あまちゃん」も「半沢直樹」も見ていませんが、其れでも「じぇじぇじぇ」や「倍返し」という用語は知っているし。
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