素人参加型のクイズ番組が、大昔は数多く存在した。「アップダウンクイズ」や「クイズ天国と地獄」、「クイズ100人に聞きました」、「クイズダービー」、「クイズタイムショック」、「三枝の国盗りゲーム」、「世界一周双六ゲーム」、「史上最大!アメリカ横断ウルトラクイズ」、「パネルクイズ アタック25」、「クイズ$ミリオネア」等々だ。然し、或る時期から素人参加型のクイズ番組は次々と姿を消して行き、今では「パネルクイズ アタック25」と「全国高等学校クイズ選手権」位しか残っていない。
代わって増えて来たのが、タレント出演型のクイズ番組。其の理由に付いて以前、番組関係者が語っていた。「素人参加型のクイズ番組の場合、大々的に予選を行ったり、撮影手順を詳しく説明したりと、費用も手間も非常に掛かる。一方、タレント出演型のクイズ番組の場合、予選を行わなくて良いし、撮影手順も理解しているので、改めて説明するつ必要も無い。費用も手間も掛かる素人参加型クイズ番組が激減して行くのは、経費削減が叫ばれるTV局では自然な流れだった。」と。
又、大昔は「素人を対象にしたドッキリ番組」が結構存在した。「元祖どっきりカメラ」が代表格だが、そういうのも今は見なくなった。ドッキリ番組自体は定期的に放送されているが、対象はタレント許り。「TV番組慣れした素人が増えた事で、ドッキリに対するリアクションが面白く無くなった。其の点、タレントだと“作り手の求めるリアクション”をきちんとしてくれる。(「蛇が大嫌いという某御笑いタレントに、何度も作り物の蛇を見せては驚かす。」というドッキリを以前放送していたが、蛇はどう見ても作り物と判る物で、又、全く動きもしないのに、1分近くも「怖い!怖い!」と大袈裟に“演技”しているのがバレバレで、見ていて非常に白けてしまった事も。)」という事に加え、「素人を対象にしたドッキリ番組だと、撮影後に放送許可を取る手間が掛かる。」という事情も在るのだろう。要するに「厳しく経費削減が求められるTV局に在っては、費用も手間も余り掛けずに、手っ取り早く番組を作る事が最優先される様になった。」という事だと思う。
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「テレビ朝日、ニュース番組で不適切演出=担当者の知人が『客』として出演」(10月16日、時事通信)
テレビ朝日は16日、3月に放送した夕方のニュース番組「スーパーJチャンネル」の企画コーナーで、不適切な演出が在ったと発表した。業務用スーパーマーケットへの密着取材を伝える内容で、主要部分で客として登場した複数の人物が、担当の男性契約ディレクター(49歳)の知人だったと言う。
担当ディレクターは講師を務める俳優養成教室の生徒等に、事前に取材日程を知らせ、番組では別の人物を含む計5人が初対面を装い、店で焼き蕎麦やブロッコリーを大量に購入する等した。取材はディレクター1人で行い、謝礼は支払っていないと言う。
記者会見した同社の篠塚浩常務は、「番組に対する信用を傷付け、視聴者、関係者に深く御詫びする。」と陳謝。「遣らせ」かどうかに付いては、「素の様な指摘を受けても仕方無い演出だった。」と述べた。
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「ヴァラエティ番組なら、“多少の遣らせ”は許される。」と、自分は考えている。でも、ニュース番組は駄目だ。仮に“緩い内容を扱ったコーナー”で在ったとしても、ニュース番組内で放送されるならば、遣らせは問題。其のニュース番組自体の信頼性が、大きく揺らいでしまう可能性が在るので。
今回の取材、ディレクター1人が行ったと言う。経費削減という点から、そういう事になったのだと思われる。又、知人5人を“初対面の客”として登場させたというのも、“作り手の求める言動”をさせるには都合良いし、1人1人に撮影許可を取る必要が無いという事で、手っ取り早く番組が作れるからだろう。
こういう遣らせ、何度も繰り返されて来た。そんな御手軽な番組作りをしなければならないのだったら、少なくともニュース番組ならば、どうでも良いコーナー数を減らしてでも、1つ1つのニュースをもっと深く掘り下げる事に時間を割くべきではないか?