ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「Another2001」

2021年01月24日 | 書籍関連

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多くの犠牲者が出た1998年度の“災厄”から3年。春から夜見北3年3組の一員となる生徒達の中には、3年前の夏、見崎鳴(みさき めい)と出会った少年・比良塚想(ひらつか そう)の姿が在った。“死者”がクラスに紛れ込む“現象”に備えて、今年は特別な“対策”を講じる想達だったが、或る出来事を切っ掛けに歯車が狂い始め、遂に惨劇の幕が開く。

相次ぐ理不尽な“死”の恐怖、そして深まり行く謎。“夜見山現象”史上最凶の“災厄”に、想と鳴はどう立ち向かうのか!?
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2020週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」の7位、そして「このミステリーがすごい! 2021年版【国内偏】」の3位に選ばれた小説Another2001」(著者綾辻行人氏)は、「Anotherシリーズ」の第3弾。

「1972年、夜見山北中学校3年3組に在籍する、優秀で皆から愛されていた或る男子生徒が亡くなる。彼の死を嘆き悲しんだ担任やクラスメートは、
『彼は死んでいない。生きているのだ。』という振りを続け始めたのだが、其の事で翌年から『3年3組』では理不尽な災厄が降り掛かる様になる。理不尽な災厄は毎年起こる訳では無く、“在る年”と“無い年”が存在し、2年に1度か其れ以上の割合で発生する。“在る年”の場合、4月の始め、新学期の教室で机と椅子が一組足りないという事態が発生。『クラスの人数が1人増えている。増えた人間は“死者”なのだが、誰が死者なのかは気付く事が出来ない。』というのが理由で、そうなった年は毎月少なくとも1人、多い時には何人もの“関係者”が死ぬ。関係者とは『クラスを構成する人間と其の二親等以内の血縁者』で、事故死、病死、自殺、他殺と様々な形で死ぬのだと言う。」という設定で、ストーリーが描かれているのは2001年となっている。

超常現象が確実に存在している世界”を舞台にしているミステリーというのは、著者の力量が大きく問われる様に思う。「超常現象が確実に存在している世界ならば、何でも可能じゃないか。」という事になってしまうから。どんな滅茶苦茶な設定やトリックでも「在り。」となってしまい兼ねず、そうなると読者は読み進める気持ちが萎えてしまうだろう。「存在しない人間、其れも死者がクラスに紛れ込んだら、誰も気付かない訳が無いだろ!」等、「Another2001」にも突っ込まれそうな設定が幾つも存在するのだけれど、『何でも在り。』にならない様な“縛り”が、著者によって上手く設けられている。其の上で幾つもの伏線が敷かれ、きちんと全て回収されているのだから、もう見事としか言えない。

「生徒達が次々と、理不尽且つ残酷な形で死んで行く。」という点では「バトル・ロワイアル・シリーズが、又、或る少女の死に方には超有名なホラー映画の一場面が思い浮かんだ。

「こんなにも恐ろしい“秘密”が、3年3組の生徒達だけの間で守られるものだろうか?」という疑問は残るが、
面白い作品では在る。でも、全部で800近い作品を一気に読み進めるのは年齢的にきつい。内容をもう少し凝縮して、600頁位にして欲しい所。分厚さを見て、読むのを敬遠してしむ人も存在しそう。

総合評価は、星3.5個とする。


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