移民は、世界的な問題となっている。生活困窮や治安悪化等の理由から、他国へ逃れる人達、特に子供達の姿を目にすると「何とか助けて上げたい。」と思う一方、移民がどっと押し寄せる事での治安悪化や社会的費用の増大等、多くの移民問題が発生するのも事実で、非常に悩ましい事柄だ。各国で様々な移民政策が採られているけれど、何れも国内で大きな軋轢を生んでいる現実。
昨日、車で移動中に聞いていたラジオ番組で、「移民とスマホ」に関する話題を取り上げていた。興味深い内容だったので、今日の記事として紹介させて貰う。
母国を捨てて他国に移る移民達にとって、スマホは不可欠な存在と言う。移動中にスマホでFacebook等にアクセスする事で、国境封鎖や各国の政策変更、国境警備隊の厳重な警戒を擦り抜ける為のハウツー、移民の弱みに付け込む詐欺師の存在等々、多くの有益な情報を得られるし、家族や密入国請負人と連絡を取り合うのにも必要だからだ。そんな状況が在る中、各国政府が“移民の強制送還”にスマホを利用し始めている。
ダブリン規約は、「欧州連合(EU)加盟国と幾つかのEU非加盟国に於て、難民のアサイラム(特殊エリア)申請の処理を、何の国が受け持つのかに付いての規約。」で在る。此の規約には、「亡命希望者は、最初に到着した国で難民申請をしなければならない。」と定められている。
或る男が母国を捨て、他国に移る決断をしたとする。“地理的な事情”等から最初に到着した国がAだった場合、彼はAで難民申請をし、申請が認められれば、其のAで難民として生活する事になる。でも、其のAが経済的な面等で、生活するには厳しい国だったら、彼は其処で「生活して行きたい。」とは思わないのだろう。必然的にAでは難民申請をせず、A経由でもっと条件の良いBという国に移り、Bで難民申請をする。「最初に到着した国がAなのに、其れを秘密にしてBで難民申請した。」という事が明らかになれば、強制送還の対象に成り得る。
ヨーロッパ全域では、コンピュータ・フォレンジクス産業というのが急成長しているそうだ。スマホのメッセージや位置情報履歴、データの抽出等も業務としているのだが、移民のスマホを分析する事で、彼等の移動情報を含む個人情報が明らかとなり、強制送還の対象とし得る訳だ。
昨年、ドイツとデンマークは「移民局職員が、亡命希望者の携帯電話からデータを抽出出来る。」様に法改正を行った。オーストリアとベルギーでも、同様の法案が提出されている。又、イギリスとノルウェーでは数年前から、亡命希望者が所有するデヴァイス類のチェックが行われているそうだ。
こういった流れを受け、移民達も「幾つものSIMカードを隠し持ち、スマホのデータを調べられる際には、“都合の良いSIMカード”をスマホにセットしておく。」という対策を採っているという事だが・・・。
「難民を受け入れたくない豊かな国々が作った規約という印象です。」というのは、正にそんな感じですね。「自国の事を、最優先に考えなければいけない。」という考えを全面否定する気は無いけれど、でも、「自国さえ良ければ、他国の事なんかどうでも良い。」と迄なってしまうと、其れは流石に違うと思う。綺麗事かも知れないけれど、“世界の安寧在っての自国の安寧”と思うから。
「其れだけの決意とエネルギーが在れば、団結して母国の暗部と対決出来ないものかとも思います。」、此れは難しい面が在るかも知れませんね。長期に亘って独裁政権が敷かれている国、例えば北朝鮮なんかもそうですが、「彼の国の人達は、どうして一致団結して反旗を翻さないのか?」と思った事も在りました。でも、善く善く考えると、「一致団結して反旗を翻す。」というのは、多くの人間が事前に、且つ周到に計画を練らないと成功するのは極めて難しい。其れ無しに立ち上がった場合、直ぐに叩き潰されてしまう。
では、「多くの人間が事前に、且つ周到に計画を練る。」為にはどうすれば良いのか?秘密裏に多くの人間が集まったり、デヴァイス類を使って連絡を取り合う形で綿密に計画を練るという形になる訳ですが、独裁国家の場合は“秘密警察”の暗躍やデヴァイス類の規制(盗聴やらネット規制やら。)が在り、現実的には難しい。(こういった事は中国やロシアでも言えましょうが。)団結して母国の暗部と対決したくても、実際には出来ない現実というのが在るのかも知れませんね。
「最初に到着した国で難民申請しなければならない」とは厳しい条件ですね。
内陸の国で周囲の国も状況が母国とそんなに変わらなければ、母国を捨ててまで難民申請する意味が無いでしょうね。
難民を受け入れたくない豊かな国々が作った規約という印象です。
昨日見ていたニュースでのこと。
米国を目指してメキシコ国内を移動中の移民集団にインタビューしていて、トランプ政権が国境に兵を配備して越境を阻止すると言っていることに対し、女性の一人が「何があっても必ずアメリカに行く。必ず成功する」と言っていたのが印象に残りました。
それほど母国の情勢が厳しいのでしょうが、逆にそれだけの決意とエネルギーがあれば、団結して母国の暗部と対決できないものかとも思います。
これも遠く離れた安全なところから他人事としてとらえているから言えることなのでしょうが。