ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」

2006年10月02日 | 映画関連
半年近く前にその製作を知り、以降早く公開日が来ないかと心待ちにしていた映画「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟を遂に鑑賞して来た。本当ならば公開初日にでも飛んで行きたかったのだが、何しろ中年のおっさん一人で観に行くのも勇気が結構要り、延び延びになっていた。しかし、破壊王子様の記事「行け!観ろ!燃えろ!ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」を拝読して、もう我慢も限界。単身で映画館に乗り込んだ。

場内は案の定、小学生とその親といった組み合わせが目立ったが、所々に”嘗ての少年&少女”の姿が見受けられた。ホッとすると共に、同じ時代を共有した同士が此処にも居るのだと、嬉しさを感じつつ上映を待った。

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今から20年前、ウルトラマンウルトラセブンウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)、そしてウルトラマンAウルトラ兄弟は、宇宙空間で激闘を続けていた。人間の持つ憎悪の念や猜疑心を悪用し、卑劣な作戦で人類に攻撃を為す異次元人・ヤプールが、その怨念の集合体たる超獣Uキラーザウルスにて地球への攻撃を企図していたからだった。

それ迄にも数多の敵と闘って来たウルトラ兄弟。幾度と無く絶体絶命の窮地に陥りながらも、地球を守り抜いて来た彼等だったが、Uキラーザウルスの凄まじい攻撃力に苦戦を強いられる。やっとの事で神戸沖にUキラーザウルスを沈めるも、このままでは強烈なマイナス・エネルギーを発し続ける超獣が何時蘇るかも判らない状態。そこで彼等は”ファイナル・クロスシールド”にて、二度とUキラーザウルスが蘇らない様に封印する事を決断する。”ファイナル・クロスシールド”には彼等の命の源で在る”光エネルギー”の殆どを費やさなければならず、それはウルトラマンとしてのファイナル、即ちウルトラマンへの変身能力を失う事を意味していた。そして月日は流れ・・・。

神戸上空に一機の円盤が飛来。その中には巨大ヤプールの下に集まり、Uキラーザウルスを封印から解き放つ事で、地球制服を企む4星人が乗り込んでいた。ウルトラ兄弟の意志を受け継ぎ、地球の平和を守るウルトラマンメビウスに最大の危機が迫った時、その前に現れた男達こそ、変身能力を”ほぼ”奪われ、今は一般市民として暮らしていたウルトラ兄弟だった。
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ウルトラ・シリーズ開始から今年で40周年という事で製作された”御祭り作品”*1。本編の中では他に、ゾフィーウルトラマンタロウも登場する。一般的には「ウルトラ8兄弟」と呼ばれているので、ウルトラマンレオアストラ兄弟以外の兄弟は全て顔を揃えた訳だ。(本編以外では、歴代のウルトラマンが勢揃いしている。)

地球制服を企む4星人は「ニセウルトラマンに変身した事の在る、”凶悪宇宙人”ザラブ星人」、「ウルトラマンセブンをにし処刑しようとした、”分身宇宙人”ガッツ星人」、「ウルトラマンジャック=郷秀樹の恋人を殺害した、”暗殺宇宙人”ナックル星人」、それに「ウルトラ6兄弟(レオ及びアストラが登場する以前。)を皆殺しにしようとした、”極悪宇宙人”テンペラー星人」という顔触れ。どれも強烈な印象を残してくれた”名悪役”ばかり。その上に、封印を解かれたUキラーザウルスの進化系で在るUキラーザウルス・ネオと巨大ヤプール、ケルビム、ニセウルトラマンメビウス(ザラブ星人の変身した姿。)が参戦しているのだから、もう”たまりまセブン大放送”といった感じ。

「ウルトラマン=ハヤタ·シン(黒部進氏)」、「ウルトラセブン=モロボシ・ダン(森次晃嗣氏)」、「ウルトラマンジャック=郷秀樹(団時朗氏)」、そして「ウルトラマンA=北斗星司(高峰圭二氏)」といったウルトラ兄弟の人間体がスクリーンに登場した際には、冗談抜きにして目頭が熱くなってしまった。ハヤタは神戸空港の空港長を務め、ダンは神戸市内の牧場で羊達の世話をして暮らし、郷は神戸市内のサーキットで少年レーサー達の指導に当たり、北斗は神戸市内のホテルでオーナーシェフとして働いているという設定。Uキラーザウルスを封印したものの、その復活を危ぶみ神戸の地に皆留まっていたのだった。

彼等の今の職業が、嘗ての彼等のキャラクターと実に上手くマッチしている。破壊王子様も書かれておられたが、”五男坊”の北斗は歳を召した今でも、ヤンチャさを感じさせてくれていた。彼等の胸元に付けられたピンバッジや、レース服に描かれたマークが、嘗て彼等が所属していた”地球防衛隊”のシンボル・マークだったりと、兎に角微に入り細に入り、”昭和ウルトラマン”を見て来た者をハッとさせる仕掛けがふんだんに盛り込まれている。オープニングのタイトル映像が、ウルトラ・シリーズの第一弾「ウルトラQ」の余りにも有名な”渦巻き調”のアレを模したものだし、ウルトラマンのマスクも初期(1話~13話迄)だけに使用され、Aタイプと呼ばれているラテックス素材の”ザラザラ肌”のもの。ウルトラ兄弟が磔状態になったシーンは、嘗てエースキラーによってウルトラ4兄弟が十字架に磔にされたシーンを思い出させる。

映像面だけでは無く、「ウルトラ6兄弟の歌」を始めとした懐かしの曲も多く用いられ、視覚と聴覚にこれでもかと言わんばかり、”涙腺を緩めさせる攻撃”を与えて来る作品。

ハヤタやダン、郷、そして北斗に、嘗ての若さは最早無い。仕方無い事とは言え、皆を重ねている。北斗役の高峰氏は恐らく四半世紀以上ぶりにその御姿を拝見したが、欽ちゃんみたいな顔になっていた。しかし、年老いても彼等はヒーロー然としているし、相変わらず格好良いのだ。

永遠のヒーローに相応しい熱い台詞も、他の役者が口にしたならば何処か陳腐さを漂わせたものになっていただろう。でも彼等の場合は全く違和感が無いばかりか、それを口にする事が「太陽が東から昇り、西に沈む。」のと同じ位に自然なのだ。変身シーンの再現も、嘗ての子供だった自分には震えが来る程感動させられるものだった。

心に残った台詞は幾つか在ったが、中でも自分の思いが地球人に届かない事で悩み苦しむヒビノ・ミライ(メビウスの人間体。演じるのは五十嵐隼士氏。)に、嘗て同じ思いを経験したハヤタが掛けた言葉が、心の奥底迄染み渡った。

我々ウルトラマンは決して神では無い。どんなに頑張ろうと、救えない命も在れば、届かない思いも在る。

これ迄に多くの作品を評点して来た。出来る限り”冷めた目”で評価して来たが、この作品に関しては申し訳無いがとても冷めた目で評価出来ない。仮面ライダー・シリーズと並んでこのウルトラマン・シリーズには、幼少の頃よりの思い入れが半端ではないからだ。この作品には夢中で見入らせてしまう”魂”が溢れていた。誰が何と言おうと、総合評価は星5つ。DVD化されれば、購入して家宝にしたい。

*1 これだけの御祭り作品なのだから、出来ればウルトラ・シリーズにの深い人達をもっと多く登場させて欲しかった。スケジュールの都合で出演出来なかったという事だが、東光太郎(タロウの人間体)役の篠田三郎氏(近影)やおおとり・ゲン(レオの人間体)役の真夏竜氏(近影)の姿が無かったのは何とも残念。アラシ·ダイスケ役の毒蝮三太夫(当時の芸名は石井伊吉)氏(近影)やイデ・ミツヒロ役の二瓶正也氏、二谷一美役の三谷昇氏等、その他にも出演して欲しかった人達を挙げたらきりが無い。

後、本編が終わったからと、エンド・ロールが始まると同時に席を立ってはいけない。最後の最後に”御楽しみ”が待っているからだ。本編では最近の御姿を見せてくれなかったフジ・アキコ役の桜井浩子さん(近影)、友里アンヌ役のひし美ゆり子さん(近影)、そして南夕子役の星光子さん(近影)という”マドンナ”3人と、南猛役、と言うよりも「キカイダー01」のイチロー役でも御馴染みだった池田駿介氏(近影)の御姿が拝める。

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19 コメント

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いいよなぁあ (帆印)
2006-10-02 03:08:13
実は、俺も見て来た。

さすがに、小僧を連れて行ったが、マンとティガファンだしね。
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TBども!! (てれすどん2号)
2006-10-02 03:40:55
DVDで家宝に、、、ええわかりますほんと発売日に即買いでしょうね(笑)ハヤタやダンの言葉は、いつまでも覚えていることでしょうね。出てほしい俳優さん、今後TVで出演予定の方も多数。ここだけのはなしですが、ウルトラ兄弟も最終回近くには、、、
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TBありがとうございました (かみぃ@未完の映画評)
2006-10-02 04:49:16
初めまして。TBありがとうございました。

ホント、懐かしさが満載の楽しい映画でした。

二十年以上聴いていなかった音楽でもちゃんと覚えていて体が反応しちゃう。

いいもん見せてもらったという感じです。

これからもよろしくです。
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これは・・・ (おりがみ)
2006-10-02 10:06:26
仕事上見に行かねば(笑)とおもっていましたが・・

仕事抜きでいぎだぐなっだですよ!

女の子だって大好きだったんだよ、ウルトラシリーズ・・・。
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充実した内容 (しゅう)
2006-10-02 10:30:09
 TBありがとうございました。私からもTBさせてもらいました(^^)。

 私も半年位前に制作の話を聞いて以来、首を長くして待っていた一人でした。

 そして、期待を裏切らない楽しい作品でしたね。





 追伸・文中に書いてある、たまりまセブン大放送 には笑いました。
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TBありがとうございました! (まこと@らぶうね)
2006-10-02 11:58:07
早速トラックバック返しさせていただきました。



記事中、科特隊員の名前をフルネームで書いておられますが、このフルネームは1996年、『ウルトラマンゼアス』と同時公開された『甦れ!ウルトラマン』の時に付けられたもので、番組放送当初は「フジ・アキコ」以外はフルネームの設定はありませんでした。

ゆえに、ボクはこのフルネームには非常に違和感を感じるのですよ。



だから、劇中、ミライとハヤタの出会いのシーンで、ハヤタが「地球での名は……、ハヤタだ」と言った(フルネームでは言わなかった)のは、嬉しかったですね。

もっとも、神戸空港のIDカードにはしっかり「ハヤタ・シン」と記されているらしいですが(^_^;)



同様に、いつ新マンを「ジャック」と呼ぶかとヒヤヒヤして観ていたのですが、これも台詞では最後まで呼ぶことはなく、ホッとしましたね。



やっぱりボクと同い年の監督だけあって、ボクらの世代が考えていることはよくわかってらっしゃるというのが素直な感想ですね。
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ダンは藤沢でレストランをやっている (Spa supernova)
2006-10-02 17:03:18
友人と一度行ったことがあります^^。





映画はご無沙汰気味ですが、行って見ようかな。



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>Spa supernova様 (giants-55)
2006-10-02 20:36:47
書き込み有難うございました。



森次氏の御店、こちら(http://964.jp/Z43M)ですよね。この御店の存在を知って以降、機会が在れば訪れてみたいと思いながら、未だに果たせないでおります。大好きなドリフターズの仲本工事氏の御店(残念ながら現在は閉店してしまいましたが。)には足を運んだ事が在るというのに^^;。



Spa supernova様は実際に足を運ばれたんですね。何とも羨ましいです。森次氏がもし御店に居られたら、恐らく緊張の余り固まってしまいそうな気がします。幼い頃のヒーローって、それだけ憧れ度高いんですよね。



ウルトラ・シリーズに少しでも思い入れが御在りでしたら、是非とも映画見て下さい。細部に到る迄、”嘗ての子供達”への心憎いサービスに溢れたこの作品。「泣きました。」とか「○○年生きていて良かった。だって、この作品に出遭えたのだから。」といったおすぎ氏の嘘臭い宣伝文句には飽き飽きしておりますが(苦笑)、この作品は嘗てウルトラ・シリーズを見て来た人間の琴線に確実触れるものが在ると思います。
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3度足を運びました。 (破壊王子)
2006-10-02 22:04:11
一回目に観て、自分のブログに感想を書きつけた翌日、サントラ盤を購入してカーステで聞きまくっているのはアタクシです。

神戸空港に着陸するガンウインガーも格好良かったです。ですので、今はガンフェニックストライカーが欲しくてなりません(苦笑)。

アタシの住んでいる所ではメビウスは日曜の早朝に放送という悪条件ですが、夕方のスカパーは「マックス」「ティガ」「(初代)ウルトラマン」「エース」とやってます。今月はそこに「ウルトラQ」が始まるので、もう大変です。朝からまさにウルトラゾーンと化してます。

細かい部分を見ていけば結構瑕疵もあります。しかしそれが気にならないのがこの映画の面白いところです。整合性よりも見せ場を取ったのが良かったと思います。

DVDはマストバイですね。



平成ウルトラマンの嚆矢である「ティガ」も機会があったら御覧ください。メビウスとは違った意味で良い作品ですよ。
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うわぁ (kossy)
2006-10-02 22:36:38
毒蝮さんや二瓶さんだなんて、涙ものですよ~

これ以上泣いたら、恥ずかしくて席を立てないじゃないですか。

もしかして、篠田三郎さんも恥ずかしかったのかな・・
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