「今月6日に行われたアメリカン・フットボールの定期戦で、日大選手が関西学院大のクォーターバック(QB)に悪質なタックルを行い、怪我を負わせた事件。」に付いて一昨日、“加害者”で在る日大の宮川泰介選手が顔出し&名前を明らかにした上、事件の経緯を明らかにした。(日大アメフト部の)内田正人監督及び井上奨コーチから「怪我を負わせ、試合に出られない様にしろ。」という意味合いしか思えない形で「関西学院大学のQBを潰せ。」と何度も指示された事を語った上で、「でも、実際に悪質タックルをしてしまった自分が一番悪い。」とした宮川選手。
どんな理由が在るにせよ、悪質タックルをした宮川選手の罪は免れないが、顔出し&名前を明らかにし、公の場で謝罪した彼の勇気&誠実さには心を打たれた。証言は実に詳細で、彼が嘘を吐いている様には思えなかったし、「大好きだったアメフトを嫌いになり、退部を決意する事となった彼。」の気持ちを思うと、とても心が痛んだ。
そして昨夜、宮川選手の謝罪会見を受け、内田監督及び井上コーチが“日大の仕切り”で緊急会見を行った。怪我した選手や宮川選手等に対して「申し訳無かった。」と取り敢えずは口にするも、内田監督は「『潰せ。』という指示はしていない。」と断言。又、井上コーチも「監督からの指示では無く、自分の考えで『潰せ。』とは言ったけれど、『怪我を負わせろ。』という意味では無い。」と主張し、双方共に「宮川選手が“誤解”して、勝手に行った事。」という“ニュアンス”だった。
日大アメフト部の他の部員等から「悪質タックルは、内田監督や井上コーチの指示だった。」、「彼等から、事実を口にしない様に指示された。」という証言が出ている。「真相は、当事者のみぞ知る。」では在る。でも、「自分が一番悪い。」とした宮川選手と、彼に全ての責任を負わせ様としているかの様な首脳陣、何方の姿に見ている人達は“真実”を感じるだろうか?
今回の事件を受け、日大の教職員から“抗議の声明文”が大学側に出された。当然の事と思う一方で、日大の学生達から“具体的な行動”が無い様なのが気になる。取材陣からマイクを向けられると、怒りの声を上げてはいるけれど、自分の大学がこんな酷い事になっているのに、「皆で抗議し様。」という動きにならないのは、何故なのだろう?安保闘争の頃とは時代や環境が違うにせよ、「強者には一切逆らわず、阿るのが無難。ストレスの捌け口は、弱者叩きに向ければ良い。」という風潮が蔓延した上での“学生達の黙り”だとしたら、とても残念な事。
で、話を昨夜の会見に戻すが、内田監督&井内コーチの発言も然る事乍ら、会見を仕切っていた日大広報部の司会者が最悪だった。「事件の真相を明らかにする。」という誠実さが全く見えず、横柄な態度で会見を打ち切ろうとする姿勢には、「此れじゃあ、日大のイメージが悪くなる一方だな。」という思いが。
「仮定の質問には答えられない。」と、司会の彼は口にしていた。不都合な質問をされると、安倍晋三首相が馬鹿の一つ覚えの様に口にする言葉でも在る。安倍首相が此の言葉を口にする度、自分は不思議な気持ちになる。「仮定の事態を念頭に置き、深く分析&対策を打つのが政治家の仕事ではないのか?」と思うからだ。「北朝鮮によるミサイルを発射に備えて。」とか「テロの謀議に備えて。」等、「仮定で物事を進める。」事が好きな安倍首相が、自身にとって不都合な事柄になると「仮定の質問は答えられない。」と主張するのは、単なる“逃げ”としか思えない。
新たな文書が出て来た事で、「国民の信頼を得るべく、緊張感を持って政権運営して行きたい。」という趣旨の発言を記者団にした安倍首相。同じ様な発言を何度聞いた事か。発言直後は反省した風情を見せるものの、時間が経つと傲慢&好い加減な言動をし出すというのが彼の常。第一次政権では“御友達優遇”で墓穴を掘った筈なのに、第二次政権でも同じ事を繰り返す。彼の辞書には「反省」や「改善」という言葉は無いのでしょうね。全く学習能力の無い御仁です。こんな人間が“愛国心”だ“道徳”だと声高に叫んでいるのですから、呆れて物が言えません。
安倍首相の十八番の1つに、「目新しく且つ頭が良さそうに思われそうな用語を好んで使う。」というのが在ります。悠々遊様が書かれた「悪魔の証明」もそんな1つだと思うのですが、記憶違いで無ければ、ドラマ「相棒」で杉下右京が此の言葉を使った直後から、安倍首相は矢鱈と使う様になった。此のドラマの大ファンで在り、「此れは使える!」とでも思ったのでしょうね。
因みに新たに出て来た文書で「加計学園の獣医学部新設願望」を知った際、安倍首相は「良いね!」と言ったと書かれていましたね。ツイッターで「良いね!」が付くのが嬉しくて仕方無いらしく、「良いね!」という言葉を何度か彼が口にしていたのを過去に聞いたけれど、流行り物が大好きなんですね。
相似形というか、本当によく似ていますね。
状況証拠や証言が次々出てきても、あくまでシラを切って「言った」「言わない」の水掛け論に持ち込んで逃げ切ろうという魂胆がありあり。
政治家であれ教育者であれ、他人に道徳を説く立場の人間が、自らは道徳をないがしろにする、世も末とはこういう世相を言うのでしょう。
自らが仮定の話で憲法をないがしろにしながら、都合が悪くなれば「仮定の話には答えられない」とは、どこまで悪質なんだろうか。
安倍信三君にはもう一つ姑息な趣味がありますね。
都合悪くなると、「無いものを証明しろというのは悪魔の証明」というフレーズを何度も使いますが、権力者がこれを使うと、廃棄&改ざんなどで証拠を隠滅しておいて「無いものは無い」とシラを切ることが出来る、と公言しているようなもの。
こういうことを毎日のように見せられると、手も足も出ない庶民の一人としては、必殺仕置き人の出番をつい期待しそうになります。
違法とはわかっていても(苦笑)。