ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

パフォーマンスの是非

2004年12月06日 | スポーツ関連
プロ野球界に於けるパフォーマンスに付いて書いてみたい。

① 黒木投手のパフォーマンス
先日契約更改交渉に臨んだ黒木知宏投手だが、2,000万円ダウンの6,000万円の球団提示に対して、自ら更に1,000万円ダウンの5,000万円での契約を申し入れ、契約更改を終えた。3年に亘り不本意な成績しか残せなかった事で、「このままでは自分は弱くなる。」と思い、減額制限幅の25%を超える大幅減俸を申し入れたという。昨年も、球団提示額の端数分を自主返納した彼だが、マリーンズの選手の中には、「彼一流のパフォーマンス。これでチーム全体に、減俸の流れが出来上がってしまう事も考えられるので、勘弁して欲しい。」といった否定的な声が少なくないそうだ。

今年の球界を大きく揺るがした合併問題。合併に追い込まれた最大要因は、球団経営の悪化に在る事は言うまでもない。当該球団だったバファローズとブルーウェーブのみならず、他の多くの球団が赤字体質に喘いでいるのは、球団の企業努力の甘さに起因している部分もなくはないが、やはり選手の年俸の”度の過ぎた”高騰化に拠ると思う。

このブログでも何度か書いた事だが、合併問題が盛んにマスメディアで取り上げられていた頃から、「ファンの為に闘う!」と声高に連呼する選手達に違和感を持ち続けていた。球団経営悪化を招いた年俸の高騰化を”具体的に”どう抑制するか、つまり身を削る覚悟が何処迄”具体的に”在るのかが今一つ示されなかったからだ。又、それ迄蔑ろにしていたファン・サービスを、取って付けたかの様に始めた感じがし、「選手会=正義の味方」という一方的な論調は必ずしも正しくないのではないかとも思っていた。

しかし、合併が決定して以降、「プロ野球構造改革協議会」で年俸減額制限の緩和も検討して行く事となり、選手達も厳しい現実を認識し、身を削る覚悟が出来たのではないかと評価する気持ちが、自分の中では少しづつ出て来ていた。

ところがだ。この期に及んでも、まだゴネ得を図ろうとしている様な選手が何人か出て来ては居まいか?言葉は悪いが、年俸減額制限が緩和される前の”駆け込みゴネ得”に思えて仕方ないのだ。

黒木投手の今回の行動は、確かにパフォーマンスだろうとは思う。でも、パフォーマンスであっても良いではないか。斜陽の方向に向かう球界を改革する為には、球団も選手も、そしてファンも身を切る覚悟が求められると思う。そんな中で、黒木投手は間違いなく自らの身を切ったのは事実だろう。ゴネ得を図っているとしか思えない選手よりは、パフォーマンスであるにせよ、余程黒木投手の方が潔さを感じるし、支持したくなる。

② ゴールデン・イーグルスのパフォーマンス
ゴールデン・イーグルスが、背番号10の永久欠番化を検討しているという。多くの功績を残した選手の背番号を、その選手の栄誉を称えて、所属チーム内では二度と使えない様にするのが永久欠番なのだが、新球団であるゴールデン・イーグルス”内で”功績を残した選手は当然ながらまだ居ない。

サッカーに関しては疎い自分だが、Jリーグでは、「11人でプレーするサッカーの12番目の選手はファンである。」という考えから、背番号12を欠番にしているクラブが多いらしい。それにヒントを得た三木谷オーナーが、「9人で行う野球の場合は、10番目の選手はファン。」という事で、背番号10の永久欠番化を指令したという。

サッカーだ野球だという垣根を取っ払い、御互いに良い点は貪欲に取り入れて行くべきだとは思う。しかし、今回のゴールデン・イーグルスのパフォーマンスは、個人的には戴けない。70年に亘る”野球文化”の中で生まれ&育まれたものの一つが永久欠番。単なる象徴に過ぎないし、拘泥する必要もないという声も有ろうが、やはり”実際に”功績を残した選手に与えるというスタンスが望ましい気がする。

新しいモノをどんどん取り込んで行く進取的な文化もあれば、そのままの形を残して行くのがベターな文化も存在すると思うのだ。

③ 選手会のパフォーマンス
これに付いては、パフォーマンスと書いてしまうのは少し違う気もするが、一寸気になったので触れてみたい。

岩隈投手の移籍問題に付いては、彼の心情は判るものの、一選手の意向を全面的に通してしまう事が、球界の規律を崩壊させてしまうのではないかという懸念を持っていた。しかし、ハムぞー様の記事で、「民法上では経営者が代わる営業権譲渡の場合、労働者の移動への同意が必要。」という観点から岩隈投手が一貫してバファローズ残留を拒否している事を知り、そうであるならば彼の主張も認めざるを得ないのかもしれない。(バファローズとしては、統一契約書に基づき、旧バファローズ(近鉄バファローズ)からバファローズ(オリックス・バファローズ)に対し、岩隈投手はトレードされた形となるので、彼の言い分は無効だとしている。)

どういう形で決着が付くのかは、これからを見守るしかないのだが、気になるのは選手会が全面的にバックアップを行っている事。労働組合である日本プロ野球選手会に所属の岩隈投手の問題に、選手会が乗り出しても良いではないかという声もあろうが、選手個々人は個人事業主でもあるのだ。一国一城の主、つまり社長でもある。

状況に応じて”カメレオンの如く”、労働組合員の立場や個人事業主の立場を使い分ける選手達には以前から疑問を感じていた。年俸の件もそうだが、何か良い所取りしているだけの気がするからだ。個人事業主の立場を貫くのならば、問題が生じた場合は、”個人で”弁護士なり何なりを雇い、問題解決に当たるべきだろう。労働組合員の立場を貫くのであれば、選手会の介入は判らないでもないが、岩隈投手のゴールデン・イーグルス入りが決定的であるかの様に繰り返す選手会の姿は、何か”圧力団体”の雰囲気を感じさせる。

労使間の力関係が、昔の様に使用者側が極度に有利だった時代はいざ知らず、選手が力を持って来た今、選手会が”圧力団体化”するのは健全なのだろうか。

古田選手の様に、バランス感覚を兼ね備えた人間が代表を務めている内はまだしも、専横な人間が代表を務めたら・・・。

選手会の今回のパフォーマンスは、諸刃の剣になって行きそうな気がする。
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1 コメント

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お題3題 (ハムぞー)
2004-12-06 08:01:40
>黒木投手

評価します。本人の気持ちの問題ですから。



本業の赤字もついでにつけてるかも知れませんが、給与が経営を圧迫するほどになるのはいかがなものかと。



勿論プロですので、給与が選手の評価であることは認めます。しかし選手は「労働者」なのだから、本業からの範囲で給与を貰うのが当然です。勿論経営のガラス張りを訴えてそれと引き換えということで給与ダウンすればいいと思います。



黒木投手は彼なりに考えてやっているわけです。それはそれで、他の選手が批判する筋のものではないでしょう。



>楽天10番

アイデアはいいのですが、高らかに名乗るのは「永久欠番」という単語の重みを無視しています。

そっと楽天広報誌に「8:磯部、9:○○、10:ファン」と書けばそれでよかったのに。



鈴木啓示の永久欠番取扱い問題について、三木谷氏も一読されれば、意味がお分かりになるかと。



>岩隈問題

その部分は孫引きなので、少し恥ずかしい・・・。



この問題で思うのは、制度の不備です。身売りなら問題ないことでも、協約にない合併でコレだけの問題が出てくるのです。強引にことを認めさせたことを、1リーグ推進派は反省していただきたいと思います。

そのうえゴロ寝コミッショナーまで巻き込むとのこと。いやはや・・。
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