ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

4.3本→0.9本

2018年06月15日 | 其の他

日本では、コンヴィニ店舗数よりも歯科診療所の数の方が多い。」というのは、良く知られた話。厚生労働省の調べによると、今年1月時点で歯科診療所の数は約6万9千に対し、コンヴィニの店舗数は約5万8千。1980年には約3万9千だった歯科診療所数は、1995年に約5万8千となり、其れから23年で更に約1万1千増えた事に。

 

我が家の近所でも、歯科診療所は雨後の筍の様に増えている。「経営破綻する歯科診療所が増加。」という話は良く耳にするけれど、実際に1ヶ所閉院したのを知っているし、オープンする前には記念品を配布しての内覧会をしていた歯科診療所を幾つか見ているので、“生存競争”は非常に厳しいのだと思う。

 

人口減の影響に加え、開業数が増加している事が、歯科診療所の倒産を生んでいる。」という認識だった。確かにそういう面も否定出来ないが、他の要素も在る様だ。週刊朝日(6月15日号)に、「歯科医が次々と経営破綻」という記事が載っていた。

 

東京商工リサーチ歯科診療所の倒産を集計した所、2017年度は前年度から倍増の20件も在った件数が20件台に乗るのは23年振りで、負債総額は約11億だとか。東京商工リサーチは、「人口減による患者減少や、歯科衛生士等の人件費上昇が深刻。小規模な歯科診療所が苦境に在る。」としている。

 

歯科診療所と言えば「虫歯の治療」だが、非常に興味深いデータが在る。厚生労働省によると、12歳児の虫歯の数は、1989年に平均4.3本だったのが、2015年は0.9本と約5分の1になったそうだ。年を取っても、自分の歯が多く残る人も増えている。虫歯数が減れば、必然的に治療数も減る。「歯磨きを確り行い、虫歯を無くそう!」という啓蒙活動が、結果として歯科診療所の経営を苦しくしているのだとしたら、「節水を呼び掛けるも、節水されればされる程、水道代が高くなるダムのシステム。」と似た皮肉さを感じてしまう。

 

日本歯科医師会纏めた個人医院の実態調査によると、「収入約3,922万円に対し、掛かった費用は約2,788万円で、差額の損益は約1,134万円。」と言う。此の数字だけ見ると「結構儲かっているじゃないか。」と思うが、2008年の損益は1,336万円だったので、約10年で202万円/年も減っている事に。1,100万円台というのは2年連続。診療報酬改定の上げ幅が低く抑えられ、保険診療収入は低水準が続き、「経営努力は限界。」と同会は訴えている。

 

嘗ては約4千万円程だった歯科診療所の開業資金も、最新機材の高額化により、今では約6千万円掛かる。私立大学歯学部の卒業には数千万円掛かると言われており、開業費の高額化に加え、歯科医師としての収入減という現実から、子供を後継者にしない歯科医師も増えているとか。

 

嘗て、歯科医は「儲かる良い商売。」とも言われたが・・・。


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