ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「機械仕掛けの太陽」

2022年12月27日 | 書籍関連

16年前の記事「『猿の軍団』や“ラ講”の話」の中で触れたが、高校時代に見聞していた英語講座で最も好きだった講師御園和夫氏だった。穏やか語り口で、判り易く授業する彼は、自分を英語好きにしてくれた1人だ。

そんな彼が亡くなった。「25日、横浜市金沢区の市道の横断歩道を奥様と横断していた所、横断歩道の手前で停止していた車に後続車が追突し、其の弾みで夫妻共に車に撥ねられ、2人共に横浜市内の病院に搬送。奥様は肋骨を折る重傷だったが、御園氏は80歳で亡くなられた。」と言う。

時代、同じ英語講師として人気を博していた“金ピカ先生”佐藤忠志氏が“悲惨な最期”を遂げたのもショックだったが、形は全く違うとはいえ、御園氏の最期も非常にショック。「判り易い講義で、自分を英語好きにしてくれて有難う御座いました。」と感謝の表したい。合掌

話はガラッと変わるが・・・。

1年位前だったろうか、知人から「此れ、読んでみて。」と、彼の住んでいる地域で配布されているフリーペーパー を手渡された。地元の情報と共に、地方議会議員コラムが交代制で毎号載っており、其の中のA氏のコラムを指差した。読んでみて、「何だ此れ!?」という思いに。自民党所属の彼が書いているのは、「“基本的に”自民党がしている事は全て正しく、自民党を批判するメディア及び野党は全て間違っている。」という主張オンリー。知人によれば、彼が担当するコラムは毎回毎回そんな感じで、何方かと言えば自民党支持の知人ですらも呆れ返ってしまう内容なのだとか。

、「『基本的に自民党がしている事は全て正しい。』という主張。」と書いたのは、「新型コロナウイルス感染症に関して“だけ”、自民党のスタンスと異なる。」からだ。流石に訳の判らない“陰謀論”を振り翳す事は無い様だが、「新型コロナウイルス感染症は“普通の風邪”と何等変わらなく、ワクチン接種なんて百害在って一利無し。ワクチン接種はすべきで無い!!」と声高に叫んでいるのだとか。以降、知人からは折に触れ当該コラムを見せて貰っているのだが、具体的根拠挙げる事無く、兎に角『ワクチンは百害在って一利無し。』なので、接種には大反対。」と主張し続けている。

どんな考えを持とうが自由だけれど、根拠を示さずに騒ぎ立てるだけでは、全く説得力を持ちない。ワクチン接種をしない事で感染者、そして延いては死者が急増したら、A氏はどう責任を取る積りなのだろうか?「無条件で自民党を賛美し、自民党を批判するメディア及び野党を批判し捲る。」というのは、「自民党に阿り捲る事で、選挙時に党から公認を貰いたいだけ。」としか思えない。

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大学病院勤務医で、呼吸器内科を専門とする椎名梓(しいな あずさ)。彼女はシングル・マザーとして、幼児を育て乍ら高齢の母と同居していたが、コロナ病棟の担当者として、最前線に立つ事になる。

同じ病院の救急部に勤務する20代の女性看護師・硲瑠璃子(はざま るりこ)は
、結婚目前の彼氏と同棲中。独身で在るがに、コロナ病棟での勤務を命じられる。

70代の開業医・長峰邦昭(ながみね くにあき)は、町医者として地元に密着した医療を提供し、息子にはそろそろ引退を考える様に勧められていた。然し、コロナ思い掛けず、高齢で持病も在る自身の感染を恐れ乍らも、現場に立つ事を決意する。

彼の時”、
医療の現場では何が起こっていたのか?3人は其れ其れの立場に苦悩し乍ら、何の様にコロナ禍を生き抜くのか?
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現役医師でも在る作家知念実希人氏。彼の作品「機械仕掛けの太陽」を読了。機械仕掛けの太陽とは、新型コロナウイルス感染症を意味している。「2019年秋」から始まり、「2022年6月6日」で終わるストーリー。詰まり、新型コロナウイルス感染症が“人知れず”生み出された時に始まり、第6波収まりつつ在る頃で終わっている訳だ。

9月の記事「祈りのカルテ 再会のセラピー」の中で記した様に、「
プライヴェートでは“ネトウヨ気質言動”を繰り返しており、ネトウヨに在り勝ちな『デマ拡散や、明らかな間違いを指摘されると無視したり、見苦しい言い訳に終始する。』所、そして、他者から誤りを指摘されると、却って向きになって、自身のスタンスを押し通そうとする。』所。」が、知念氏には在る。良い作品を生み出しているだけに、非常に残念なのだが、今回読んだ「機械仕掛けの太陽」では意識してか、彼がプライヴェートで見せて来た『安倍首相がして来た事は、全て正しい!」といった感じの論調を抑えてはいる。又、ワクチンに関する陰謀論にも苦言呈しており、上記したA氏のスタンスとは違いを感じる。

新型コロナ感染症が世界中で大流行して以降、運び込まれて来る重篤な患者達のに、身を粉にして働いて来た医療従事者達。治療法どころか、ワクチンも存在しなかった中、感染して命を落とす方も少なく無かった。使命感で頑張って来られた彼等に対し、自分は尊敬の思いしか無い。

なのに、そんな彼等や其の家族に対し、差別的な言動(「感染するから近寄るな!」等。)をする人間が少なからず存在したのは、本当に悲しい事だった。未曽有事態が長期間続いた事で心身共に疲弊し切ってしまった上、不当な差別を受けた事で、心が折れてしまった医療従事者の話を幾つも見聞して来たが、「機械仕掛けの太陽」によって「医療現場=戦場」で在った事と、医療従事者の過酷な環境を改めて思い知らされた。自分が彼等の立場だったら、早い段階で心が折れていた事だろう。

「過酷な環境に身を置いていた医療従事者達と、現場の実態を全くと言って良い程に理解していなかったの上層部との乖離。」を、時系列で書かれた此の作品は、如実に浮かび上がらせている。、国の上層部だけでは無く、新型コロナウイルス感染症を軽視していた少なからずの国民も同罪だし、又、金儲けの為に“陰謀論”を撒き散らし、ワクチン接種を妨害していた連中の罪は、万死値する

危機的な状況となる。→感染者が大幅に減り、終息兆しが見える。→再び危機的な状況となる。」という繰り返しの約3年間。「機械仕掛けの太陽」は、上記した様にコロナの終息を期待させる「2022年6月6日」という“時代”で終わるのだが、“今”は再び感染者が急増している。作品の中でも記されているけれど、新型コロナウイルス感染症の“根絶”というのは現実的では無く、如何に共生”して行くかを考えなければいけない。のだろう。

総合評価は、星4つとする。


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2 コメント

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Unknown (悠々遊)
2022-12-29 16:27:58
こんにちは。
コロナワクチン害悪論はTwtterやヤフコメでもよく目にします。
私のような「命に係わる手術を伴う入院」を何度も経験してきたものから見れば、害悪論を主張する人たちはそういう経験をしてないんだろうなと思ってしまいます。
ワクチンはそもそも病原の毒を薄めて摂取し、あらかじめ抵抗力をつけておくことが目的なので、全く無害ということはありえない。
また、人によって様々なアレルギー反応があり強弱もあるので万人に有益無害なんてこともあり得ない。
それを問題視するならどんな薬だって食物だって、体内に異物を取り込む行為はすべて危険な害悪だということになってしまう。
結局のところ、病気にかかって苦しむかもしれないリスクと、ワクチンを接種して副反応に苦しむかもしれないリスクと、どちらかを(医者のアドバイスを受けて)自分自身が判断するしかないのだと思う。
それを一律にワクチン接種は害悪だと主張することで、迷っている人の判断を捻じ曲げているとしたら、それこそ害悪でしかないだろう。
私自身の体験ですが、手術後のCT検査で血管造影剤を使って詳しい画像判断をするにあたり、造影剤使用で稀に起きるアレルギーについて、数百人に1人に起きる軽微なレベルから何十万人に1人に起きる重篤なレベルまで、症例をそれぞれ説明され、不安に思いながらも検査を受け1度目は何事もなく、2度目で軽い副反応が出たため、以降は医療関係者にそれを伝え、アナフィラキシーショック警戒のため造影剤を使わないCT検査になりました。
これが医療現場の現実であり、害悪論や陰謀論を見聞きするたび、それをまき散らす無責任な人たちに腹を立てています。
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>悠々遊様 (giants-55)
2022-12-30 01:45:24
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

どんな物で在れ、体内に異物が入り込めば、其れを排除し様とする働きが、大なり小なり起きるのが普通。「小」で在れば良いのですが、其れが「大」で在れば大問題で在り、そういう危険性を指摘するのは良い。でも、「全く無根拠に騒ぎ立てる。」というのはどうかと思うし、悠々遊様の様に御病気を抱えておられる方にとっては、新型コロナウイルス感染症のワクチンは、現状に於て非常に心強い存在。なのに、訳の判らない陰謀論を振り翳し、在ろう事か接種の妨害行為に出るなんて、最早犯罪行為と言って良いです。

話は全く異なりますが、自分の伯父に「麻酔を打たれると、急激に体調が悪化し、最悪の場合死に直結する可能性が在る。」と医師から注意を受けている者が居ります。なので、、ずっと麻酔は避けておりましたが、何年か前に大手術を受ける事になり、医師が最大の注意を払って麻酔を打ったのですが、幸いな事に異常が出なかった。そういう体質の方は、本当に大変です。
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