今日は先日読み終えた本「不滅のヒーロー 仮面ライダー伝説」を取り上げたい。止せば良いのに、又しても懐かしネタで在る。
ウルトラ・シリーズも好きだったが、それ以上に仮面ライダー・シリーズをこよなく愛している。これ迄にも「仮面ライダーの大幹部達の今 Part1&Part2」や「仮面ライダー THE FIRST」等、全く趣味に任せた記事を幾つか書いて来た訳だが、そんな自分が以前から読みたいと思っていたのがこの本だ。主演俳優達へのインタビューと写真150点以上が載っているのだから、仮面ライダー・ファンにとっては垂涎の一冊と言えよう。
TV版に関しては「仮面ライダーBLACK RX」迄、映画&ビデオ版としては「仮面ライダーJ」迄が”資料として”取り上げられている。それ以降の作品が扱われていないのは、この本の発行が1999年だからだ。そして作品や主演俳優に関して詳細に触れられているのは、「仮面ライダー」から「仮面ライダーZX」迄のTV版に限った、所謂10人ライダーに付いて。夢中になって見ていたのが「仮面ライダーV3」迄と言っても良いので、今回も「仮面ライダー」及び「仮面ライダーV3」に関して触れてみたいと思う。
ずっと不思議だった事の一つが、これ等の番組が撮影されていた場所が何故川崎市の生田スタジオだったのかという事。生田スタジオと言っても、日本テレビが所有し、今も使われている生田スタジオでは無い。撮影を担当していた東映が所有し、今はもう無い正式名称「東映生田撮影所」の事だ。当時の東映は大泉撮影所という立派な施設が在ったのにも拘らず、どうして不便な山中の、それも古い倉庫の様な場所で撮影していたのだろうか?という疑問。その答がこの本の中には書かれていた。
何でも当時の東映は、「後ワン・シーンだけ撮影が残っていても、17時になればパチンと電気が消されてしまう」様な労働組合が強い影響力を持つ環境に在り(まるで今のTBSの様。)、しかも頻発する労働争議によって、東映内の撮影所が次々とロックアウトされる事も在ったという。そして、特に新番組は組合側にとって格好の攻撃材料だったと。放映日が決まっていて、その日迄に作品を撮り終えなければ契約に違反するし、しかも全く新しい作品故、撮り溜めが無い。だからこそ、新番組の撮影を押さえる事は、組合側にとって経営者側との大きな交渉材料を得る事を意味した。
そこで「仮面ライダー」が新番組として企画された時点で、後に生田スタジオの所長となる内田有作氏が「これではろくに撮影も出来なくなる。」と、組合側の全く知らない場所にスタジオを作る事を考え、実父で映画監督の内田吐夢氏の伝を頼って手に入れたのが生田スタジオだったそうだ。よもやそんな深い理由が在ったとは・・・。
スタジオとは名ばかりで、其処には当初何も無かったという。撮影の度に必要な機材を揃えて行くといった有様で、撮影現場も正に人海戦術だった様だ。俳優達、そしてスタント・マン兼殺陣師として参加していた大野剣友会のメンバーのみならず、撮影スタッフの中からもアクション・シーンに参加した人物が居た程。*1「子供向け番組だからといって手を抜きたく無かったし、馬鹿にされたくも無かった。」という、熱いプロ意識が溢れた現場だったという。
「仮面ライダー」で1号ライダー、即ち本郷猛役を演じたのは藤岡弘、氏だが、実は当初この役に内定していたのは別の人物だったとか。実に意外だったのだが、それは「こんどぉ~です!」でも有名な近藤正臣氏。そして藤岡氏が撮影中に大怪我で長期入院する事となり、急遽2号ライダー、即ち一文字隼人というキャラクターが用意される訳だが、こちらも佐々木剛氏に決まる前に別の人物が有力候補だったとか。何と当時デビュー前だった三浦友和氏とは驚き。(本人が子供向け番組の出演を嫌がった為、実現には到らなかったとか。)
佐々木剛氏はその後、全身火傷を負って役者稼業を断念せざるを得なくなる。職を転々として行く中で、自暴自棄とも思える生活を送っていた彼が、再び役者として蘇られたのには役者仲間だった石橋正次氏の手助けと共に、嘗て2号ライダーに心を時めかせていた元少年達の熱い声援&期待が在ったと述懐している。
又、特撮出身の役者が売れっ子になると概してその過去を隠すものだが、仮面ライダーで主演を張った役者達の殆ど(村上弘明氏の場合は、意識的にか過去に触れない様にしている様だが。)が仮面ライダーを演じた事に高い矜持を持っているのがとても嬉しい。
仮面ライダーV3、即ち風見志郎役を演じた宮内洋氏は、「ヒーロー番組は教育番組で在る。」と語っている。「何故教育番組なのかと言うと、子供が真似をするからなんです。僕は子供達に是非自分の真似をして欲しいと思っています。と同時に、自分もそれに恥じない様に生きて行かなければと思っているんですよ。」と。
この本の中で一番嬉しかったのは、「仮面ライダー」でFBIの秘密捜査官・滝和也役を演じていた千葉治郎氏の近影が見られた事。当時は知らなかったのだが、あのサニー千葉氏の実弟で、子供心に宮内洋氏と並んで格好良さを感じていた役者だった。幾つかの情報で、「既に役者を辞められており、千葉県で樵をされている。」という事は知っていたが、今は(と言っても、この本が発行された1999年の時点では。)千葉県森林整備協会で森林パトロールに従事されている。近影は50歳の時点のものと思われるが、若々しくてイケメンぶりは健在だった。今は57歳になられている筈だが、滝和也役で一時的にでも役者復帰して欲しいものだ。
「仮面ライダーV3」でライダーマン、即ち結城丈二役を演じた山口暁氏は若くして病死されているが、本に描かれている彼の寂しい少年時代も併せて、何かライダーマンの悲劇的な姿とオーバーラップしてしまう。
仮面ライダー・シリーズが、何故これ程迄に多くの人々の心の中に脈々と行き続けているのか。作り手達の熱い思いが迸るこの本を読めば、その理由が判る事だろう。
*1 メイクアップのスタッフとして仮面ライダー・シリーズに参加していた小山英夫氏。彼も自らオートバイのスタントを買って出て、足を骨折した事が在るそうだ。スタント・マンのみならず、役者達でも怪我は日常茶飯事だったとか。
因みに彼の奥さんは、「仮面ライダーストロンガー」で”初の女性ライダー”とも言われている電波人間タックル、即ち岬ユリ子役を演じていた岡田京子さんだ。彼女も残念ながら、27歳の若さで病死されている。
ウルトラ・シリーズも好きだったが、それ以上に仮面ライダー・シリーズをこよなく愛している。これ迄にも「仮面ライダーの大幹部達の今 Part1&Part2」や「仮面ライダー THE FIRST」等、全く趣味に任せた記事を幾つか書いて来た訳だが、そんな自分が以前から読みたいと思っていたのがこの本だ。主演俳優達へのインタビューと写真150点以上が載っているのだから、仮面ライダー・ファンにとっては垂涎の一冊と言えよう。
TV版に関しては「仮面ライダーBLACK RX」迄、映画&ビデオ版としては「仮面ライダーJ」迄が”資料として”取り上げられている。それ以降の作品が扱われていないのは、この本の発行が1999年だからだ。そして作品や主演俳優に関して詳細に触れられているのは、「仮面ライダー」から「仮面ライダーZX」迄のTV版に限った、所謂10人ライダーに付いて。夢中になって見ていたのが「仮面ライダーV3」迄と言っても良いので、今回も「仮面ライダー」及び「仮面ライダーV3」に関して触れてみたいと思う。
ずっと不思議だった事の一つが、これ等の番組が撮影されていた場所が何故川崎市の生田スタジオだったのかという事。生田スタジオと言っても、日本テレビが所有し、今も使われている生田スタジオでは無い。撮影を担当していた東映が所有し、今はもう無い正式名称「東映生田撮影所」の事だ。当時の東映は大泉撮影所という立派な施設が在ったのにも拘らず、どうして不便な山中の、それも古い倉庫の様な場所で撮影していたのだろうか?という疑問。その答がこの本の中には書かれていた。
何でも当時の東映は、「後ワン・シーンだけ撮影が残っていても、17時になればパチンと電気が消されてしまう」様な労働組合が強い影響力を持つ環境に在り(まるで今のTBSの様。)、しかも頻発する労働争議によって、東映内の撮影所が次々とロックアウトされる事も在ったという。そして、特に新番組は組合側にとって格好の攻撃材料だったと。放映日が決まっていて、その日迄に作品を撮り終えなければ契約に違反するし、しかも全く新しい作品故、撮り溜めが無い。だからこそ、新番組の撮影を押さえる事は、組合側にとって経営者側との大きな交渉材料を得る事を意味した。
そこで「仮面ライダー」が新番組として企画された時点で、後に生田スタジオの所長となる内田有作氏が「これではろくに撮影も出来なくなる。」と、組合側の全く知らない場所にスタジオを作る事を考え、実父で映画監督の内田吐夢氏の伝を頼って手に入れたのが生田スタジオだったそうだ。よもやそんな深い理由が在ったとは・・・。
スタジオとは名ばかりで、其処には当初何も無かったという。撮影の度に必要な機材を揃えて行くといった有様で、撮影現場も正に人海戦術だった様だ。俳優達、そしてスタント・マン兼殺陣師として参加していた大野剣友会のメンバーのみならず、撮影スタッフの中からもアクション・シーンに参加した人物が居た程。*1「子供向け番組だからといって手を抜きたく無かったし、馬鹿にされたくも無かった。」という、熱いプロ意識が溢れた現場だったという。
「仮面ライダー」で1号ライダー、即ち本郷猛役を演じたのは藤岡弘、氏だが、実は当初この役に内定していたのは別の人物だったとか。実に意外だったのだが、それは「こんどぉ~です!」でも有名な近藤正臣氏。そして藤岡氏が撮影中に大怪我で長期入院する事となり、急遽2号ライダー、即ち一文字隼人というキャラクターが用意される訳だが、こちらも佐々木剛氏に決まる前に別の人物が有力候補だったとか。何と当時デビュー前だった三浦友和氏とは驚き。(本人が子供向け番組の出演を嫌がった為、実現には到らなかったとか。)
佐々木剛氏はその後、全身火傷を負って役者稼業を断念せざるを得なくなる。職を転々として行く中で、自暴自棄とも思える生活を送っていた彼が、再び役者として蘇られたのには役者仲間だった石橋正次氏の手助けと共に、嘗て2号ライダーに心を時めかせていた元少年達の熱い声援&期待が在ったと述懐している。
又、特撮出身の役者が売れっ子になると概してその過去を隠すものだが、仮面ライダーで主演を張った役者達の殆ど(村上弘明氏の場合は、意識的にか過去に触れない様にしている様だが。)が仮面ライダーを演じた事に高い矜持を持っているのがとても嬉しい。
仮面ライダーV3、即ち風見志郎役を演じた宮内洋氏は、「ヒーロー番組は教育番組で在る。」と語っている。「何故教育番組なのかと言うと、子供が真似をするからなんです。僕は子供達に是非自分の真似をして欲しいと思っています。と同時に、自分もそれに恥じない様に生きて行かなければと思っているんですよ。」と。
この本の中で一番嬉しかったのは、「仮面ライダー」でFBIの秘密捜査官・滝和也役を演じていた千葉治郎氏の近影が見られた事。当時は知らなかったのだが、あのサニー千葉氏の実弟で、子供心に宮内洋氏と並んで格好良さを感じていた役者だった。幾つかの情報で、「既に役者を辞められており、千葉県で樵をされている。」という事は知っていたが、今は(と言っても、この本が発行された1999年の時点では。)千葉県森林整備協会で森林パトロールに従事されている。近影は50歳の時点のものと思われるが、若々しくてイケメンぶりは健在だった。今は57歳になられている筈だが、滝和也役で一時的にでも役者復帰して欲しいものだ。
「仮面ライダーV3」でライダーマン、即ち結城丈二役を演じた山口暁氏は若くして病死されているが、本に描かれている彼の寂しい少年時代も併せて、何かライダーマンの悲劇的な姿とオーバーラップしてしまう。
仮面ライダー・シリーズが、何故これ程迄に多くの人々の心の中に脈々と行き続けているのか。作り手達の熱い思いが迸るこの本を読めば、その理由が判る事だろう。
*1 メイクアップのスタッフとして仮面ライダー・シリーズに参加していた小山英夫氏。彼も自らオートバイのスタントを買って出て、足を骨折した事が在るそうだ。スタント・マンのみならず、役者達でも怪我は日常茶飯事だったとか。
因みに彼の奥さんは、「仮面ライダーストロンガー」で”初の女性ライダー”とも言われている電波人間タックル、即ち岬ユリ子役を演じていた岡田京子さんだ。彼女も残念ながら、27歳の若さで病死されている。
>「最近はやけに診察期間を延ばしている気がする。」
ホント、そう思えちゃいますねぇ・・・|* ̄Д ̄*||*-д-*||* ̄Д ̄*||*-д-*|ウンウン
(因みに通院している病院は増築工事中!!)
>神様が与えてくれた休養とプラス思考で思った方が良いですね^^。
勿論ですとも!!(笑)
( ̄ω ̄)(ーωー)( ̄ω ̄)(ーω-)ゥィゥィ♪
そんな秘話があったとは・・・ヾ(;´▽`A``アセアセ
それにしてもよく調べましたねぇ。
故山口暁氏といえばライダーマンなのでしょうが、「電人ザボーガー」の大門明も捨てがたいと思います。
仮面ライダーといえば「ライダーショー」ですが、風間杜夫さんや唐沢寿明さんも経験者らしいですね。
わたしがボケちゃって老人ホームとかにいたとして、慰問に来て欲しいのは野球選手とライダー。きっと車椅子から立ち上がっちゃう。(←今からそんなわがままを言ってどうする?byおっと)
いいご本を紹介してくださってありがとうございます。
TBありがとうございました♪
こちらの記事の新たな情報に、ただただ感心しております☆
恥ずかしながら私、これまでもライダーシリーズに関しては・・・
シツコクこちらのブログにコメントしましたのですが(笑)
今回、記事を読んでいて思い出した事は、このシリーズのアダルティな味わいです。
「仮面ライダー」
本郷猛、一文字隼人、風見志郎たちライダーはもちろん。
大幹部や立花のオヤッサンも実にオシャレな衣装でした。
個人的に大人のムードを感じていたのが、
「仮面ライダーX」
前半に登場し、神敬介を惑わす謎の一卵性双生児、
水城涼子・霧子姉妹のつばの広い帽子、丈の長いコート姿
靴音を響かせて立ち去るシチュエーションには大人のムード漂っていました。
「仮面ライダーストロンガー」
城茂のGジャン、赤いシャツのS文字、
キュートな岬ユリ子のカジュアルファッション。
一つ目タイタン、ジェネラルシャドウの渋さ。
衣装で現される個性、色合い・・、
子供心にも、オシャレを学んだような気がします。
今月、スカパーで放送されている昔のドラマで、
有吉佐和子原作、久世光彦演出、森光子主演のドラマ
「華岡青洲の妻」
を観ていたのですが、青洲を演じる三浦友和さんがピッタリの存在感で、今も強い印象が残っています。
むっつりと無口で、黙って行動する男がはまっていました。
あの男っぽさで、ライダーを演じて頂きたかったデス(笑)
峰岸徹さん、清水紘治さん、中野誠也さんといった、
“文学的な匂いの役者さん”
私は大好きなのですが、彼らの舞台演劇調の芝居で、
「仮面ライダー」
を観たいものです。
清水さんは過去にスーパー戦隊シリーズに出演され、悪の大幹部も経験されています。
先月、雑誌で荒木しげるさんのインタビュー記事を読んだのですが、ずっと以前に体調を崩され、医者にかかった際、担当のお医者様が「ストロンガーファン」だったそうです(笑)
ドクトルGの千波丈太郎さんも、舞台公演などをする際、かつての「V3ファン」たちが、千波さんの知らぬ間に、チケットの宣伝をHP上で始めてくれたり、実際に観に来てくれたり、本当にライダーシリーズの影響、根強いファンの力を感じ、今も励みになっているそうです♪
「子供向け番組」
しかし、作り手の大人であるスタッフ。役者たちは、
「真剣に、命懸けでやっていた」
それが、今もファンの胸を熱くさせ続けているのでしょうネ〆