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「<火山噴火>経済損失、日本が最悪 降灰の影響が多岐に」(3月14日、毎日新聞)
日本で潜在的に起き得る噴火による経済損失を年平均で示した「平均年間損失」は、約112億ドル(約1兆3,600億円)と推計され、世界で最も高い事が判った。仙台市で14日始まった国連防災世界会議に合わせて公表された、2015年の国連世界防災白書で報告された。白書は噴火による経済損失を風水害や地震より遥かに小さく見積もるが、世界の活火山の約1割が集中する日本の様な火山国の損失は深刻だと強調している。
白書は2年に1度公表されているが、火山の本格的なリスク評価が示されたのは、今回が初めて。アジア太平洋地域の活火山を対象に、噴火時に降灰が在る地域を確率論的に導いた。其の上で、火山灰により将来見込まれる全損失を、1年当たりで平均した値(平均年間損失)を算出した。
其れによると、日本の平均損失は約112億ドルと最も高く、インドネシア約59億ドル、フィリピン約5億ドルと続いた。日本は世界の活火山の7%が集中している事に加え、経済規模が大きい事が、想定損失額の拡大に繋がったと見られる。火山灰による影響は交通、農業、精密機器から健康被害迄多岐に及ぶ。2010年にアイスランドで起きた噴火では、降灰による交通、物流の麻痺で、約50億ドルの損失が出たとされる。
白書によると、世界の活火山の100km圏内に暮らす人口は8億人以上。インドネシア、フィリピン、日本の順に多いが、全人口に占める割合ではグアテマラやアイスランドで9割を超えている。観測技術の進展により、過去100年で5万人の命が救われたとする一方、10km圏内に約570万人が暮らす世界で最も「危険」なメキシコ中西部の火山地域には、観測システムが無い事等が報告されている。
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東日本大震災発生以降、日本では全国各地で、火山活動が活発化していると言われる。「温泉」という恵みを生み出す一方、地震等の大災害を齎し兼ねない火山の存在は、何とも悩ましい物が在る。
今から33年前の1982年、気象庁予報官が「富士山大爆発」なる本を刊行し、大きな話題となった。「1983年9月に、台風の様な大きな低気圧が富士山上空に位置し、其の気圧差が引き金となって地中のマグマが上昇。富士山は、大爆発を起こす。」という“予言”だったが、結局、富士山は噴火しない儘、今に到る。
富士山の噴火史を見ると、新富士火山の噴火は781年以降16回起こっているが、1707年に発生した「宝永大噴火」以降は、300年以上噴火していない。此処数年、「何時噴火してもおかしくはない。」と言われ続けて来たけれど、昨年辺りから噴火の予兆の様な物が、幾つか報告されている。他の山の噴火も気になるが、被害規模の大きさを考えると、富士山の噴火は非常に不安だ。